DevHRに手を挙げた3年前の自分へ──最高の仲間たちを巻き込もう、それが君の役割だ
こんにちは!経費精算製品開発部・Webエンジニアの坂上です。
本記事は、DevHR Advent Calendarの2日目の記事になります。大遅刻、申し訳ありません 😭
軽く経歴を話すと、2016年に新卒でTOKIUMに入社をしてから、Android/Webエンジニアとして6年半開発業務にコミットしたのち、2023年1月〜2025年11月までDevHRとして約3年、プロダクト組織の組織づくりに携わっていました。
ガチガチのエンジニアとしての経験があることから、開発未経験の人事の方からはよく羨ましがられるのですが、個人的にはエンジニアの世界の常識や先入観に囚われて苦しんだ時期が長く、アドバンテージとして上手く活かしきれなかったと後悔することの方が多かったです。
なので本記事では、DevHRの業務の中で僕が踏み抜いたアンチパターンと、組織の仲間を頼る大切さをお伝えしたいと思います。エンジニアからDevHRへとキャリアチェンジして間もない、或いはこれからDevHRにチャレンジしたい、そんな方々に向けて、早期に成果を生み出す道しるべとなれば幸いです!
1. 中途採用:自ら「ボトルネック」になってしまった失敗
DevHRとして最初に取り組んだミッションは、中途採用による組織の開発力向上でした。しかし、振り返ってみると、DevHR初期の僕は「自分1人で課題を解こうとする」ことに終始してしまい、組織成果を阻害する最大のボトルネックになっていました。
1-1. 業務負荷による「負のスパイラル」と採用目標の未達
僕が担当していた時期の採用における課題は、とにかく「応募数が伸びない」ことでした。後任に引き継ぐ直前の選考応募数は、目標に対して31.7%と惨敗と言っても過言ではない状態。その一番の要因は、スカウト送信などの「母集団形成」に十分なリソースを割けていなかったことにありました。
なぜリソースがなかったのか。それは、マネージャーとして動くべき僕自身が、現場の実務を抱えすぎていたからです。候補者の方やエージェント担当者との連絡、カジュアル面談のリードなど、選考が開始するまでのプロセスを1人で対応していました。
「エンジニアのことを高い解像度で理解している、自分が対応すべきだ」というエンジニア出身ゆえの自負が、完全に裏目に出ていた訳です。業務負荷が高すぎて改善施策を考える時間が取れず、仮に施策が当たって応募が増えたとしても、さらに自分の首を絞めるだけ……という、典型的な「負のスパイラル」に陥っていたのです。
1-2. 中途採用のプロによる劇的な改善
この停滞した状況を打破してくれたのが、後任として引き継いでくれた川内さんでした。川内さんは、ビジネス職の中途採用で圧倒的な成果を出しており、全社表彰の経験も持つ、まさに「中途採用のプロ」です。
川内さんは着任早々、以下の2点に真っ先に着手しました。
- 面談・面接の担当決定ロジックの整理:属人性を排除し、誰がどのタイミングで対応するかをルール化
- 面談・面接担当者の大幅な増員:現場エンジニアを巻き込み、特定の個人に依存しない体制を整備

川内さんと書き出した、当時の選考フロー
僕以外理解不能な条件分岐が複数箇所に隠れていた😇
さらに外部パートナーの力も借りながら、スカウト運用の仕組みを短期間で再構築しました。結果として、応募数は目標比160%、一次選考実施数も目標比90% にまで到達。選考フローに安定して候補者が流入する基盤を、わずか1年で作り上げたのです。
1-3. 自らの負荷が上がらない「仕組み」を先に作る
僕と川内さんの決定的な違いは、 「応募が増えても自分の負荷が上がらない仕組み」 を最初に作ったかどうかでした。
自身のパンクを避けるため、当時の僕は無意識のうちに「最初から打率の高い(=数は少ない)応募」ばかりを狙い、採用の基本であるファネル上部からの改善を放棄してしまっていました。採用業務における偉大な先人である川内さんをもっと早くに頼り、「背中を見て学ぶ」姿勢を持つべきだったと、今では強く反省しています。
2. 採用広報:「異なる専門性の掛け算」の価値を知る
中途採用の仕組み化を川内さんに委譲したのち、僕に任されたのは採用広報の業務でした。
2-1. 手探りで始まった「エンジニア向け広報」
当時は社内にエンジニア向けの技術広報を経験したことがあるメンバーは一人もおらず、まさに「正解」が誰にもわからない状態からのスタートでした。エンジニアコミュニティへの参加経験が豊富だった僕に担当が回ってきたのはある種必然でしたが、当初は広報活動としての投資をどう事業成果(採用)につなげるかという視点が、僕自身も言語化できていませんでした。
エンジニア出身ゆえに、どうしても「コミュニティに貢献したい」「自社のストーリーを熱量高く、綺麗に伝えたい」といった個人的な想いを優先してしまい、ビジネスとしての戦略が描けずにいたのです。
2-2. 正解が分からない領域で、共に悩む
そんな 「正解を持たない」僕と共に悩み、答えを探してくれた のが広報担当の島袋さんでした。島袋さんは組織に前例がない中で、どうすればエンジニア向けの広報活動が最終的に事業成果へとつながるかを、僕と同じ目線で考え続けてくれました。
僕が後先考えず進めてしまう企画に対して、常に「その企画はTOKIUMにどんなリターンをもたらすのか」「最終的に採用成果へとつなげるためにはどうすべきか」の観点で、島袋さんは適切に提案やダメ出しをしてくれたのです。今年の6月〜11月は、『プロヒス2025』『東京AI祭2025』をはじめとするスポンサーを通し、採用広報の施策と効果測定の「型」が見えた半年でしたが、島袋さんとのディスカッションなしには到達しえなかったと感じています。

採用広報の経済性を示すために用意した図
島袋さん・西本さん(当時の上長)と、この図を使いながら遅くまで議論した
2-3. 現場の視点の「差分」を価値へと変える
島袋さんの凄さは、戦略面だけではありませんでした。平日の定時後や土日のブース運営にも積極的に帯同し、現場で共に汗を流してくれました。
現場で手を動かしながら、僕が「エンジニアだからこその気づき」、島袋さんが「エンジニアでないからこその気づき」を数多く得たことで、TOKIUMの広報の質は圧倒的な速度で向上していったように思います。この改善速度は、僕1人では間違いなく達成できなかったでしょう。
結果として、2025年2月に開設したプロダクトチームの公式Xは、10ヶ月でフォロワー800名を超え、施策の増加と共に採用数値にもポジティブな影響が出始めています。異なる専門性を持つ仲間とともに、お互いの視点の「差分」を価値に変えていったからこそ、1人では見つけることができなかった解を導き出すことができたのです。

@TOKIUM_Devのフォロワー数推移
フォロワー800名は来年5月末までの目標だったが、半年で達成まで至った
3. アンチパターンの先で見えた、DevHRの役割
現在のTOKIUMは、川内さんや島袋さんといった専任メンバーだけでなく、CTO、VPoE、そして現場のエンジニアも巻き込んだ「全員で採用・発信・育成に取り組む文化」が育ちつつあります。
3-1. 全員で自分たちの組織を強くする
直近半年を振り返ると、プロダクト組織の採用・発信・育成への向き合い方は大きく変化したように思います。面談・面接に関わった社員は20名以上、記事執筆やイベント登壇に一度でも挑戦したメンバーは30名近くにものぼり、12月の社内表彰では、先輩エンジニアの下で力をつけた25卒入社の若手メンバー2名が表彰されました。この3年間で組織内の「全員で自分たちの組織を強くする」意識は間違いなく強くなりましたし、目に見える成果にも現れるようになっています。
3-2. 個人の成果ではなく、組織の成果の総量を増やす
3年間のDevHR経験を通じて痛感したのは、 「DevHRのミッションは、組織の潜在能力を引き出し、強くすること」であり「自分1人で強い組織を生み出すこと」ではない ということです。
僕が実際にハマった落とし穴ですが、開発現場の視点だけで描いた"ぼくのかんがえたさいきょうのプロダクト組織、或いはDevHR"を追い求めていては、組織の成果の総量は全くスケールしないのです。 「適切に周りを頼り、巻き込む」ことこそ、DevHRの基本的な行動スタンスとすべき で、自ら手を動かすのは立ち上げフェーズのエンジン始動のために限ることが必要でした。
3-3. DevHRが担うべき、本当の役割とは
DevHRの理想的な役割をより具体的に列挙すると、以下の3点に集約されると考えています。
- 目標・KPIの設計:事業計画を実現へと導くために、組織が向かう方向を示す(事業計画やビッグピクチャーが曖昧であれば、経営層から引き出す)
- 組織の状態監視(モニタリング):採用や発信のサイクルが滞っていないか、客観的に見守る
- 現場が困った時のヘルプ:課題が見つかった時に、背中を押したり、障害物を取り除いたりする(立ち上げフェーズのエンジン始動役も、ここに含む)
組織の自走を支援し、走り始めた後は黒子として支える。これが、DevHRが目指すべき理想の姿なのではないかと、僕は考えています。
4. 個人的な振り返り:DevHRとして駆け抜けた3年間
振り返れば、僕が担当した中途採用・外注管理・採用広報の3領域は、スタート時は仕組みと呼べるものがほぼ無い状態でした。現在はそれぞれに責任者が立ち、組織として自走し始めています。結果だけを見れば、組織の成長に幾ばくかの貢献をもたらせたように見えます。
しかし、その過程は「上手くいかなかったこと」の連続でした。僕が組織全体を巻き込む大きな意思決定をした訳でも、仕組み化を主導した訳でもなく、多くのみなさんが僕の至らない部分を埋めてくれた結果が今の状態につながったのだと感じています。DevHRとして走り抜けた3年間は、組織の力が生み出すインパクトの大きさ・偉大さを知るための時間でした。
今後、また組織づくりに携わる機会があれば、散々踏み抜いたアンチパターンを忘れず、最初から仲間を信じて頼ることから始めたいと思います。
TOKIUMにおける「DevHR」の役割は、僕が今月からエンジニアへと戻ったことで、エンジニアの評価・育成に大きな裁量を持つVPoEを筆頭に、他のメンバーへと引き継がれることとなりました。特定の個人に役割が集中していたこれまでと比べ、更にパワーアップした状態で各種施策へとつながっていくことでしょう。「全員で組織を作る」チャレンジに取り組むTOKIUMを、来年もよろしくお願いします!
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