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会話型AIファンダムアプリを構築しよう

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現代のファンは、ただ受動的にコンテンツを視聴するだけでは満足できません。彼らは深い没入感とリアルタイムでのつながり、そして日常生活の中でお気に入りのアイドルと交流できる機会を求めています。対話型AIは、これらの要望を叶えるカギとなります。24時間いつでも応答可能なバーチャルキャラクター、個々のニーズに合わせたコンパニオンモード、さらには実際のグッズとのシームレスな統合まで、こうした先進技術がアーティスト、インフルエンサー、そして各種IPキャラクターを活き活きとしたデジタルエコシステムへと導きます。

ファンプラットフォームの進化

従来のファンプラットフォームはテキストチャットやシンプルなサブスクリプションモデルに中心が置かれ、ファンが求める深いインタラクションや情緒的なつながりが不足しがちでした。その結果、多くのファンは再訪や深いレベルでの関与を行う動機を見出しにくかったのです。

従来のファンエンゲージメント

  • 有限的なインタラクション: アーティストやインフルエンサーがライブ配信やファンとの直接的な交流に割ける時間は限られています。
  • 低いユーザー定着率: 情緒的なつながりが乏しく、リピート来訪が少ない傾向にあります。
  • 基本的な収益化モデル: サブスクリプションに依存しており、ファンの熱意を十分に活用できていません。

AIを活用したファンエンゲージメント

  • 24時間インタラクション: 対話型AIによって、チャット・音声・ビデオをいつでも利用可能になり、ファンとのつながりを途切れさせません。
  • 没入型AIグッズ: AI統合トイやデバイスなど、実世界の製品と組み合わせることで、より深い感情体験を提供します。
  • 多面的な収益化: プレミアムAIコンパニオンやIPライセンス、限定グッズやバーチャル商品など、多彩な方法で収益を拡大できます。

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24時間対応: リアルタイムでのバーチャルキャラクターとのつながり

対話型AIを利用すれば、セレブリティやインフルエンサー、その他IPキャラクターなどのバーチャル版といつでも交流が可能です。ファンは「友達」モードや「メンター」モードなど複数のコンパニオンタイプを選び、個々のニーズに合わせたコンテンツと心のサポートを得ることができます。これによりファンロイヤルティが活性化され、IPやセレブリティブランドの価値と認知度が継続的に高まります。

対話型AIによるIPライセンスの活用

エンターテインメント企業は、有名人やインフルエンサーの声や見た目、性格といった特徴を対話型AIにライセンスすることができます。語学学習やモチベーション維持など、ファンの日常生活に溶け込む形で活用され、ファンの熱中と実用性が融合します。たとえば、大好きな歌手がAIとして語学をコーチしてくれたり、励ましのメッセージをくれたりするイメージです。これにより「推し活」と「実生活の価値」がつながっていきます。

デジタルの感情と現実のつながりを融合する

デジタル空間のバーチャルキャラクターは魅力的ですが、物理的な製品と結びつくことで、より一層“リアル”を感じられます。AI搭載トイ、AIヘッドフォン、スピーカー、ウェアラブルデバイスなどを使えば、ファンは日常のなかでバーチャルキャラクターとの会話や交流を楽しめます。

  • AIキーリング/フィギュア: 有名人の声が内蔵され、対話型AIで気軽に声かけや相談が可能。
  • AIヘッドフォン&スピーカー: リアルタイム翻訳や音声ガイド機能を使い、あらゆる言語で推しとの“対話”を楽しめます。
  • ウェアラブルデバイス: スマートブレスレットやスマートグラスを通じて、バーチャルキャラクターからのカスタマイズ通知やイベント情報、日常のリマインダーを受け取れます。

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AIファンエンゲージメントの未来

BLACKPINKのJisooが導入したAIコンパニオン技術は、次世代のファン体験を先取りする一例です。

  • 深い結びつき: JisooのAIはリアルタイムでファンとコミュニケーションを行い、対話や感情面でのサポートをパーソナライズ。
  • シームレスな統合: AIはファンの好みやスケジュールを記憶し、Jisooの声で目覚ましをしたり、夜の配信リマインダーを送ったりと、ファンの1日をサポート。
  • AIグッズ: 玩具やウェアラブルデバイスはバーチャルアイドルと同期し、触覚フィードバックを提供するほか、新曲リリース、各種イベント、TV出演などの最新情報を追跡。ファンが情報から取り残されないようにしています。

対話型AIによる収益モデル拡大

対話型AIによって、単一のサブスクリプションプランを超える多層的な収益モデルが可能になります。

  • 有料AIモード: カジュアルな“友達”からプレミアムな“メンター”まで、ランク付けして提供。
  • IPライセンス: 有名人の声やイメージをゲームやアプリなどへ展開可能。
  • デジタル×フィジカルのセット販売: アプリ内インタラクションとAI搭載グッズを組み合わせ、価値を倍増。
  • ホワイトラベルソリューション: レコードレーベルやエージェンシー、独立系クリエイターが手軽に自社AIプラットフォームを立ち上げられる。

サービスとしてのファンダム:数十億ドル規模のチャンス

世界のファン経済は数十億ドル規模へと向かい、強固なリアルタイム通信・対話型AIの基盤を持つことが、この市場で成功するカギとなります。

ここで登場するのがTencent RTCです。超低遅延の通信技術とスムーズな開発プロセスへの豊富な知見を備えており、AI化したセレブリティアバターや人気IPキャラクターなどを通じて、ファンとの深いエンゲージメントを実現可能にします。

さらに、ハードウェアへAIキャラクターを組み込みたい企業向けには、Tencent RTCの「AIConversationKit」がソフトウェア・ハードウェア一体型ソリューションを提供。対話型AIの機能を玩具やグッズなどへスムーズに埋め込みます。Tencent RTCの革新的なアプローチによって、ファンは遠くから見守るだけの存在から、積極的に参加する主体へと進化し、アーティストやブランドはより強力なロイヤルティ、豊かなストーリーテリング、そして多彩なマネタイズの可能性を得られるのです。

iOSでUI付きの会話型AIアプリを構築する方法

ここから先は、「AIConversationKit」をいかに素早く統合できるかを詳しく解説します。ガイドに沿って進めれば、わずか20分ほどで主要な設定手順を完了し、UIを備えた会話型AIプロジェクトを完成させることができます。

■ 環境準備

  • iOS 13以上での互換性が最低要件(iOS 13以上を推奨)
  • Xcode 13以降のバージョン

■ ステップ1:サービスアクティベーション

「AIConversationKit」を利用して会話を開始する前に、コンソールでAI会話サービスを有効化する必要があります。詳細手順はサービスアクティベーション を参照してください。

■ ステップ2:AIConversationKit コンポーネントのダウンロード

Github にアクセスし、zipファイルをダウンロードします。解凍すると、AIConversationKit ディレクトリ、AIConversationKit.podspec ファイル、Resource ディレクトリが表示されます。

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■ ステップ3:設定

先ほどのステップ2で解凍したディレクトリ内にある AIConversationKitpodspecResource をプロジェクトにコピーします。

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その後、プロジェクトの Podfile に以下の依存関係を追加してください:

pod 'AIConversationKit',:path => 'AIConversationKit.podspec':

設定が完了したら pod install を実行して依存関係をインストールします。
.xcworkspace をXcodeで開き、証明書情報を設定してください。

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■ ステップ4:サインイン

以下のコードをプロジェクトに追加してください。これは TUILogin の関連APIを呼び出し、コンポーネントにログインさせるためのものです。このステップは非常に重要 で、ログインが完了して初めて、AIConversationKitの機能が正常に利用できるようになります。パラメータが正しく設定されているか、十分にご確認ください。

import TUICore
import AIConversationKit

func application(_ application: UIApplication, didFinishLaunchingWithOptions launchOptions: [UIApplication.LaunchOptionsKey: Any]?) -> Bool {
        let sdkAppId = 1600000001  // ここを自分のsdkAppIdに置き換えてください
        let userId = "people"      // ここを自分のUserIDに置き換えてください
        let secretKey = "xxx"      // ここを自分のsdkSecretKeyに置き換えてください
        let userSig = GenerateTestUserSig.genTestUserSig(sdkAppId: sdkAppId, identifier: userId, secrectkey: secretKey)
        TUILogin.login(Int32(sdkAppId), userID: userId, userSig:userSig){
            print("login success")
        } fail: { code, message in
            print("login failed, code: \(code), error: \(message ?? "nil")")
        }
    return true
}

■ ステップ5:最初の会話型AIプロジェクトを起動しよう

TUILogin.login が成功したら、以下のコードを参考にして対話型AIを初期化します。

let startParams = StartAIConversationParams()

let sdkAppId = 1600000001  // 1. あなたのsdkAppIdに置き換えてください
let secretKey = "xxx"      // 2. あなたのsdkSecretKeyに置き換えてください
let aiRobotId = "robot_\(TUILogin.getUserID() ?? "")"
let aiRobotSig = GenerateTestUserSig.genTestUserSig(sdkAppId: sdkAppId, identifier: aiRobotId, secrectkey: secretKey)
startParams.agentConfig = AIConversationDefine.AgentConfig.generateDefaultConfig(aiRobotId: aiRobotId, aiRobotSig: aiRobotSig)

startParams.secretId = "xxx"           // 3. あなたのsecretIdに置き換えてください
startParams.secretKey = "xxx"          // 4. あなたのsecretKeyに置き換えてください

// 5. あなたのllmConfigで置き換えてください
startParams.llmConfig = "{\"LLMType\":\"openai\",\"Model\":\"hunyuan-turbo-latest\",\"SystemPrompt\":\"You are a personal assistant\",\"APIUrl\":\"https://hunyuan.cloud.tencent.com/openai/v1/chat/completions\",\"APIKey\":\"xxxx\",\"History\":5,\"Streaming\":true}"
// 6. あなたのttsConfigで置き換えてください
startParams.ttsConfig = "{\"TTSType\":\"tencent\",\"AppId\":\"xxx\",\"SecretId\":\"xxx\",\"SecretKey\":\"xxx\",\"VoiceType\":\"502001\",\"Speed\":1.25,\"Volume\":5,\"PrimaryLanguage\":1,\"FastVoiceType\":\"\"}"

let aiViewController = AIConversationViewController(aiParams: startParams)
navigationController?.pushViewController(aiViewController, animated: true)

上述の ステップ4 で取得した sdkAppId および sdkSecretKey を使用してください。

アプリケーション詳細ページで RTC-EngineConversational AI を選択し、No-Code Quick Integration Of Conversational AI Feature を参照して対話型AIサービスのパラメータ(基本構成、STT、LLM、TTS)を設定します。右下の「Quick Interation」をクリックし、iOSタブに切り替えると、SecretId、SecretKey、Configパラメータを取得できます。

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取得したTencent Cloud APIのSecretIdとSecretKeyをそれぞれ startParams.secretIdstartParams.secretKey にコピーします。

Config情報を JsonUtil などのJSON解析ツールに貼り付け、LLMConfigに対応する文字列を startParams.llmConfig に、TTSConfigに対応する文字列を startParams.ttsConfig に入力してください。

このように手を動かしながら進めることで、iOSデバイス上にAIコンパニオンやバーチャルキャラクターを短時間で実装し、ファンエンゲージメント戦略を次の次元へと高めることができます。

まとめ

AIを活用したパーソナライズコミュニケーションや、物理的なプロダクトとの連携により、クリエイターやブランドはファンとの関係を強化し、長期的に維持することが可能になります。テキストチャット中心だった従来のファンプラットフォームと比べ、新時代のファンエンゲージメントは感情的な共鳴、リアルタイム応答、そして没入型体験を重視します。

私の名前はSusieといいます。ライター兼メディアサービスプロダクトマネージャーとして、世界中のスタートアップと協力し、SDKおよびAPIを活用したリアルタイムコミュニケーションソリューションの開発を行っています。

AIがもたらすパーソナライズコミュニケーションの可能性にご興味がありましたら、ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。

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