【Vol.15】Claude Design入門 — 提案書・スライド・プロトタイプをプロンプトから作る
はじめに
こんにちは。株式会社リアルインベントCTOです。
今回は、Anthropicが2026年4月に公開したビジュアル生成ツール「Claude Design」を取り上げます。
弊社にはデザイン部門があり、数名のデザイナーが在籍しています。なので正直に言うと、最初にこのツールを見たときの関心事は「これはデザイナーの仕事を奪うのか?」でした。1ヶ月ほど触ってみた結論を先に書くと、答えはノーです。Claude Designが変えるのは「何をデザインするか」ではなく、「デザイナーへのイメージ共有をどこまで短い時間で行えるか」という課題に向き合うかです。
本記事では、Claude Designの基本的な使い方と、デザイン部門がある会社での「AIとデザイナーの分業」という使いこなし方を、弊社の実例ベースで紹介します。
この記事でわかること
- Claude Designで何が作れるのか(スライド・LP・プロトタイプ)
- 深掘り質問 → 生成 → Tweaks調整という実際のワークフロー
- PPTX / PDF / Canva / HTMLへのエクスポートと使い分け
- デザイン部門との分業 — 「たたき台はAI、磨き込みはデザイナー」

図1: Claude Designを組み込んだ提案書づくりの分業フロー
1. Claude Designとは
Claude Designは、Anthropicの実験部門「Anthropic Labs」が2026年4月17日にリサーチプレビューとして公開した、AIビジュアル生成ツールです。テキストで「こういう資料が欲しい」と伝えるだけで、次のようなものを生成できます。
- スライドデッキ(提案書・ピッチデック・研修資料)
- プロトタイプ(ボタンを押すと画面遷移する、動くモックアップ)
- ワンページャー・LP(1枚企画書、ランディングページ)
- マーケティング素材
ポイントは、Claudeの有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise)であれば追加料金なしで使えることです(専用の週次使用量が別枠で管理され、上限超過時のみ従量課金)。claude.aiのナビゲーションから起動できます。
従来のデザインツール(PowerPoint、Canva、Figma)との最大の違いは、「テンプレートを選んで自分で組み立てる」のではなく、作りたいものを言葉で説明すると、構成・文章・配色・レイアウトまで含めた完成形が返ってくることです。
2. 実際の生成フロー:3ステップ
「SES企業向けAI研修の提案書」を題材に、実際の流れを紹介します。
ステップ① ざっくりしたプロンプトを投げる
まず作りたいものを日本語で伝えます。この時点で細かい指定は不要です。
中小SES企業の経営層向けに、社内AI研修プログラムを
提案するスライドを作ってください。
ステップ② 深掘り質問に答える
ここがClaude Designの気が利いているところで、いきなり生成せず、精度を上げるための追加質問が返ってきます。「対象者は誰か」「枚数はどのくらいか」「トーンはフォーマルかカジュアルか」といった質問に、選択肢や自由記述で答えて進めます。
プロンプトを書き込む自信がなくても、この質問フォームに答えるだけで要件が固まる設計です。要件定義をAI側がリードしてくれる感覚に近く、非エンジニアの営業メンバーでも使えます。
ステップ③ 生成 → Tweaksで調整
数分待つと、表紙から各章、まとめ、さらにスピーカーノート(発表台本)まで含んだ一式が生成されます。
生成後の調整手段が豊富なのも特徴です。
- チャットで指示:「3ページ目の図をもっとシンプルに」のような自然言語での修正
- Tweaks(スライダー):配色の濃淡やレイアウト密度などを、Claudeが自動生成したスライダーでワンクリック調整
- Editモード:スライド上のテキストをPowerPoint感覚で直接打ち換え
- インラインコメント:要素に直接コメントを付けて修正依頼
「AIの一発生成で終わり」ではなく、初稿を出発点に反復して仕上げるワークフローとして設計されています。
3. エクスポート:作った後どうするか
完成した成果物は複数の形式で書き出せます。用途別の使い分けはこうです。
| 形式 | 向いている用途 |
|---|---|
| PPTX | 社内で最終微調整して客先提出(いちばん使う) |
| 印刷・そのまま配布 | |
| Canva連携/Figma連携 | デザイン部門がブランドに合わせて作り込む場合 |
| HTML | そのままWeb掲載(LPなど) |
| 共有URL | 社内レビュー・コメント収集 |
弊社の実務では「Claude Designで8割 → PPTXまたはCanvaに出して、デザイン部門が会社のフォーマット(表紙・フッター・トーン&マナー)に整えて提出」という流れが定着しそうです。AIの初稿をデザイナーに渡すための出口として、Canva/Figma連携とPPTX出力は特に重要です。
さらに開発会社として見逃せないのがClaude Codeへのハンドオフです。プロトタイプを作った後、ボタン一つでClaude Codeに引き渡して実装フェーズに進めます。「デザインと実装の分断」を最小化する思想で、企画→デザイン→実装が1つのエコシステムで繋がります。
4. SES企業での使いどころ — デザイン部門との分業
1ヶ月ほど触った時点での、弊社での活用シーンです。前提として、弊社にはデザイン部門があります。それでもClaude Designが効くのは、デザイナーの時間の使い方が変わるからです。
① 営業提案書のたたき台。従来、提案書はゼロからの初稿作成に半日〜1日かかり、その多くをデザイン部門か営業自身が担っていました。Claude Designなら、営業やエンジニアが自分で15〜30分で「議論できるレベルのたたき台」を出せます。デザイナーはゼロから作る仕事から解放され、ブランド調整と磨き込みに集中できます。
② 開発前のプロトタイプ。「こういう画面イメージです」を口頭やワイヤーフレームで伝える代わりに、動くプロトタイプを見せられます。受託開発の要件定義で「作ってから認識違いに気づく」リスクを減らせるのは、開発会社として実利が大きい。エンジニアが作ったプロトタイプを起点に、UI設計はデザイナーが引き取る、という受け渡しもスムーズです。
③ 社内提案・報告資料。経営会議向けの資料などは、内容が命でデザインに時間をかけたくない典型です。こうした「社外に出ない資料」までデザイン部門に依頼するのは気が引けるもの。ここをAIに任せれば、デザイナーの工数を顧客向け・採用向けの本当に品質が問われる仕事に温存できます。
④ 採用ピッチ資料。会社説明資料のリニューアルでは、Claude Designで構成案とビジュアルの初稿を複数パターン出し、その中からデザイン部門が方向性を選んで作り込む、という使い方を試しています。「どの方向性で行くか」の検討段階を高速化できるのは、デザイナー側からも好評でした。
5. 現時点の限界と注意点
正直な評価として、まだ癖もあります。
- リサーチプレビュー段階であり、挙動や提供条件が変わり得る
- 日本語フォントやレイアウトの細部は崩れることがあり、編集可能形式での書き出しは調整が必要な場合がある。最終品質が必要ならPPTX出力後にデザイナーが仕上げる前提で
- 週次使用量は別枠管理とはいえ無限ではない。大量生成する日はタイミングの分散を
- 機密情報の扱いは通常のAI利用ポリシーと同じ注意を。顧客名や未公開情報を含む提案書は、社内ルールに沿って抽象化してから
念のため強調しておくと、Claude Designは「デザイナーの代わり」にはなりません(一部は担えるかもしれませんが、、、)。
ブランドの一貫性、細部の品質、顧客の温度感に合わせた表現——こうした部分は引き続きデザイナーの領域です。現時点の等身大の評価は、ゼロ→デザイナーへの共有の工程を誰でも短い期間でこなせるようにし、デザイナーの初稿→完成品の磨き込みに振り向けられるツールです。代替ではなく、分業の再設計です。
6. まとめ
- Claude Designはプロンプトからスライド・プロトタイプ・LPを生成するAnthropic Labsの新ツール。有料プランなら追加料金なし
- 深掘り質問→生成→Tweaks調整の流れで、プロンプトに自信がなくても使える
- PPTX/PDF/Canva/HTMLへ書き出せて、Claude Codeへのハンドオフで実装まで繋がる
- SES企業の使いどころは提案書のたたき台・要件定義用プロトタイプ・社内資料・採用資料
- 位置づけは「デザイナーの代替」ではなくたたき台はAI、磨き込みはデザイナーという分業の再設計。初稿づくりを民主化し、デザイナーは品質が問われる仕事に集中できる
次回Vol.16は応用編として、Gemini・ChatGPTなど他の生成AIとClaude Designを連携させる「AIリレー」のワークフローを紹介します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
- Anthropic公式「Introducing Claude Design — Anthropic Labs」(2026年4月17日)
- Claude Help Center「Get started with Claude Design」
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