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自然言語処理と生成AI・LLMを組み合わせるために必要な知識:初心者向け
はじめに
こんにちは、SE出身の駆け出しデータサイエンティスト「マチ」です。自然言語処理(NLP)の学習を進めていたところ、知り合いから「最近はPython単体でのNLPではなく、生成AIや大規模言語モデル(LLM)と組み合わせて使う案件が主流になりつつあるよ」という話を耳にしました。 そこで、LLM・生成AIを活用するために必要な知識をまとめてみました。
LLMを活用するための2つのスキル
LLMを使いこなすには、大きく以下の2つの力が求められます。
- 設計力:目的に応じてLLMを構造的に活用する力
- 制御力:LLMの出力を意図通りにコントロールする力
それぞれについて、具体的な技術・スキルを見ていきましょう。
設計力:LLMを目的に応じて活用するための構造設計
分類 | 内容 | 主な技術・スキル |
---|---|---|
プロンプト設計 | 入力の工夫による精度向上 | few-shot, CoT, format instructions |
構造設計 | エージェントやRAGの構成設計 | LangChain, AutoGen, データフロー設計 |
インタフェース設計 | 入出力形式やAPI連携の設計 | JSON生成, API連携, フロントUI設計 |
評価設計 | 精度・一貫性・再現性の担保 | GPT評価, BLEU, ROUGE, 自動評価指標 |
制御力:生成AIの出力を信頼できるものにするための制御技術
分類 | 内容 | 主な技術・スキル |
---|---|---|
出力制限制御 | 禁止語、長さ、出力フォーマットの制御 | Guardrails, prompt constraints |
安全性制御 | 誤情報・不適切内容のフィルタリング | Rebuff, AI moderation |
再生成・検証戦略 | 出力が不適切な場合の再実行・検証 | LLM-as-critic, retry loop |
出力整形 | 整形・構造化された出力の生成 | tool calling, formatting prompts |
活用環境の分類
生成AIを「どこで」「どうやって」動かすかによって、構築する環境は異なります。
実行場所による分類(どこで動かすか)
環境 | 内容 | 代表例 |
---|---|---|
ローカル環境 | PCで単体実行 | Ollama, llama.cpp |
クラウド単体環境 | サーバレスや個別VMでの実行 | Google Colab, SageMaker |
クラウド分散環境 | 複数GPU/ノードによる分散処理 | Kubernetes + vLLM |
エッジ環境 | スマホやIoT端末など | MobileBERT |
スケール方法による分類(どれだけ拡張するか)
種類 | 内容 | 代表例 |
---|---|---|
単体GPU / CPU | シングルマシンでの実行 | llama.cpp |
マルチGPU分散 | 複数GPUでの並列推論による高速化 | DeepSpeed, vLLM |
クラスタ構成 | APIスケーラビリティ | Ray, Kubernetes |
サーバレス実行 | API提供型のオンデマンド推論 | AWS Bedrock, Azure OpenAI |
実行方式とパッケージ管理による分類(どうやって動かすか)
種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
ネイティブ実行 | Pythonから直接ライブラリを操作 | Transformers, FastChat |
Dockerベース | Dockerfileで環境を再現 | docker-compose |
仮想環境 | 軽量に構築する環境 | conda環境, venv環境, Poetry |
Allin1 CLIツール | ツール単体でローカルLLM実行 | Ollama, LM Studio |
補足:ローカルLLM環境の構築でよく使われる構成
企業での生成AI活用においては、セキュリティの観点からローカル実行が重視される場面も増えています。開発においては、Docker+Ollama+Open WebUIの構成がよく使われています。ただし、NVIDIA製のGPUが必須となることが多く、ハードウェア要件には注意が必要です。
日本語対応のローカルLLM(2025年6月時点)
日本語対応でローカル実行可能な主なモデルとして、以下が挙げられます。
- ELYZA (Llama-3-ELYZA-JP-8B):Llamaベースの日本語に特化したモデル。
- Llama:Meta製。文脈理解に優れているモデル。
- Mistral (7B系):高速かつ軽量なモデル。
- Qwen:Aribaba製。多言語サポートが進んでおり、日本語対応の実装も進行中。
- Granite:IBM製。商用利用を想定しており、セキュリティやガバナンスに強みがある。
おわりに
今後、生成AIと自然言語処理の連携はますます増えていきそうです。私も、ローカルLLMを活用して、RAG(検索拡張生成)やグラフDBとの連携、Text to SQLなどのより高度なタスクにも取り組んでみたいと思います。今後も、試行錯誤しながら知見を記事にまとめていきます。よろしければ、ぜひまたご覧ください!
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