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IPA試験 午後Ⅱ論述試験の対策方法

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私事ですが2025年4月にITストラテジスト試験、10月にプロジェクトマネージャ試験に合格しました。どちらもIPA試験の中でも特に取得したかった試験なのでとても嬉しかったです。
IPAの高度試験を受けている方はご存知かもしれないですが、この2試験はどちらも午後Ⅱが論述試験となります。
正直受かるまでは論述試験は苦手意識があったのですが、2試験の合格を通してA評価を取れる論文の書き方がなんとなくわかってきた気がしてきています。そこで一旦自分がやってきたこと、気をつけていることをまとめておこうと思います。

論述試験が通らないと思ってる方の参考に少しでもなれば良いなと思います。

IPA試験の論述試験とは

IPA試験は情報処理推進機構(IPA)が運営している国家試験です。その中の高度試験に区分される試験では午後Ⅱ試験が記述式のものと論述式のものがあります。

論述試験がある試験は以下になります。(ほとんど論述試験になってるやないかいっ)

  • ITストラテジスト試験(ST)
  • システムアーキテクト試験(SA)
  • プロジェクトマネージャ試験(PM)
  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
  • ITサービスマネージャ試験(SM)
  • システム監査技術者試験(AU)

※執筆時点でST、PMしか合格していないのでこの記事はこの2試験の内容がメインになります。ただ共通している部分も多いと思いますし、他の区分に応用することもできると思っています。

注) IPA試験のCBT化と試験再編について

IPAよりCBT方式への移行、および試験再編についての案内が出ています。
これにより使えなくなる内容も出てくるかもしれませんし、論述試験自体が今後も続くかわかりませんので勉強する際はご注意ください。

詳しい情報はIPA公式サイトをチェック。
https://www.ipa.go.jp/shiken/2026/ap_koudo_sc-cbt.html

論文対策

自分の受ける区分を理解する

IPA試験は区分ごとに対象者像が明確に異なります。
対象者像や役割といった情報はシラバスに記載されているのでみてみてください。
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/gaiyou.html

例えばITストラテジスト試験であれば、経営戦略に基づいて、ITを活用した戦略の策定や提案、推進を行う者を想定されています。経営企画やPdMといったポジションの仕事が近いですかね。この区分での論述で必要な視点は、経営課題をITを使って解決するための分析、計画、推進について記載が必要になると思います。
そういった区分での論述試験で、例えばプロジェクトマネージャのようなプロジェクトの課題にフォーカスして、どうプロジェクトを推進していくか書いてもA評価はもらえません。

そのため、きちんと受験する試験の対象者像をしっかり掴みその立場の視点での論述を心がけることが第一歩になります。
以下は2試験に対する私見になります。区分毎に特徴があるので他の区分においてもシラバスや合格者のアウトプットを参考にして、受験前に解像度を高めておくことが大事です。

私見1)プロジェクトマネージャ試験(PM)

プロジェクトマネージャ試験の対象者イメージはPMやPMOだと思います。あるプロジェクトがあってPMとして対応しますといった論文が基本になると思います。
問題はQCD(品質・コスト・納期)の管理やリスク管理、最近ではリーダーシップに関する問も多いイメージです。そのため問題に従って論述するプロジェクトにはそのどれかに課題があるプロジェクトに参画してPMとしてどのように対策してプロジェクトを成功させるかを書いていきます。
多くの問題がプロジェクトの開始、リスクを対策しながら推進、プロジェクトの完了までを時間の流れがある論文になると思います。

私見2)ITストラテジスト試験(ST)

ITストラテジスト試験は経営企画やPdMといったポジションのイメージです。会社によってはIT部門の部長職や取締役を想定した方がイメージが湧くかもしれません。経営課題があって、それに対してITを活用してどのように解決できるか分析して企画するような論文が基本になると思います。
問題は経営課題を起点としてシステム刷新の企画や新しいビジネスモデルの策定、DXによる改革といった問題が出ます。基本的に経営課題により変革の必要が出てきたため、それを解決するために分析し、有効性やROIを算出の上企画して提案するという流れで書いていくと思います。
こちらはPM試験と異なり、経営課題に対してIT戦略の立案がメインになるので分析、立案、提案して承認という、プロジェクト立ち上げ以前の話が論述の大部分になったかなと思います。

論述試験の基本ルールを覚える

論述試験の書き方にはある程度決まった書式があります。個人的に意識している点をまとめておきます。参考書に詳しく書いてあるので論述試験を受けたことない人は買って読んでみると良いと思います。

1. 章立てをする

基本的に章立てします。
例えば設問1に「あなたの参画したプロジェクトの特徴と課題を述べよ」みたいな設問だった場合、以下のように章を書いてから論述します。

1.プロジェクトの特徴と課題
1-1.プロジェクトの特徴
 実際に論述していく
1-2.プロジェクトの課題
 実際に論述していく

基本的には設問で述べよと言われてる内容をそのまま書いていって大丈夫だと思います。
階層は1階層だけでも問題ないです。上記の例だと「1.プロジェクトの特徴と課題」だけで設問1を全て書いても問題ないですが、分けた方が伝わりやすいと感じたら分けて書いた方が良いと思います。(文字数も稼げるし。)
ちなみに設問は1,2,3と分かれてますが論文は繋がってますので、設問2は「2.~」、設問3は「3.~」となります。

2. 段落分けや段落のはじめの字下げを行う

国語ですね。論述なので段落を意識して段落の始めは字下げしましょう。
また段落が変わる時は行の途中でも次の行に行きましょう。ここ僕も国語は苦手なので感覚で段落は変えていってます。
行の最初の方で文章が終わって、次書くことが段落変えられそうな時はテンション上がりますよね。(笑)
あと、行の最後の文字の後に句読点がある場合はその行の最後の文字に含めて書きます。行の最初の文字が句読点にならないように気をつけましょう

3. 「以上」で締める

これたまに試験後に「以上ちゃんとかけた!」「以上忘れた!」みたいなポストをXで見かけるんですけど、設問3の最後の行は以上だけを行の一番右に書きます。
終わりだよって明示的に書くことで論文の基本だと思うんですけど、確か参考書にも以上で締めるって書いてた気がします。
これはでも僕もITストラテジスト試験の時は書き忘れた気がしたので多分これだけでは不合格にはならないと思いますが、減点される可能性はあるので書いておくのが無難ですね。

4. 各設問の最低文字数を必ず満たす

各設問に「何文字以上で」とか「何文字以上何文字未満で」と指定されているのでちゃんと守って書きましょう。これは満たせないと落ちる可能性大な気がしますのでマストで守るようにしましょう!

論述の流れを覚える

論述試験は設問は3つに分かれてますが、全てを繋げて一つの論文になります。試験によって特徴が変わるので一概には言えませんが、論述の流れは基本的に以下のようになると思います。

  • 設問1: プロジェクトの概要や課題といった背景
  • 設問2: 課題を対策し、推進する実際の対応
  • 設問3: 振り返り

「序論」「本論」「結論」という基本的な論文の構成と同じイメージですね。

論述の構成のイメージを掴むためのTips

言われていることはわかるけど、いざ構成するとなるとどうすれば良いのかわからない、という方もいるかもしれません。受かる前の僕もそうでした。たくさんの合格論文をインプットして共通点や話の流れを分析することで、だんだんと構成のコツが掴めるようになりました。

個人的には論文で書くこととして以下のようなイメージを持っています。

論文での記述内容のざっくりしたイメージ

構成を考える順番は設問の順番とは逆で、設問2→設問3→設問1の順で考えるのがおすすめです。

まず初めに決めるのは設問2です。
理由は問題への回答の主たる部分を設問2に論述するからです。ここが求められてる回答からかけ離れていたりするとA評価はもらえないと思います。また、設問2は1,200字以上書く必要があることが多いと思うので、多くの文字を論述できる内容を自分が持ってないと使えません。そのためまずは設問2を自分が十分論述できるネタで固めます。
ここは受験者によって回答が全然違うので合格論文をそのまま使うみたいなことはあまりできないですが、どのような書きぶりで書くかはインプットしておくと良いと思います。

次に設問3の内容を考えます。設問3は設問次第で内容が変わるのですが、プロジェクトマネージャ試験であればプロジェクトの振り返り、ITストラテジスト試験なら取締役会での提案といった内容が多いと思います。
主には以下の流れで十分指定文字数を書ける内容を論述前に考えておきます。

  • プロジェクトの結果(成功/ほぼ達成/一部課題残り)
  • 成功した要因や特に工夫した点
  • 残った課題や次回への改善点
  • 取締役やプロジェクトスポンサーからの評価

「プロジェクト自体は(設問1で懸念されていた)課題は(設問2で対応して)問題が発生せずに無事成功した、一方でプロジェクト上影響はなかったが、こういった小さな問題が起きた(起きかけた)。ここは今後こういった対応をして問題が起きないようにしていきたい」といった感じの流れがオーソドックスな構成かと思います。
設問3も話の流れは合格論文でインプットできるかと思うのでパターンをインプットして自分のネタに適用させていくのが良いと思います。

最後に設問1を考えますが、正直上記2つの内容ができていればほとんど設問1の内容は決まっているかと思います。まず実際にどのようなプロジェクトなのか、今回何をするのか、自分はどんな立場で参画しているのかを説明し実際の舞台をイメージさせます。そして設問2で対応する課題や対応することになった背景がこのプロジェクトには必ず存在するはずなので、その課題や背景を記述します。(漫画とかでいう伏線を張るということに近いと解釈してます。)
例えば、新規事業のDX推進プロジェクトを題材にするとします。「前例が少なく組織横断的な合意形成が難しい」「社内にデータ活用の知見がなくベンダーへの依存度が高い」といった課題を設問1に仕込んでおくことで、設問2での対応策(ステークホルダーへのコミュニケーション計画や体制構築)を自然に展開できます。
設問1は合格論文をそのまま真似して書けることも多いので自分の書きやすいパターンを用意すると時間をかけずに記述できると思います。

論述内容の構成について理解する

これが受かるために一番必要な能力で構成の作り方を理解していないと受からないと思います。ほとんどの参考書等で構成をまず作ることが推奨されています。
構成とは各章で何を書くのか概要レベルでまとめる作業のことを指しています。(論文書くためのチートシートですね)

この構成というのを問題冊子のメモ欄に書いていきます。このときに章やタイトルも決めて、各章で何を書くのかを概要レベルで書き出していきます。この構成が設問で期待されてる内容に沿ってるかで合格論文が書けるかが変わってくると思ってもいいくらい大事です。

なぜ構成を作るかというと、初めから論文を書いていったら途中で脱線したり、書きたいこと書いていったら設問で問われてることから離れていったりして途中で軌道修正ができなくなったりします。そのため軸を見失わないように事前に作成します。

構成が書けたら、それをみながら肉付けして論文を書いていきます。構成スカスカだと肉付けしても文字数が足りなくなったりするので注意してください。
実際どのようなレベルの構成を作るのが良いのかは参考書に詳しく書いてると思うのでそちらで学習するのが良いと思います。

ネタをストックする方法

基本的な領域の知識は午前Ⅱ対策を通してきちんとインプットする

前提として、受験する試験の領域に対する知識は必要です。論述試験に集中するあまり午前Ⅱをおろそかにしがちですが、午前Ⅱで問われる知識は論述試験とも密接に繋がっています。

例えばPM試験であれば、WBSやEVM(アーンドバリューマネジメント)、リスクの識別・評価・対応策といったプロジェクトマネジメントの手法が午前Ⅱの範囲に含まれます。STであれば、分析手法やROI算出、DX、エンタープライズアーキテクチャといった概念が出てきます。こういった知識が頭に入っていると、論述の中で専門用語やフレームワークを自然に使うことができ、論文に説得力が生まれます。逆に知識が薄いと、論述が表面的になってしまいフレームワークに沿った深い内容が書けなくなります。

午前Ⅱ対策で出てくる用語や概念を単純に暗記するだけでなく、「この概念は論文のどの場面で使えるか?」という視点を持ちながらインプットしておくと、後々の論述の肉付けにそのまま活かせると思います。

合格論文をたくさん読んでインプットする

合格論文のインプットが最も効果的な対策だと感じています。インプットする際の意識することは2つです。
まず1つは書きぶりやフレーズを意識してみることです。真似できそうなフレーズや言い回しはメモして自分でも使えるようにします。
2つ目は事例として吸収することです。実際にイメージがしやすいようなプロジェクトはそのまま論述できるかもしれないし、この対応は自分の経験したプロジェクトと合わせて論述として使えそうみたいなのはメモして自分の論述に反映します。前述してますが特に設問1のプロジェクト概要は構造が似ているものが多いので、表現を変えながら流用できる部分も多いと思います。

普段の自分の仕事をしっかり理解する

やはり実際に経験したプロジェクトをベースに論述するのが合格率を高める近道だと思います。僕が合格したときも、どちらの試験も経験したプロジェクトをベースにして肉付けしたものでした。

日々の業務にどのような課題があり、どの立場の人がどのように対応して成功に導いているのかを、自分のプロジェクトだけでなく周囲も含めて観察してインプットしておくと、いざ論文を書くときに細かい内容で困りにくくなります。

対象者像の業務についての解像度が上がらないと試験で求められている視点がわからずA評価はもらえないと思うので日々の業務から考えることが大事だと思います。

個人的に思うこと

模試はあまりやらなくて良いかも

試験以外で論文を書くことは一切やりませんでした(やる気が出ませんでした)。その代わり、午後Ⅱの過去問で構成を作ることはやりました。構成の完成度が高いと意外と本番でも書けるものだと個人的には思っています。

ただ、1回も論述試験を受けたことがない方は一度は実際に書いてみることをおすすめします。600字や1,200字がどのくらいの分量なのかという感覚を掴んでおくのが大事です。書いてみて初めて「これだけの量を書かないといけないのか」と実感できることが多いです。

試験時の時間配分

時間配分の目安は以下の通りです。

  1. 最初の5分で問1・問2両方を読み、書きやすい方を選ぶ
  2. 30分程度で構成を作成(問題用紙の余白に箇条書きで骨格を書く)
  3. 残り1時間30分で本文を作成

書く順番は設問2→設問3→設問1の順が書きやすいです。設問2が論文のメインで文字量も最も多く、書き進める中で構成から少し外れた記述が出てくることもあります。そのときに設問1を先に書いていると、辻褄が合わなくなったり伏線にならなかったりする問題が起きやすいです。設問1は最後に書くことで、設問2の内容と整合性を合わせながら伏線を張ることができるのでとても書きやすくなります。

論述の時間配分としては設問2を40分以内、設問3を25分、設問1を15分で10分くらい余らせたいなみたいなイメージを持ってます。
設問1はかなり時間に追われるので事前に合格インプットとか使えるフレーズや流れを見つけて自分のものにしておくと良いですね。

意外とみんな書けてない

試験に向けた参考書や合格論文集を読むと「こんな完成度のものを2時間で書けるわけがないだろ!!」と感じると思います。受かる前の僕もそう感じていました。

でも大丈夫です。実際の試験は2時間という制限の中で初見の問題を読み、構成を考え、書き上げる必要があります。参考書に載っているような完成度の論文を試験中に書ける人はほとんどいないと思います。採点者もその点は織り込んでいるはずで、最低限のルールを守りつつ出題側の意図に沿った内容が書かれていれば、多少粗くても合格します。

事前の準備として「このテーマが出たらこのプロジェクトを書く」という題材を複数用意しておくことも大切です。頻出テーマ(QCD、ステークホルダマネジメント、DXなど)はそれぞれ題材を用意しておくと安心です。実際に自分が関わったプロジェクトに近い題材の方が解像度が高く、いざという時に内容を肉付けしやすくなります。

あと、PM試験の本番では何度も「もう帰ろうかな」と思いましたが、最後まで受け切ったら合格していました。自信がなくても最後まで粘ることは本当に大事です。

おわりに

IPA論述試験は一見難しそうに見えますが、構造を理解して準備を重ねれば十分攻略できます。2試験を通じて感じたのは、「構成の作成」と「合格論文のインプット量」、「自分の経験との紐付け」がカギだということです。

これまでの受験方式ではみんなで集まって紙に書いて回答するのはちょっと学生に戻った感覚で楽しかったのですが、CBT化はちょっと時代の変わりを感じて悲しいですね。これまでは早く文字を書く力や漢字を書けるかとかありましたが、CBT化したら漢字は書けなくていいけどタイピング速度が必要とかになるのかな?
どう変わるかはまだわかりませんが、論述という形式が残ればこの対策も本質は変わらないと思っています。

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