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プロダクト組織で起きた2025年のパラダイムシフトと「全員Product Maker」への道

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\スニダンを開発しているSODA inc.の Advent Calendar 2025 6日目の記事です!!!/

はじめに

SODAでCOOとしてプロダクト部門とマーケティング部門を統括している@kjです。
2024/12に入社してちょうど一年が経ちました。

2024年末と2025年末。たった1年の差ですが、プロダクト開発の現場、そしてSODAという組織の景色は劇的に変わりました。
今年は明確に「AIの実用化」が進歩した年でした。SODAでは新しいツールが出れば即座に試し、実務に組み込む体制を構築していますが、このスピード感についてくること自体がひとつの才能と言えるほど、変化の激しい1年だったと感じています。

2025年、SODAの開発現場で何が起きたか

まずは、社内で日常的に触れているツールスタックの変化から。
もはや「AIを使う」は当たり前で、「どのAIツールを使うか」という適材適所のフェーズに入っています。

  • PM: Cursor, Gemini
  • 開発: Cursor, Devin, Claude Code, Kiro
  • デザイナー: Gemini (Nano Banana Pro), Figma AI
  • 全社: Perplexity, Claude
    (詳細は後述)

これらが浸透した結果、SODAでは時系列で以下のようなドラスティックな変化が起きました。

  1. AIコーディングの確立(Devin / Cursor)
    開発速度が劇的に向上しただけでなく、一部の開発業務が民主化されました。「コードを書く」という行為のハードルが下がり、非エンジニアでもプロトタイプに触れる領域が増えています。
  2. 仕様作成の簡素化(Gemini / Claude)
    PMの負荷が大きく軽減されました。要件を投げて叩き台を作らせるフローが定着し、PMは「何をなぜ作るか」の思考に時間を割けるようになりました。
  3. Spec Driven Developmentの実現(Kiro)
    まだトライアル中ですが、エンジニア主導で仕様策定から開発への落とし込みが可能になりました。上流から下流への情報の断絶がなくなりました。
  4. 高精度モックによる合意形成(Nano Banana Pro)
    デザイナーとのコミュニケーションコストが激減しました。言葉で説明するよりも「これ」と高精度なモックを見せることで、手戻りのない提案が可能になっています。

"戦略"と"改善"のジレンマを解消する

ここからは、こうした変化が「組織マネジメント」にどう影響するか、そして未来予測について話します。

組織規模がまだ大きくないプロダクト組織にとって、永遠の課題とも言えるのが 「事業戦略の達成(トップダウン)」と「プロダクトの改善(ボトムアップ)」のバランス です。
戦略アイテムが多すぎると、エンジニアリソースがそこに吸われ、現場発信の「もっとこうしたい」という改善開発が後回しになりがちです。これは正確には「戦略に対するエンジニアの人数不足」が原因でした。

しかし、AIの進化がこの構造を変えつつあります。
技術的な難易度が高く、アーキテクチャ設計力が求められる「戦略開発」は、引き続きエンジニアとAIが協業して推進する。一方で、ボトムアップの細かい改善開発や機能追加は、AIを活用して全面的に推進してしまう。
そんな 「AIによるボトムアップ開発の自走」 が可能になることで、リソース不足による機会損失を最小限にできる体制が見えてきました。

エンジニアのキャリアは「二極化」し、職能の境界は溶けていく

この変化は、エンジニア個人のキャリアにも大きな分岐点をもたらすと考えています。
私は今後、エンジニアは大きく2つの方向に分かれていくと予想しています。

  1. 技術で"事業"を作る「プロダクトエンジニア」(PM領域への拡張)
  2. AIも及ばない難課題を解く「高度スペシャリスト」(技術領域の深化)

これまでAppやFrontendのエンジニアと仕事をする中で、「もっとこうすればユーザーは嬉しいはず」という鋭い提案を数多く受けてきました。彼らは実装を通じてユーザーとの接点を持っているため、肌感覚として「正解」を知っていることが多いのです。

こうしたエンジニアがAIという武器を手に入れると、どうなるか。
これまでボトルネックだった「ドキュメント作成」や「デザイン調整」のコストがAIで圧縮されるため、コードを書くだけでなく、仕様を決め、機能を実装し、リリース判断までを一気通貫で行えるようになります。
つまり、「PM業務を兼務する」のではなく、エンジニアリングの一環として「プロダクトマネジメントまで内包する」。そんな、より広義な意味でのエンジニアへの進化が加速すると考えています。

"総合格闘技"化するプロダクト開発と、求められる意識改革

では、全てのプロダクト開発に携わる人に向けて、今後どう意識を変えていくべきか。
結論から言えば、 「職能の境界線にこだわらないこと」 が唯一の生存戦略であると考えています。

組織規模が大きくなればなるほど、分業化は進み、サイロの中に更なるサイロができていくのをこれまで経験してきました。

エンジニアがPM的な動きをするようになる一方で、PMやデザイナーもまた、AIを使ってコードや動くモックアップを生成できるようになります。これまで「エンジニア」「デザイナー」「PM」という肩書きで分断されていたサイロ化された組織は、AIによって溶かされ、全員が 「プロダクトを作る人(Product Maker)」 という原点に回帰していくと考えています。

1. "How"はAIに、人間は"Why"と"Decision"に

「どう作るか(How)」のコストが極限まで下がる未来において、価値を持つのは「なぜ作るか(Why)」と「それをリリースするか否か(Decision)」の判断です。
エンジニアの領域が広がるのと同様に、PMもまた「作る側」へ越境していくのが自然な流れだと考えています。これまではエンジニアにお願いしていた検証も、AIを使えば自分の手でプロトタイプまで作れてしまう。「技術がわからない」というハードルが消滅した世界で、仕様書という「静的な言葉」ではなく、プロトタイプという「動く体験」で議論できるPMが増えていくだろうと考えます。

2. 全員が「AIエージェントのマネージャー」になる

これからのプロダクト開発は、自分一人で完結させるのではなく、DevinやClaudeといった「優秀なAIエージェントたち」をどう指揮するかという、ディレクション能力が問われます。
自分が手を動かすのが一番早い、というプライドはいったん捨てた方がいいと考えます。自分はチームの監督となり、AIという選手たちを動かして、チーム全体(=自分+AI)のアウトプットを最大化する。そのマインドセットへの切り替えが、2026年以降のリーダーシップの基本形になりえます。

おわりに

2024年まで議論されていた「AIに仕事が奪われる」という不安は、2025年の今、 AIとどう付き合っていくか という考え方が変わってきました。
奪われるのではなく、面倒なことを押し付けられる相棒 ができたのです。

やるべきことは変わらず、事業を伸ばし、ユーザーに価値を届けること。その本質的な目的に対して、かつてないほど純粋に向き合える時代が来る未来が目の前にあります。

2026年は境界線を超えて、泥臭く、けれどスマートに。エンジニアもPMもデザイナーも、全員が「Product Maker」になって、共にプロダクトづくりを楽しんでいきましょう。

SODAでは、そんなカオスでエキサイティングな環境を楽しめる仲間を募集しています。

🛠️ SODAで活用しているAIツール・スタック

記事内で触れた、SODAのプロダクト開発を支える主要ツール一覧です。

Product Management (PM)

  • Cursor
    • AIネイティブなコードエディタ。PMが自身でプロトタイプを作成したり、コードベースの仕様を確認する際に利用。
  • Gemini
    • GoogleのマルチモーダルAI。膨大なドキュメントの整理や、仕様書の叩き台作成、多言語対応などに活用。

Development (Dev)

  • Devin (by Cognition)
    • 自律型AIソフトウェアエンジニア。タスクを投げると実装からデプロイまでを完遂してくれるため、開発の「手」を増やす存在として定着。
  • Claude Code
    • Anthropicのターミナルベースのコーディングエージェント。複雑なロジックの解析やリファクタリングに強み。
  • Kiro
    • Spec Driven Development(仕様駆動開発)ツール。仕様書とコードの乖離を防ぎ、エンジニア主導の設計プロセスを加速させる。

Design

  • Gemini (Nano Banana Pro)
    • モバイルデバイス等で動作する軽量かつ高性能なモデル。高精度なモックデザインの即時生成や、UIパターンの提案に利用。
  • Figma AI
    • Figmaに統合されたAI機能。テキストプロンプトからのレイアウト生成や、デザインシステムの自動適用による作業効率化。

全社共通 / リサーチ

  • Perplexity
    • 対話型検索エンジン。技術調査から市場リサーチまで、精度の高い情報収集ツールとして全社的に標準化。
  • Claude
    • 長文脈理解に優れたAIアシスタント。会議の議事録要約、ドキュメント解析、壁打ち相手として広く浸透。
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