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AppleはiOSエンジニアにとって唯一神であり最大の敵である(Apple税の話)

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今回は部内のアドベントカレンダーに投稿する内容をこちらにも展開してみました。
なので、iOSエンジニア以外のエンジニア、なんなら入ってきたばかりの新人ちゃんでも分かるような(楽しめるような)記事にしたつもりです。

自己紹介

こんにちは。
iOSエンジニア4年目の岩本です。

iOSエンジニアというのはiPhoneやiPadのアプリを作っている人でございます。(え?さすがに知ってるって?)
今日はなんとiOSエンジニアらしいというか、iOSエンジニアが長年苦しめられており、最近私も苦しめられかけたお話をしようと思います。

YouTubeプレミアム会員に思わぬ罠

みなさま、コロナ禍はいかがお過ごしですか?
在宅勤務になって、BGMが欲しくなって、でも広告は鬱陶しくなって、YouTubeの有料プランに登録したりしてませんか?
さて、このYouTubeプレミアム、WebサイトやAndroidアプリから申し込む分には¥1,180/月。
しかし、なんとiOSアプリから申し込むと¥1,550/月と値上がりするのです!

一体なぜ?

iOS端末でアプリをインストールするときに利用するApp Storeは、iPhoneやiPadを販売しているAppleが作っているプラットフォームです。
アプリ内購入にはApp Store経由の支払いになり、Appleに手数料として15%~30%支払わなければなりません。

30%!
なかなかぶんどっていきますね。
通称「Apple税」。
自社サイトから申し込んでくれれば、Apple税は取られないですむわけですから、各サービスはこの手数料をどう回収するか、もしくは逃げるかに必死なのです。

抜かりないApple

YouTubeはiOSアプリで購入するユーザーには追加料金を課す、ということでこの手数料を回収しています。
「そんなことしなくてもさ、アプリから自社サイトに案内すれば良いんじゃないの?」と思いませんか?
しかし、Appleも抜かりありません。
iOSアプリは、新規リリースはもちろん、バージョンアップリリースをするたびに、Appleに審査に出し、それにクリアしないとApp Storeに公開することができません。
iOSアプリはApp Storeを経由しないとインストールすることができませんから、世にアプリを配信するには必ずこの審査に通らなければなりません。
この審査には課金に関すること以外にも色んなルールがびっちり決められています。
App Store Reviewガイドライン - Apple Developer
この中、3.1.1 App内課金で、以下のような記載があります。

App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。

つまりアプリから自社サイトに案内することまでは良くても、そこから購入に誘導することは許されないのです。
アプリ内でAppleが利益が得られない課金の導線があるとみなした瞬間、App Storeの審査に落とされます。

SpotifyとAppleの戦い

なんという横暴な、と思うでしょうか。

ちなみにこれに対してはSpotifyをはじめとする各社が一度戦っています。
特設サイトはこちら。
Home - Time to Play Fair
Appleは市場を独占した上で、消費者に逃れられない課税をしており、イノベーションを阻害している、という主張です。

Appleの言い分はこちら。
Spotifyの主張に対して - Apple (日本)
App Storeのこのプラットフォームがあって事業を拡大してきたというのに、そのプラットフォームの維持に貢献しないのは何事か、というような内容です。

……まあどちらも確かに。

Youtube以外のアプリは

SpotifyやNetflixは、アプリ内購入の導線を削除する、という策をとっています。
アプリでは有料会員への案内はするものの、WebサイトへのURLを載せない(自力でサイトを検索させる)という方法です。
Kindleも、アプリからは本の購入ができない、という点では購入導線をアプリから消すという方針です。
今のところ、Apple税に対する対策は、購入導線を消す or 料金を上乗せする のこの2パターンが主流のようです。

他のサービスがどんな風にApple税を回避しているのかは、以下にうまくまとめられていましたので興味があったらみてください。
アプリ内課金の回避法まとめ (2019/2月)|髙城賢大|note

個人的な見解

Appleはなかなか王様で、正直iOSエンジニアとしてはかなり毎年苦しめられることがあります。
(気になる人は最近のiOS14事件で検索すると色々出てくるよ)

ただのiOSユーザーとしては、アプリをリリースする側の審査が厳しければ厳しいほど、怪しいアプリがApp Storeにある可能性が少ないわけですから
安心してiOS端末にアプリを入れて使えますよね。
iOS端末はAndroidに比べて高いですが、
社用携帯にAndroidではなくiOS端末を選ばれるのも、子供に持たせるのはAndroidよりもiPhoneが良いというのも、まあ一理あるなと思います。

30%は、本当にかなり取りすぎじゃない……?とは思います。
それによってiOSアプリからの申し込みだけ使用料金が高くなってしまったり、
iOSアプリから購入サイトへ飛べないというユーザビリティが下がってしまうのであれば、もう少し安くしてくれないかなぁ。

アプリの審査に出すのにも年間料金がかかる開発用のAppleアカウントが必要なので、リリースにはまたAppleにいくらかお金を支払わなければならないんですが、
開発自体はMacさえ持っていれば誰でもタダでできます。
この前の部会でも言いましたが、目に見えるものや普段使っているものがわりとすぐ自分で開発できるってとても楽しいですよ。

……iOSのアプリを開発しようとするとXcodeという開発環境が必要で、それはMacにしか入れられないって、
ホントAppleでお金稼ぐの上手ですよね。なんというか。