JavaScriptのグローバルオブジェクト

グローバルオブジェクトとは

すべてのスコープからアクセス可能なオブジェクト。
実行環境ごとに名称や提供されるAPIが異なる。

グローバルオブジェクトの種類

window（ブラウザ環境）

DOMやlocalStorageなど、ブラウザ特有のAPIを持つ。
また、window.alert()のようなブラウザの組み込み機能を提供。

global（Node.js環境）

processなどのNode.js特有のAPIを含む。

globalThis（共通のグローバルオブジェクト）

ES2020で導入された、環境に依存しないグローバルオブジェクトの統一的な参照。
ブラウザではglobalThis === window、Node.jsではglobalThis === globalとなる。

グローバルオブジェクトとグローバルスコープ

グローバルオブジェクトとグローバルスコープは厳密には異なる。
ブラウザ環境では、windowがグローバルスコープの変数や関数のコンテナとして機能するが、
Node.jsでは多くの標準ライブラリはグローバルオブジェクトに直接含まれておらず、require()やES Modules(import/export)を使って読み込む。

グローバルオブジェクトに含まれるものの例

共通（ブラウザwindow/Node.jsglobal）

組み込みオブジェクト

• Object: オブジェクトを扱う基本クラス
• Array: 配列を扱うオブジェクト
• Function: 関数を作成・実行するためのオブジェクト
• Date: 日付や時間を管理・操作するオブジェクト
• RegExp: 正規表現を扱うオブジェクト
• Promise: 非同期処理を扱うオブジェクト
• Map / Set: キーと値のペアやユニークな値の集合を管理
• Symbol: ユニークな識別子を生成
• BigInt: 超大きな整数を扱うためのデータ型
• Math: 数学関数や定数を提供
• JSON: オブジェクトとJSON文字列の変換
• Error（および TypeError, SyntaxError など）: エラーオブジェクト
• Intl: 国際化（ロケール、通貨、日付フォーマット）関連の機能

ユーティリティ関数

• setTimeout(fn, ms) / setInterval(fn, ms): 指定時間後に関数を実行（1回 / 繰り返し）
• clearTimeout(id) / clearInterval(id): タイマーの解除
• parseInt(str, base) / parseFloat(str): 文字列を整数 / 浮動小数点数に変換
• isNaN(value) / isFinite(value): 値がNaN（非数）か、有限数かを判定
• eval(str):文字列をJavaScriptとして評価

エンコード・デコード関数

• encodeURI(str) / decodeURI(str): URL全体をエンコード / デコード
• encodeURIComponent(str) / decodeURIComponent(str): URLの一部をエンコード / デコード

コンソールオブジェクト

• console.log(value): 値をコンソールに出力

特殊値（グローバルに存在する定数）

• NaN: Not-a-Number（計算結果が数値でない）
• Infinity: 正の無限大（負の無限大は -Infinity）
• undefined: 値が未定義であることを示す

window（ブラウザ環境）固有

DOM関連オブジェクト

• document: HTMLやDOM要素にアクセスするオブジェクト
• window: ブラウザのウィンドウ全体を表すオブジェクト
• history: ブラウザの履歴を管理
• navigator: ユーザーのブラウザやOS情報を取得
• location: 現在のURL情報を取得・変更
• navigator.geolocation: ユーザーの位置情報を取得

Web API

• fetch(url): ネットワークリクエストを送信し、データを取得（非同期）
• localStorage / sessionStorage: クライアントサイドのデータ保存（永続 / 一時）
• IndexedDB: 大量のデータを保存するためのデータベースAPI
• WebSocket: 双方向通信を行うためのAPI
• Event: イベントの処理を管理
• addEventListener(type, fn) / removeEventListener(type, fn): イベントを登録 / 削除

ブラウザ専用の関数（ユーザーインタラクション）

• alert(message): アラートダイアログを表示
• confirm(message): OK/キャンセルの確認ダイアログを表示
• prompt(message, defaultValue): ユーザーから文字列を入力させる
• Notification: デスクトップ通知を送信

アニメーション & 描画API（グラフィック関連）

• requestAnimationFrame(callback): 高速でスムーズなアニメーションを実行
• cancelAnimationFrame(id): アニメーションのキャンセル
• CanvasRenderingContext2D: <canvas> に2D描画を行うためのAPI
• WebGLRenderingContext: <canvas> のWebGL描画
• OffscreenCanvas: ワーカーでのCanvas描画を可能にする

global（Node.js環境）固有

Node.js用オブジェクト（環境・ファイル管理）

• global: Node.js のグローバルオブジェクト
• process: Node.js のプロセス情報（環境変数・終了コード管理）
• Buffer: バイナリデータを扱うオブジェクト

Node.jsのモジュール関連

• import/export: 外部モジュールを読み込む（ES Modules形式）
• require(moduleName): 外部モジュールを読み込む（CommonJS形式）

標準ライブラリAPI（組み込みモジュール）

• crypto: 暗号化・ハッシュ関数を提供
• os: OSの情報取得（CPU・メモリなど）
• util: ユーティリティ関数（デバッグ・データ変換など）
• events: イベント駆動プログラミングをサポート
• stream: ストリームデータ処理
• zlib: 圧縮・解凍（gzip, deflate）
• dns: ドメイン名解決（DNSルックアップ）

Node.jsのイベントループ関連

• setImmediate(fn): 次のイベントループで即時実行
• process.nextTick(fn): 現在のイベントループの直後に実行

Node.jsのWorker関連

• worker_threads: マルチスレッド処理
• cluster: マルチプロセス処理（Node.jsを複数のCPUコアで実行）