Devinを使い倒すために、僕は「日本語」を鍛えている 〜AIエージェント時代のタスク分解術〜
※これは U-ZERO Advent Calendar 2025 の12日目の記事です。前日の記事は こちら。
はじめに:コードを書く時間より、日本語を書く時間が増えた
こんにちは、U-ZERO シニアエンジニア 堀 福太郎 です。
最近、私の開発スタイルは劇的に変化しました。
以前はIDEに向かってひたすらコードを書いていましたが、今は 「Devin」 や「Claude Code」 といったAIエージェントといかに協働するか、に時間の多くを割いています。
彼らは優秀ですが、魔法使いではありません。
曖昧な指示を出せば、曖昧なコードが返ってきます。逆に、論理的で明瞭な指示を出せば、人間顔負けのスピードで実装を完了させます。
つまり、AIエージェント時代のエンジニアに求められる最も重要なスキル。
それはPythonでもRustでもなく、「正確で読みやすい日本語能力」 だと私は確信しています。
今回は、私が実践している「AIに意図を100%伝えるための言語トレーニング」と、「Claude Code × Devin」の連携フロー、そして最後に待ち受ける 「意外な苦悩」 についてお話しします。
1. 「読みやすい本」を多読して、コンテキスト力を鍛える
AIへの指示(プロンプト)は、結局のところ 「文章構成力」 です。
文脈(コンテキスト)をどう定義し、前提条件をどう伝え、ゴールをどう描写するか。
良質なアウトプット(指示)を出すには、良質なインプット(読書)が欠かせません。
私は最近、意識的に 「文章のリズムが良く、論理構造が明確な本」 を多読するようにしています。
最近読んで特に参考になったのはこの3冊です。
- 『ババヤガの夜』:
王道のエンタメ小説ですが、情景描写の解像度が素晴らしい。「状況を正確に言語化する」トレーニングとして最高です。 - 『大人のためのお金学』:
複雑な概念を、誰にでもわかるように噛み砕いて説明する構成力が勉強になります。 - 『みんなのフィードバック大全』(※弊社代表の著書です!):
手前味噌ですが、これは 「相手(AI含む)にどう伝えれば、期待する行動変容(実装)を引き出せるか」 という視点で読むと、プロンプトの教科書に見えてきます。AIへの指示出しも、一種のフィードバックですからね。
これらを読み、「わかりやすい文章とは何か」を体に染み込ませることで、Devinへの指示出しの精度(=一発成功率)が格段に上がりました。
2. 「Claude Code」をPMにし、「Devin」を実装担当にする
とは言え、複雑なタスクをいきなりDevinに「これやっといて」と投げても、まだうまくいきません。Devinは 「言われたことはやるが、抽象的な課題解決は苦手」 な側面があるからです。
そこで私は、Claude Codeを「PM(プロジェクトマネージャー)兼アーキテクト」 として間に挟むワークフローを構築しています。
私のAI開発パイプライン
人間(私):
「こういう機能が欲しい」という要件を、鍛えた日本語力で定義する。
Claude Code(PM):
私の要件を受け取り、タスクを 「Devinが迷わず実行できるレベル(粒度)」 まで細分化してもらう。
Issue の文面自体をClaudeに生成させることもあります。
Devin(実装者):
Claudeが分解した「小さな Issue」を一つずつ渡す。
迷いなくコーディング → テスト → PR作成まで完走する。
人間が直接Devinに投げるのではなく、「言語化が得意なClaude」に翻訳・分解させてから、「実行が得意なDevin」に渡す。
この分業体制が、現時点で最も手戻りが少ない最適解だと感じています。
3. 目指すは「24時間開発し続ける工場」の構築
現在、私はこのフローをさらに自動化するために、Devinの 「Playbook(行動指針書)」 を育成中です。
Playbookとは、いわばDevinへの「業務マニュアル」です。
「エラーが出た時はまずログのここを見ろ」「テストはこのコマンドで通せ」といったノウハウを、これもまた 丁寧な日本語(とコード) で記述して教え込んでいます。
この Playbookが進化 し、タスクの分解精度が上がれば、
「私が寝ている間にClaudeがIssueを切り、Devinが夜通し実装し続け、朝起きたら機能ができている」
という世界が実現可能です。
4. AI時代に待ち受ける「2つの残酷なパラドックス」
ここまで良いことばかり書きましたが、実はAI開発には 副作用 もあります。
それは、エンジニアとしての在り方を揺るがすような、2つの「たいへんなこと」です。
- AIのコードを理解するための「圧倒的な技術力」が必要
Devinは秒速でコードを書きます。しかし、そのコードが正しいか、セキュリティホールがないか、保守性があるかを見極めるのは 「人間」 の仕事です。
自分が理解できないコードを承認した瞬間、私はエンジニアではなくただの「承認スタンプマシーン」に成り下がります。
そうならないためには、AIが書く高度なコードを即座に理解し、レビューできるだけの深い技術力 が求められます。
「AIが楽をさせてくれる」と思ったら大間違い。AIという超優秀な部下をマネジメントするために、上司(自分)は今まで以上に猛勉強しなければならないのです。これ、結構スパルタです。 - 「コードを書き上げた快感」の喪失と、ドーパミン欠乏症
これが一番深刻かもしれません。
苦労してバグを直し、テストが通り、機能が動いた瞬間の「やったー!!」というあの快感。
あれが、なくなります。
「Devin、やっといて」→「終わりました」→「……お、おう(動いてるわ)」
これだけです。達成感がありません。
私たちは今まで、コーディングという行為で自己肯定感を満たし、ストレスを解消してきました。それが奪われるのです。
AI時代を生き抜くエンジニアは、開発以外で自己肯定感を満たす新たな趣味(サウナ、筋トレ、料理など) を見つけなければ、メンタルが持ちません。
「生産性は爆上がりしたが、心は虚無」にならないよう、心のケアもセットで考える必要があります。
おわりに:言葉を操るエンジニアになろう
「コードを書かなくていいなんて、エンジニアの仕事がなくなる」と嘆く必要はありません。
むしろ、「日本語というプログラミング言語」 を使って、複数の優秀なAIエージェントを指揮し、一人では不可能な規模の開発を成し遂げることができるようになるのです。
ただ、その代償として、猛烈な技術の勉強と、「仕事以外の楽しみ」 を見つける必要はありますけどね。
U-ZEROでは、そんな 「AI共生型開発」 の光と影に本気で向き合っています。
Devinに指示を出しながら、空いた手で美味しいコーヒーを飲み、代表の著書でフィードバック力を磨く。そんな働き方に興味がある方、ぜひお話ししましょう。
これから、Devinに投げる Issue をClaudeと相談してきます!(そして空いた時間で、読みかけの本の続きを読んできます)
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