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最短で核融合工学に入門する順番
背景
近年、趣味として広く浅くダラダラと核融合を学んでいる。核融合工学に入門する時の地図みたいなものは掴めているはずなので、脳内知識をダンプしてみる。核融合"工学"なんで、発電する時のプラズマの制御を対象としていて、宇宙プラズマみたいなのは省く
ツイッターで見る物理学好きが良くやる勉強ルートとはいささか離れている?気がするので、ここで強調する意味はよりいっそうあるとは思う(ちなみに、ここに書いてあるようなことAIに聞いたらなんか魂のない答えが返って来た)
初期状態
- 高校数学・物理は理解しているものとする。
- 核融合発電にどうしてプラズマの制御が必須なのか?みたいな話をうっすら理解しているものとする。子供向けの資料とかいっぱい調べれば分かると思う(ちなみに筆者がこれを認識したのは大学生活中盤である)
順番
- 線形代数
- 電磁気/電磁波(数学として、微積分/ベクトル解析/複素解析)
- 信号処理(数学として、複素解析/フーリエ変換/ラプラス変換)
- 制御工学
- 解析力学/変分法
- 熱力学・統計力学(ボルツマン方程式まで)
- 流体力学
- プラズマ理工学
- コンピュータの仕組み
- 数値解析とその高速化
(微積分)
- 頑張って独立して勉強しなくても良い気はする、個人的には
- 厳密な話とかは、まあ存在を知って飛ばし、余裕があれば後で数学科に突っ込まれないように勉強しよう
- 偏微分とか面積分とかのガチで物理に応用するやつはベクトル解析・電磁気と一緒にイメージを掴んだ方が効率が良さそう
(力学)
- 大学の最初に学ぶアレ
- 高校の物理を微積分的に解釈出来ていれば、まあ軽くで良い気はする
線形代数
- 行列とか基底とかテンソルみたいな発想はまあ腐るほど使う、固有値とか対角化みたいな概念は信号処理や制御工学や数値解析になったら出てくる
- まあ教養なので全部やりましょう
- 使った資料:基礎講義線形代数学(二木昭人)
(微分方程式)
- これもなんか、独立して勉強する意味はあるのか?という気はする
- 有名な形のやつを見かける度にネットで解き方を調べれば良い気はする
電磁気/電磁波
- ガチ大事
- これと同時にベクトル解析・複素解析をやるとイメージが湧きやすい
- 使った資料:電磁気学(横山順一)/EMAN
(統計学)
- 信号処理・制御工学・統計力学とかで知識使ったっけ?忘れた
- 独立して統計学を学ぶとどうしても検定とか分析とかそっち方面の知識が重くなるので、必要な知識(なんたら分布とか)が出たら調べるくらいでも一旦は大丈夫とは思う
- 厳密な話とかは、まあ存在を知って飛ばし、余裕があれば後で数学科に突っ込まれないように勉強しよう2
信号処理
- フーリエ変換・ラプラス変換(物理で頻出)を理解し、アルゴリズムとして高速フーリエ変換(数値解析で頻出)を理解する
- 逆ラプラス変換に複素解析を使う
- 使った資料:やる夫で学ぶディジタル信号処理
制御工学
- 飛ばすかどうかちょっと迷う
- 基本的に、こいつ(授業で習うような手法)でいきなり扱うにはプラズマ制御は複雑すぎるのだが、核融合炉の周辺機器に使ったり、あとナイキストの安定判別法って言葉が不安定性がらみでちょろっと出て来たりする。まあ制御には変わりないので知見を使うことは普通にあると思う
- 極めていくと最適制御理論とかになって最適化とか解析力学とか使うんですかね、あまり詳しくない
(このあたりまで、筆者が電気系出身で学生時代に勉強したので順番をあまり記憶していない)
(相対性理論・量子力学)
- 核融合反応が発見されたのはこいつらのおかげのはずなのだが、プラズマ制御の段階で使うことはあまりない。なんか数式に光速cが含まれている時に深掘りたくはなるかもしれない
解析力学
- ボルツマン方程式の導出にリウヴィルの定理を使う。とりあえず1冊極めれば後々捗る気はする
- 使った資料:解析力学(伊藤克司)
熱力学・統計力学
- プラズマに手を出したいだけならボルツマン方程式までやれば良い
- なんたらカノニカル分布とかは、少なくともプラズマ初学の時点では使わない(微視的状態の分布よりも粒子の速度分布を重視するため)。量子力学と繋がる部分もあまり使わない
- そのかわり、「巨視的に見るという概念」という統計力学特有の考え方はプラズマで使うのが悩ましい、イメージを得るまで統計集団の実例を学んでも良いかもしれない
- 使った資料:EMAN始め色々なネット資料
流体力学
- プラズマのモデルとして磁気流体力学があるが、実は流体力学の数式が直接使われることはない気がする。しかしその代わり、考え方を共有する場合が多いので一通りやっておくと良い
- オイラー形式とラグランジュ形式・レイノルズ数・層流・乱流・連続の式・なんたらテンソル・なんたら保存則・なんたら不安定性などの概念は磁気流体力学で使う
- 使った資料:EMAN始め色々なネット資料
プラズマ理工学
- モデル
- クリモントビッチ方程式(一番細かい方程式)
- ボルツマン方程式(クリモントビッチ方程式を統計力学っぽく弄ると出来る)
- ブラソフ方程式(ボルツマン方程式の衝突項を0にする)
- ブラソフ方程式を簡約化して出来るもの
- ジャイロ運動論・ドリフト運動論
- 磁気流体力学
- プラズマの性質
- ランダウ減衰
- 凄い雑な言い方をするとプラズマに低周波電磁波を当てると反射が起こり、高周波電磁波を当てるとプラズマが温められるというやつ。核融合炉での加熱や観測に使う
- これの導出には、電磁気、ボルツマン方程式までの物理、フーリエ/ラプラス変換、複素解析といった、総合格闘技的な色彩があって嵌まる人は嵌まりそう、詳細を追えてはいない
- 磁力線と流体との凍り付き
- 解決済みの不安定性とその解決法
- その他諸々
- ランダウ減衰
- 核融合の未解決問題
- 乱流、ディスラプション、その他諸々
- 使った資料:核融合炉設計入門(岡﨑隆司)・核融合炉のためのプラズマ物理(宮本健郎)
コンピュータの仕組み
- 数値解析用に用いる
- ディジタル回路/CPU/OS/コンパイラ/コンピュータアーキテクチャ/スレッド/プロセス/GPU/コンテナ
- 言語:大体FortranとC++
- 並列プログラミング:MPI/OpenMP
数値解析とその高速化
- 大抵の場合は、ブラソフ方程式か、それよりも簡約化されたものが使われる
- ジャイロ運動論・ドリフト運動論
- 磁気流体力学
- 手法はちょっといっぱいありすぎるので省略
- 世にあるコード
- 使った資料:プラズマシミュレーション(プラズマ・核融合学会)
近年の研究動向を日本語で知りたい場合
- プラズマ・核融合学会誌
- プラズマ・核融合を学べる大学・研究室の研究室のサイトの実績を見る
- プラズマ・核融合 若手夏の学校
- 論文は公開されやすいがコードは公開されにくい傾向にあると思う、公開されているコードは大体Fortran
極めていくと要るかもしれない
数値解析手法を極める場合
- 多様体・微分幾何(離散微分幾何がどうこうなど)
- 抽象代数(なんか物理法則の対称性を導入した数値解析がどうこうなど)
- 最適化(数値解析とは実質連続最適化だったり)
- 数学基礎論->測度論->ルベーグ積分->関数解析(有限要素法の理論的背景として)
- 機械学習・データサイエンスをぶつけたい場合はそれ用の知識(広大すぎるので省略)
- 高速化したい場合の知識(広大すぎるので省略するが、FPGAや量子コンピュータが使われる場合もある)
- コードを人間にとって良い感じにしたい時の抽象化の知識(ソフトウェア工学など、広大すぎるので省略)
物理学を極めていく場合
- 非平衡統計力学を使うこともあるらしい、まあ無関係に研究成果出している人はいっぱいいると思う
制御・計測を極めていく場合
- より発展した制御工学
- 計測工学
- 電子回路・電気回路
プラズマと核融合炉内壁の相互作用について解析する場合
- ここでやっと量子力学・分子動力学・密度汎函数理論・マテリアルズインフォマティクスなどの計算化学よりの知識が必要になるっぽい
その他
- 材料工学・送配電工学・超伝導工学・ロボット工学・構造力学など
結論・所感
- いわゆる現代物理学ゴリゴリの、理学の花形とはズレていくのだが、実質電気系数学全部使います君なので、ああいうのが美的だと思った人は面白いと思う(あとはまあ当然だが「役に立つ科学」の究極系としての面白さがある)
- 物理強いやつ、数値解析強いやつ、高速化強いやつ、コード抽象化強いやつ、機械学習強いやつがそれぞれ関与出来るポテンシャルはある、分担出来るようにするのがそもそも難しくて1つのデカいプロジェクトにはなりそうだが
- Fortran/MPIから人類は逃げきれていない、ちゃんと向き合うか(エーアイはどんくらい使えるんですかね)、逃げる方法を発明するか
- 色々追記したい話はあるので(買った本の印象とか)余裕があれば書きます
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