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【視察報告】展示会ジャパンビルド2022東京

Takuma Kogo2023/01/17に公開

SREホールディングス株式会社 データサイエンティストの向後です。
現在は不動産価格推定エンジンのプロジェクトリーダーを担当しています。
今回は、不動産テック業界の市場調査として、昨年12月に視察した展示会『ジャパンビルド』について、会場の様子や聴講した講演をご紹介します。[1]

サマリ

  • 不動産業を含めた広い意味での建築業界が一堂に集まっており、出展会社/内容が多岐に渡ったボリューム感たっぷりの展示会でした。
  • 展示内容は、製品/サービスのセールスとして位置付けらるものが中心でしたので、当業界の市場感を大まかに知るのに良い場だと思われます。
  • 講演に関しては、不動産テック業界の日米のマーケット変遷をダイジェスト的に説明頂いたり、不動産DXに対する生々しい現場の声が聞けるなど、学びが多いものでした。

展示会概要

JAPAN BUILD -建築の先端技術展-

住宅、ビル、商業・公共施設など、あらゆる建築物を対象とした建築総合展です。建材、住宅設備、ビル管理・運用システム、リノベーション技術、AI(人工知能)・IoT関連技術、不動産テック、建設DXなどが世界中から出展し、建築業界の開発・設計・工事・管理・運用分野の専門家が商談を目的に来場します。

  • 2022年12月7~9日 @ 東京ビッグサイト
  • 約460社出展/ 約3.1万人来場
  • 下記で構成される合同展示会
    • 不動産テックEXPO
    • 建設DX展
    • スマートビルディングEXPO
    • スマートハウスEXPO
    • 商業施設・店舗DX展
    • 施設リノベーションEXPO
    • 建材・住設EXPO

会場の様子

私は展示会初日の午前から会場に足を運びました。初日かつコロナ対策が講じられていたこともありますが、会場スペースはゆとりがあり、広い会場を快適に移動できてストレスレスでした。展示ブースでの説明待ちは時々ある程度でしたが、夕方の時間帯になると来場者で展示ブースは賑やかになり説明を聞くには待たなくていけない状況になっていました。

今回、私が主に視察したのは不動産テックEXPO/建設DX展/スマートビルディングEXPOの3つの展示会エリアです。これらについて簡単ではありますが、会場の様子をレポートしたいと思います。

不動産テックEXPO

不動産テックEXPOのエリアでは、不動産業務の効率化をサポートするSaaSが多く展示されていました。不動産業務は多岐に渡るため様々なSaaSを各社が開発してきた背景があるのですが、それが展示会に集まるというかたちで体現されていました。例えば、物件/顧客/反響管理、登記簿取得、簡易査定、住宅ローン、重要事項説明、電子契約などに関する展示がされていました。各社のプロダクトの完成度はなかなかのレベルでして、不動産実務にミートさせるように機能が充実されていたり、ユーザーインターフェースが洗練されていました。ここ2、3年で一気にプロダクト開発が進んだように感じました。

当社も不動産テックEXPOに出展しており、AI不動産査定ツールについて紹介しておりました。簡素な展示ブースではありますが、興味を持って説明を聞いて下さる方がコンスタントにいらっしゃいました。このようなセールスの様子を目の当たりにすると、AIを開発してる立場としては改めて「きちんと技術で応えないと!」と身が引き締まる次第です。

建設DX展

建設DX展のエリアは、全7展示会エリアの中で出展社数/エリア面積が最大となっており、多数の来場者で賑わっていました。国土交通省が先導する i-Construction やコマツ社が提唱するスマートコンストラクションの名前が世に知られるようになってから数年が経ちましたが、今や建築DXが一大勢力となっており個人的には驚いた次第です。特に目を惹いたのは、元来、建設事業を主力としていなかった企業が多数出展されていたことです。メーカー系、キャリア系、新規気鋭のITベンダーなどの様々なプレイヤーの参入が見られ、市場ポテンシャルの大きさを物語っているようでした。展示されていた技術/製品も幅広く様々でしたが、その中で目立ったものは、リモートカメラ、ドローン、データ活用です。まだまだ白熱していきそうな活気を建設DX展から感じました。

スマートビルディングEXPO

スマートビルディングEXPOについては、実は私は今回で三度目の視察になります。私は、ビル管理システムに関連した研究開発[2]の一環として、4、5年ほど前に市場調査として視察していました。その頃から様相は大きくは変わっていないものの、着実な技術の進展があったように私には見えました。少なくとも4、5年ほど前迄ではZEB(Net Zero Emission Building)と働き方改革のWビッグトレンドの追い風を受けて関連技術の開発が活発だったのですが、今回はコロナに伴うリモートワーク普及の影響を受けてか、やや落ち着いた印象を受けました。技術進展のシンボルは、「人流の見える化」ソリューションであったと思います。ロボティクス分野でよく使用されるToF(Time of Flight)カメラの活用によって、これまでの赤外温度カメラや可視光カメラ単体では実現が難しかった人の動きを時系列的にキャプチャーできるようになったことが変化点として大きいと感じました。また久しぶりに技術者の方とお話をさせていただき当該分野の元リサーチャーとして高揚せずにはいられませんでした笑。

講演

プログラムの中から、『不動産テック』と『不動産DX』に関する2つの講演を聴講しました。個人的には学びが多く満足度が高い内容でした。前者の不動産テックの講演に関しては、俯瞰的に把握できていなかった日米における業界マーケットの構造と変遷を知ることができましたし、後者の不動産DXの講演に関しては、DXに対する生々しい現場の声を聞くことができて、製品・サービス開発における考え方を見直す良い機会となりました。

各講演についてのサマリを以下に記します。

『不動産テックの最新動向とこれからのビジネスチャンス』

  • 講演者
    • 不動産テック協会 代表理事: 巻口氏
  • 講演内容
    • 不動産テック協会の活動紹介
    • 米国不動産テック市場の歴史と現在に至るまでの変遷
    • 国内不動産テックプレイヤーの淘汰/入れ替わり[3]
    • 不動産ID/Open ID の紹介

『不動産DX、営業現場はどう思ってるの? 〜 フリートークで語る、不動産業界の本音 〜』

  • 講演者
    • (株) 流導 代表取締役 : 木村氏
    • マンションリサーチ (株) 取締役社長 : 山田氏
    • (株) レックホーム 代表取締役 : 德田氏
    • (株) イーエム・ラボ 代表取締役 : 榎本氏
  • 講演内容(聴講者の質問に回答するパネルディスカッション)
    • 電子契約に関しては、不動産契約では企業間1対1の契約で済まず、複数の小さな企業が間に入ることも多いため、電子契約を導入しても実際に使用できないことがしばしば。
    • 顧客管理に関しては、エクセルでも十分だったりする。特にGoogleスプレッドシートだと共有も簡単なのでとても良い。某大手IT会社の顧客管理システムはコストが高い上に導入するのも大変で使いこなすのも難しかった。
    • 顧客との連絡については、メールではなくLINEでレスポンシブにできるようにしている。また説明動画を送るなどしてクレーム低減につなげている。
    • 効率化よりも売上が大事になることがあるので、DXによる効率化が第一に挙がらないこともある。お客様との接客時間をつくるためのDXが必要。DXの導入コストで売上目標が高くなってしまうのは避けたい。
    • 不動産特化型のITツールに関しては、ほぼ全自動で使用できたり手間がかからず実務で使えている。一方で特化されていない汎用型のITツールに関しては、人による調整・修正作業がどうしても発生するため実際に効率化ができているか疑問に感じることもある。
    • ITに詳しい人材を抱えられないので、皆が知っているツール(LINE/Googleスプレッドシートなど)を使うのが最適解となっている。それ以上のDXとなるとお金をかけてIT人材を投入しないと難しい。

おわりに

私にとってコロナが始まって以来の3年ぶりの展示会視察でしたが、業界の市場感や雰囲気を掴むのに良い場であると再認識した次第です。テキスト中心の報告ではありましたが、展示会『ジャパンビルド』の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。

脚注
  1. 本記事の内容は個人の意見・見解に基づくもので、所属組織の意見・見解を代表しておりません。また内容の正確性については保証しておりませんので、ご理解のほどお願い致します。 ↩︎

  2. ビル管理システムの中でも空調・照明の予測制御に関する応用研究を行っていました。 ↩︎

  3. 当社の名前が、国内不動産テックの歴史説明において、AI査定の先駆的企業の1つとして挙げられていました。担当者としては誇らしくかつ喜ばしく思います。 ↩︎

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