😎
AWS Well-Architected Framework を基に、要件定義から運用設計まで、各フェーズでの主要なチェックポイントを整理
以下は、AWS Well-Architected Frameworkの6つの柱(運用優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化、持続可能性)に基づき、要件定義、方式設計、基本設計、詳細設計、運用設計の各フェーズで確認すべき主要チェックポイントを整理したチェックリストです。
思い切ってシンプルかつ直球で書いていますので、これをベースに具体プロジェクトに合わせた詳細調整を進めてください!
AWS Well-Architected Framework チェックリスト
1. 要件定義
目的: ビジネス・技術要件および非機能要件を各柱ごとに洗い出す
運用優秀性
- 運用プロセスの明確化: デプロイ頻度、監視、運用管理の要求事項を洗い出したか
- 自動化要件: 自動化する部分(CI/CD、運用タスク等)の範囲を定義しているか
セキュリティ
- データ機密性とコンプライアンス: 保護すべきデータ、規制遵守事項を明確にしているか
- アクセス制御と監査ログ: 必要なアクセス権限、監査ログの取得・管理方法を定義しているか
信頼性
- 可用性目標: SLA、RTO、RPOの要求レベルを設定しているか
- バックアップ/災害復旧: 障害時のリカバリ方法、バックアップ戦略を整理しているか
パフォーマンス効率
- 負荷と性能要件: トラフィック量、レスポンスタイム、スループットなどを明確にしているか
- スケーラビリティ: 需要変動に対する拡張性の要求事項を整理しているか
コスト最適化
- 予算と投資対効果: コスト目標、予算、優先すべきコスト削減ポイントが定義されているか
- リソース利用方針: 無駄なリソースの排除や従量課金モデルの採用など、コスト管理の考え方があるか
持続可能性
- 環境配慮の要件: カーボンフットプリント削減、グリーンエネルギー利用等、環境への配慮目標が設定されているか
2. 方式設計
目的: システム全体のアーキテクチャ方針と高レベルな設計(パターン、冗長性、セキュリティ)を策定する
運用優秀性
- 運用フロー設計: モニタリング、アラート、インシデント対応の基本方針を策定しているか
- 自動化戦略: CI/CDやオペレーション自動化の方向性が示されているか
セキュリティ
- ゼロトラストの基本方針: ネットワーク分離、セキュリティグループ、IAMの設計方針が策定されているか
- セキュリティポリシー: マルチアカウント戦略、監査証跡(CloudTrailなど)の基本設計ができているか
信頼性
- 高可用性設計: マルチAZ/リージョン構成、負荷分散の導入計画があるか
- 耐障害性: 単一障害点の排除、冗長性の確保方法が明確か
パフォーマンス効率
- パフォーマンス計画: リージョン選定、CDN活用、負荷分散の方向性が示されているか
- スケーリング: サーバーレスやコンテナ、オートスケーリングなどのアプローチが検討されているか
コスト最適化
- リソース最適化: マネージドサービス、従量課金モデルの利用で無駄なコストが発生しない設計になっているか
- 過剰プロビジョニングの回避: 適切なリソース選定の方針があるか
持続可能性
- エネルギー効率: 省電力型のリソース(例: Graviton)の採用検討、エネルギー消費削減のアプローチがあるか
- 環境負荷削減: サステナビリティを考慮した設計方針が含まれているか
3. 基本設計
目的: ネットワーク、ストレージ、計算リソース等のインフラの基本構成を定義する
運用優秀性
- ネットワーク設計: VPC、サブネット、ルーティング、セキュリティグループ・ACLの基本設計ができているか
- 運用管理のためのタグ付け: リソース管理・コストトラッキングのためのタグ戦略があるか
セキュリティ
- データ暗号化: 保存時・転送時の暗号化方針、キーマネジメントの設計がされているか
- アクセス制御: ネットワークACLやセキュリティグループによるアクセス制限が適切に設計されているか
信頼性
- 耐障害性: マルチAZ/フェイルオーバー、クラスタリング、バックアップ配置が計画されているか
- 災害復旧: 異なるリージョンやオフサイトバックアップの要件が含まれているか
パフォーマンス効率
- スケーラブルな設計: オートスケーリング、キャッシュ(ElastiCache、CloudFrontなど)の活用計画があるか
- ネットワーク最適化: パブリック・プライベートサブネットの分離、VPN/Direct Connectの設計が明確か
コスト最適化
- リソースサイズの適正化: インスタンスのサイズ選定、オンデマンド・リザーブドの使い分けが検討されているか
- 常時稼働リソースの見直し: 不要な常時稼働リソースの排除、適切な利用率の設計ができているか
持続可能性
- リソースの最適利用: 省電力型サービスの活用、エネルギー効率を意識した設計がされているか
- 環境モニタリング: クラウド利用による環境負荷の定期レビュー計画があるか
4. 詳細設計
目的: AWS各サービスの具体的な設定、パラメータ、運用手順まで落とし込む
運用優秀性
- サービス設定の詳細: EC2、RDS、S3などの具体的なパラメータ設定(例: EBS最適化、RDSのマルチAZなど)が決まっているか
- Infrastructure as Code: CloudFormationやTerraformでの構成管理が計画されているか
セキュリティ
- 詳細なアクセス管理: IAMポリシー、ロール、セキュリティグループの詳細設定ができているか
- 監査ログと脅威検出: CloudTrail、GuardDuty、Security Hubの設定が具体的に落とし込まれているか
信頼性
- 監視とアラーム: CloudWatchを使ったモニタリング、重要メトリクスのアラーム設定が明確か
- ログ管理: ログ集約、保存期間、ローテーションポリシーの詳細設計ができているか
パフォーマンス効率
- スケーリング設定: オートスケーリングポリシー、Lambdaの同時実行数設定、負荷テスト計画が策定されているか
- パフォーマンスチューニング: キャッシュ(ElastiCache、CloudFront)やコンテンツ配信の詳細設計があるか
コスト最適化
- リソース利用の自動調整: 不要時のリソース解放、スポットインスタンスやSavings Plansの利用方針が詳細化されているか
- コスト監視: リソースごとのコストモニタリング設定(AWS Cost Explorer等)の実装計画があるか
持続可能性
- 運用自動化での省エネ: デプロイ、スケーリングの自動化によって、無駄なリソース使用を抑える設計になっているか
- 環境パフォーマンス: 持続可能性指標(エネルギー効率、カーボンフットプリント)のモニタリング方法が決まっているか
5. 運用設計
目的: システム稼働後の監視、インシデント対応、継続的改善の体制を整える
運用優秀性
- 監視体制: 24/7監視体制、オンコール体制、CloudWatchやカスタムメトリクスの設定が整備されているか
- インシデント対応計画: 障害発生時の連絡体制、エスカレーションルール、復旧手順が文書化されているか
セキュリティ
- セキュリティインシデント対応: インシデントレスポンス計画、定期的なセキュリティ演習が計画されているか
- 定期的な監査: セキュリティポリシー、ログ監査、アクセス権の定期レビューが運用プロセスに組み込まれているか
信頼性
- 運用レビューと改善: 障害やインシデントのフィードバックループを作り、定期的にシステム改善を実施しているか
- バックアップとリカバリ: 定期的なバックアップの復元テスト、DR計画のレビューがスケジュールされているか
パフォーマンス効率
- 実運用のパフォーマンス監視: 稼働中のシステムパフォーマンス(レスポンス時間、スループット)の定期チェックが実施されているか
- スケーリング運用: 自動スケーリングが期待通り動作しているか、負荷変動に合わせたリソース調整が行われているか
コスト最適化
- 継続的なコスト監視: AWS Cost Explorer、Budgetsを用いた月次レビュー、リソースの最適化が運用に組み込まれているか
- 不要リソースの廃棄: ゴミリソースの放置防止、リソース利用率の定期的な見直しができているか
持続可能性
- 環境負荷のモニタリング: クラウド利用のエネルギー効率、カーボンフットプリントの定期チェックが実施されているか
- サステナビリティ目標のレビュー: 組織として設定した環境目標の達成状況を定期的にレビューし、改善策を実施しているか
このチェックリストを実装すれば、AWS環境の各フェーズで求められる基本・詳細設計、運用体制が漏れなくカバーされます。
正直に言って、すべての項目を自動でカバーするのは簡単ではないですが、これをしっかり見直して進めれば、必ず安全で効率的なシステムが実現できるはずです!
頑張ってください。応援しています!
Discussion