Chapter 17

可変変数

配列の総和

配列の値を全て足し合わせたものを総和といいます.たとえば [30, 20, 30] という配列の総和は 30 + 20 + 30 = 80 になります.この総和を, for 式を使って計算することを考えます.これを実現するには,可変変数というものが必要になります.

可変変数

今までの変数には,値を一度しか代入することができませんでした.しかし,可変変数には値を複数回代入することができます.

変数の宣言において,変数名の直前にキーワード mut を付けると,可変変数になります.

let mut mutable: i32;

可変変数に対する代入は何度でも行えます.

fn main() {
    let mut mutable: i32;
    mutable = 30;
    assert_eq!(mutable, 30);
    mutable = 20;
    assert_eq!(mutable, 20);
}

しかし,型を変更することはできません.

fn main() {
    let mut mutable: i32;
    mutable = 30;
    mutable = 20.0f64; // エラー
}

i32 型の可変変数に f64 型の値を代入しようとしたのでエラーになっています.

また,アドレスも変化しません.

fn main() {
    let mut mutable: i32;
    mutable = 10;
    println!("{:p}", &mutable);
    mutable = 20;
    println!("{:p}", &mutable);
}

mutable = 20; の前と後で同じアドレスが出力されます.

パターン

パターンの中でも,変数名の直前に mut を置くと可変変数になります.

let (mut hoge, fuga) = (10, 20);

hoge は可変変数ですが, fugamut が付いていないので可変変数ではありません.

型推論

可変変数についても,代入や使用をもとに型推論が行われます.

fn main() {
    let mut mutable;
    mutable = 30;
    assert_eq!(mutable, 30);
    mutable = 20;
    assert_eq!(mutable, 20_i64);
}

最後に 20_i64 と比較しているので,変数 mutable と整数リテラル 3020 は全て i64 型に推論されます.

未初期化

可変変数も,未初期化の可能性があるまま使用することはできません.

use proconio::input;

fn main() {
    input! {
        input: i32,
    }
    let mut normalized;
    if input >= 0 {
        normalized = 1;
    }
    println!("{}", normalized); // エラー
}

input が 0 以上なら normalized に 1 が代入されますが,そうでないとき normalized は未初期化のままなので,中身を出力しようとするとエラーになります.必ず少なくとも一度は代入が行われていなければなりません.

use proconio::input;

fn main() {
    input! {
        input: i32,
    }
    let mut normalized = -1; // ここで必ず値が代入される
    if input >= 0 {
        normalized = 1;
    }
    println!("{}", normalized);
}

ただ,これならそもそも可変変数を使う必要がありません.

use proconio::input;

fn main() {
    input! {
        input: i32,
    }
    let normalized = if input >= 0 { 1 } else { -1 };
    println!("{}", normalized);
}

わざわざ可変変数を使う必要が本当にあるかどうか吟味するのは重要です.

複合代入演算子

可変変数に値を代入するとき,代入式の右辺でその変数自体を使うことができます.

fn main() {
    let mut mutable = 10;
    assert_eq!(mutable, 10);
    mutable = mutable + 20;
    assert_eq!(mutable, 30);
}

mutable = mutable + 20 という式では,まず mutable + 20 の部分が計算されて 30 となり,その結果が mutable に代入されます.

実は, += 演算子というものを使うと同じことが次のように書けます.

fn main() {
    let mut mutable = 10;
    assert_eq!(mutable, 10);
    mutable += 20;
    assert_eq!(mutable, 30);
}

mutable += 20; と書くと,可変変数 mutable の値に 20 が加算されます.同様に, -=*=/=%= 演算子があります.これらを複合代入演算子といいます.

fn main() {
    let mut mutable = 100;
    assert_eq!(mutable, 100);
    mutable -= 10;
    assert_eq!(mutable, 90);
    mutable *= 2;
    assert_eq!(mutable, 180);
    mutable /= 3;
    assert_eq!(mutable, 60);
    mutable %= 7;
    assert_eq!(mutable, 4);
}

for 式と可変変数

最初の問題に戻って,配列 [30, 20, 30] の総和を for 式を使って計算してみましょう.

fn main() {
    let array = [30, 20, 30];
    let mut sum = 0;
    for num in &array {
        sum += num;
    }
    assert_eq!(sum, 80);
}

sum の型は i32num の型は &i32 です. sum += num; の部分では += 演算子が num を参照外ししています.

sum に初め 0 が代入され,その後ループごとに num の値が加算されるので,最終的に sum の値は 80 になります.こうして配列の総和を計算することができました.

実は, sum() 関数というものを使っても総和を計算することができます.

fn main() {
    let array = [30, 20, 30];
    let sum: i32 = array.iter().sum();
    assert_eq!(sum, 80);
}

後々説明します.

proconio::input! マクロと可変性

proconio::input! マクロの中でも,変数名の前に mut を付けることで可変にすることができます.

use proconio::input;

fn main() {
    input! {
        mut a: i32,
    }
    a += 20;
    println!("{}", a);
}