ブラウザで使えるペアワイズテストツール:PictRiderの紹介
PictRiderはペアワイズ法によるテストケースをブラウザ上で生成できるツールです。
インストール不要・アカウント登録不要で使い始められ、入力したデータはブラウザ内で処理されます。
組み合わせテストやペアワイズテストそのものの考え方、有効性、使いどころについては、本記事では詳しく説明しません。
詳しく知りたい場合は、ソフトウェアテスト技法に関する書籍や既存の記事を参照してください。
この記事では、PictRiderの主な機能、PictMasterとの違いに絞って紹介します。
まず試してみたい方はこちら
PictRiderの主な機能

ブラウザだけで利用できる
PictRiderはWebアプリケーションとして動作します。
専用アプリやExcelマクロ、CLIツールをセットアップしなくても、ブラウザを開くだけでペアワイズのテストケース生成を始められます。アカウントの作成も必要ありません。
また、PWAとしてインストールしておけば、ネイティブアプリに近い感覚で利用できます。日常的にテスト設計で使う場合でも起動しやすい形にしておけます。
パラメータと値を画面上で編集できる
テスト対象の因子は、画面上の入力欄にパラメータと値として定義します。
たとえば、次のようなモデルをそのまま入力できます。
Type: Single, Span, Stripe, Mirror, RAID-5
Size: 10, 100, 500, 1000, 5000, 10000, 40000
Format method: Quick, Slow
File system: FAT, FAT32, NTFS
Cluster size: 512, 1024, 2048, 4096, 8192, 16384, 32768, 65536
Compression: On, Off
値はカンマ区切りで入力でき、行の追加や削除も画面上の操作で行えます。
制約条件を扱える

実際のプロダクトでは、「この値とこの値の組み合わせは存在しない」「この条件のときだけ別の条件が必要」といった制約がよくあります。
PictRiderでは、制約条件を画面上のテーブル形式で入力できます。
さらに、PICTの制約構文を直接編集するDirect Edit Modeも用意されています。
シンプルな制約はUIで入力し、細かい条件や既存のPICTモデルに近い表現が必要な場合は直接編集する、という使い分けができます。
サブモデルを指定できる
PictRiderはサブモデルにも対応しています。
サブモデルを使うと、特定のパラメータ群だけ組み合わせ強度を高めることができます。
たとえば、決済方法、通貨、クーポン種別のように相互作用が強い領域だけを重点的にカバーしたい場合に有効です。
組み合わせ強度やランダム生成を設定できる
オプションでは、組み合わせの強度を指定できます。
必要に応じて、2因子だけでなく3因子以上の組み合わせも指定できます。
また、ランダム生成とシード値の指定にも対応しています。
同じモデルから異なる並びのケースを作りたい場合や、生成結果を再現したい場合に使えます。
結果をCSVやTSVでダウンロードできる
生成されたテストケースは画面上の表で確認できます。
そのままCSV、Excel向けCSV(BOM付き)、TSVとしてダウンロードできるため、スプレッドシートやテスト管理ツールへ持ち込みやすくなっています。
必要に応じて、PICTに渡されるモデルファイルの内容も表示できます。
画面で入力したモデルが、実際にどのようなPICTモデルとして解釈されているかを確認できるので、レビューやトラブルシュートにも役立ちます。
ブラウザ内で処理される
PictRiderのテストケース生成は、WebAssemblyを使ってブラウザ内で実行されます。
入力したパラメータ、値、制約条件はサーバーに送信されません。
アクセス解析のためにブラウザの種別など最低限の情報だけは取得しています[1]。このアクセス解析はPWAとしてインストールすれば無効になります。
PictMasterとの違い
PictRiderはExcelベースのペアワイズテスト支援ツールであるPictMasterから大きな影響を受けています。
PictMasterに慣れている人にとって、PictRiderは「同じ考え方をブラウザ上で扱えるようにしたツール」と捉えると理解しやすいかもしれません。
PictMasterはExcel上でモデルや結果を扱えることが強みです。
既存のテスト設計資料やレビューの流れがExcel中心であれば、PictMasterの使い勝手は大きな利点になります。
PictRiderはブラウザで完結することを重視しています。
CLIやExcelマクロの準備をせずに、Webページを開いてパラメータを入力し、その場で結果を確認できます。OSの種別やExcelの有無を考慮する必要はありません。
エンジンにはPictMaster同様にPICTを使用
PictRiderは、PictMasterと同様に、組み合わせ生成の中核にMicrosoftのPICTを使用しています。
PICTはペアワイズテストケース生成で広く使われてきたツールです。生成エンジンには実績のあるPICTを使いつつ、入力、実行、出力の体験をブラウザ向けに再設計しています。
PICTの制約構文にも対応しているため、既存のPICT利用者にとっても考え方を移行しやすくなっています。一方で、初めてペアワイズテストを使う人でも、画面上の入力欄から始められるようになっています。
こんな場面で使いやすい
PictRiderは、次のような場面に向いています。
- ペアワイズテストを試したいが、CLIやExcelマクロの準備に時間をかけたくない
- ブラウザ上でパラメータを調整しながら、生成結果をすぐに確認したい
- 制約条件を含む組み合わせテストを、手軽に作成したい
- 生成結果をCSVやTSVで出力し、テスト管理ツールやスプレッドシートに取り込みたい
- 入力した仕様情報をサーバーに送らず、ブラウザ内で処理したい
特に、探索的にモデルを作りながらテストケース数を確認したい場面では、Web UIの手軽さが有効です。パラメータを追加し、制約を入れ、生成結果を見て、また調整する、という流れを短いサイクルで回せます。
注意点
いくつか注意すべき点があるため、そちらも記載します。
- 入力結果・出力結果ともに自動保存はされない。リロードなどで消えてしまう
- サーバーサイドやアカウントを持たないための制限です。必要に応じてダウンロード等で対応してください
- 制約入力をDirect Edit Modeにした場合、内容をクリアしないと表形式に戻すことができない
- 表形式で表現できる制約式に限界があるための制限です
- サブモデル出力のアルゴリズムがPictMasterと異なるため、出力が異なる場合がある
- PictRiderはPICTのサブモデル機能をそのまま使っています。対してPictMasterが独自のアルゴリズムを使用していることによる差異です
まとめ
PictRiderは、PictMasterのようなPICTベースの組み合わせテスト生成のGUIツールを、ブラウザで使いやすくしたWebツールです。
インストール不要・アカウント登録不要で始められ、パラメータ、制約、サブモデルを画面上で編集できます。
生成エンジンにはPictMaster同様にPICTを使用し、その処理はブラウザ内で実行されます。
Excel中心でテスト設計を進めたい場合はPictMasterが便利です。
一方で、ブラウザだけで素早くペアワイズのテストケースを作りたい場合、PictRiderは軽快な選択肢になります。
まずは小さなモデルから入力して、テストケースがどのように出力されるかを試してみてください。
さいごに
以下の記事ではAIエージェントから使えるペアワイズテストのスキルを紹介しています。良ければこちらもご覧ください。
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