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新卒エンジニアよ。コードは書かなくていいかもしれない。でも理解だけはやめないでほしい

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最初はバイブコーディングでいいと思っていた

2025年4月、私は株式会社TOKIUMに新卒エンジニアとして入社しました。

当時はバイブコーディング全盛期だったため、「もうAIが書いた方が圧倒的に速いし、全部バイブコーディングでいいんじゃないか?」と思っていました。

でも同時に、「本当に自力でコードを書かなくて良いのか?」という不安も抱えていました。

このような思いを抱きながら半年間開発してきて、経験を経て学んだことがあります。

確かにコードは書かなくていいかもしれない。でも、理解だけはやめてはならない。

その理由をお伝えします。

実務で気づいた『理解』の重み

私が入社して配属されたのは、AIヘルプデスク事業のバックエンド開発チームでした。8月のサービスローンチに向けて、PoCフェーズの開発が進んでいました。

このPoCフェーズでは、「ひとまず動くものを作る」ことが最優先でした。AIを使って素早くプロトタイプを作り、機能を検証する。その段階では問題ありませんでした。

しかし、サービスローンチ後、製品版として本格的に機能開発を進めていくにあたって、求められる品質基準が変わっていきました。セキュリティ、パフォーマンス、保守性、...満たすべき条件が増えていったんです。

そんな中で気づいたのは、「なぜこのコードを書いたのか?」と聞かれたときに説明できないコードを本番環境に入れるのは、心理的に怖くて無理だということでした。

個人開発なら、バイブコーディングでも問題ないかもしれません。自分だけの責任で完結するからです。

でも、企業の中での実務は違います。

フロントチーム、QAチーム、PdM...多くの人が関わります。ミスがあったら、多くの人に迷惑がかかる。上司や他部署の人から「なぜ?」と聞かれたときに説明できないと、信頼を失ってしまう。

だから、理解していないと怖くて居ても立っても居られなかったんです。

人間が常にボトルネックである

先日、私は日報にこう書きました。

日報のスクリーンショット

特に重要なのが「AIの方が優秀なエンジニアなのに、人間が最終判断を下すのだから、人間がボトルネックになってしまう」という部分です。

本当にAIで効率化したいなら、勉強して理解のレベルを上げ続けないといけない。最終的に人間が責任を負う以上、理解せざるを得ない構造になっているんです。

将来、AIが責任を負ってくれるようになれば話は別かもしれません。でも、少なくとも今は人間による最終判断が必要であり、私たちがプロダクト開発におけるボトルネックとなっています。

理解がもたらした変化

理解に時間を使った結果、良いことがありました。

2025年12月、管理者権限機能の開発を担当したときのことです。

QAから複数のバグ報告が上がってきたのですが、説明文を軽く読んだだけで「あそこを修正すれば良さそう」と見当がつきました。AIに聞いてみると、想像していた通りの場所に原因がありました。修正内容もすぐに理解できました。修正箇所以外に影響がないことも理解していたため、自信を持って修正できました。AIと深くリンクして、流れるようにバグを修正することができ、とても心地よかったです。

バイブコーディングをしていた頃は違いました。AIが提案してきても、何が間違っているのかよく分からない。修正はできても、他の機能への影響がよく分からない。常にどこか不安でした。

理解に時間をかけた結果、AIに振り回されず、自分でコントロールできる範囲が明らかに広がりました。トータルで見れば、十分に元は取れていると思います。

では、どうやって理解を深めるのか

具体的に何をすればいいのか。

私が実践してきたことは、シンプルです。目の前の困難な課題から逃げないこと。

この半年間、私は様々な課題に向き合ってきました。

  • Mastraフレームワークの導入
  • TerraformでのAWSインフラ構築
  • DDDへの設計リファクタリング
  • 管理者権限機能の開発

どれも分からないことだらけで、正直苦しかったです。

でも、この「分からなくて苦しい」という状態が人を成長させると思うんです。

難しい課題が降ってきたとき、「今の自分には無理だ」と思うかもしれません。でも、そこで逃げずに向き合った経験は、必ず自分の糧になります。少なくとも、私はそう信じてやってきました。

私は毎日日報を書いているのですが、新しいことや難しいことに挑戦しているときは、日報に書きたいことがどんどん出てきます。逆に、既に理解していることを行っているときは、あまり書きたいことが思い浮かびません。つまり学びがないんです。

「苦しい」が成長のサイン

日報で気づきを言語化する習慣も、理解を深める助けになりました。この記事も、日々の日報で書いていたことをまとめたものです。

新卒の今だからこそ、理解に投資しよう

コードは自力で書かなくていいかもしれない。AIに任せればいい。

でも、理解だけはやめてはならない。

なぜなら、最終的な責任は人間にあり、人間がボトルネックであり続けるから。理解していないと、怖くて居ても立ってもいられないから。

今新卒の人、これから新卒になる人へ。

AIが全てを書いてくれる時代だからこそ、どうか理解はやめないでほしい。

バイブコーディングは速い。楽だ。誘惑に負けそうになる気持ちも分かります。私も何度もそう思いました。

でも、これからの時代、同じ新卒でも、理解に時間をかけた人とそうでない人では、成長の角度が大きく変わると思います。今までもそうでしたが、AIの登場でその差はより顕著になっていく。

だからこそ、新卒の今、理解に投資しましょう。困難な課題から逃げずに立ち向かいましょう。苦しんで、学びましょう。

そうしてこそ、AIを本当の意味で使いこなせるようになるのではないでしょうか。

TOKIUMプロダクトチーム テックブログ

Discussion

n-nittan-nitta

AIによる成功例だけを見てても、なぜこのコードを書いたのか?を正確には理解できないのでしょうか?設計技術は、たくさんの失敗の上に積み重ねられた実践的なプラクティスの集積です。遠回りでも自分でコードを書いて、失敗してみることをお勧めします。