ハンズオン技術顧問という肩書きについて 〜CTO/VPoEの「やりたいけど手が回らない」を解決する〜
はじめに
こんにちは、フリーランスエンジニアとして活動している @soyao800 です。
フルスタックエンジニアやデータサイエンティスト、データエンジニアなど、様々な領域で様々な企業を支援しているうちに「ハンズオン技術顧問」を名乗るようになりました。
聞き慣れない言葉だと思うので、今回はこの肩書きについて紹介します。
1. 自分のキャリア遍歴
大学・大学院では社会科学系の研究室でひとりPythonを書いてデータマイニングをしていました。新卒で大手ISPに入社し、ネットワークエンジニアとしてキャリアをスタート。その後社員数が一桁のスタートアップに飛び込んでフルスタック開発を経験、次に統計分析ツールを開発する会社にデータサイエンティストとして入社し、最終的に統計部門と開発部門のトップを兼務するようになりました。
このように、未経験の分野に飛び込んでキャッチアップし、成果を出してポジションが上がっていく、というのを繰り返していきました。こうした経験から、インフラやWebアプリケーション、データサイエンスという技術の横軸、現場のエンジニアからマネジメント、経営という組織の縦軸の観点の両面から、広く会社やプロダクトを見られるようになってきたかと思います。
こうした遍歴を経て、2018年にフリーランスエンジニアとして独立しました。
2. 役割の変化
フリーランスになりたての頃は、開発チームの一員としてプロダクト開発に従事することが多かったです。スプリントに参加して、ストーリーを消化していく。それはそれで楽しかったですし、学ぶことも多かった。
でも、徐々に役割が変わっていきました。開発チームの一員というよりは、遊撃部隊として「データパイプラインを一から構築してほしい」「レガシーコードを改善するため、テスト基盤を整備した上でリファクタリングしてほしい」「AIを既存システムに組み込みたいので、まずプロトタイプを作ってほしい」そんな依頼を、クライアントの技術責任者(CTOやVPoE)から直接受けることが増えていきました。
共通しているのは、どれも「社内リソースでは手が回りづらい技術課題」だということです。技術的負債が溜まっている。中長期を見据えた新技術の検証がしたい。でも目先の機能開発で手一杯で、なかなか着手できない。
これらの課題を、私が丸ごと引き受けることが増えていきました。技術責任者と直接やりとりしながら、課題の特定から設計、実装、社内エンジニアへの引き渡しまで一気通貫で担当します。
今までのキャリアで身につけた広い視野が、ここで活きているように思います。技術責任者と同じ目線で、ある種の「共通言語」で話せるので、コミュニケーションがスムーズで、目線の合った解決策を提案し実行できています(と自分では思っています)。
3. ハンズオン技術顧問とは
ただの技術顧問ではなく「ハンズオン」技術顧問と名乗っている理由がここにあります。
一般的な技術顧問は、あくまでアドバイザーであり実際に手を動かすことは少ないかと思います。専門性に基づいてアドバイスするけれど、実現するためには社内のエンジニアが手を動かすか、あるいは外注する必要があります。
ハンズオン技術顧問は、自分で手を動かします。設計もするし、コードも書きます。インフラも構築するし、テストも書きます。継続的に運用していくために、ドキュメントを整備して、最終的には社内のエンジニアに引き継ぎます。
つまり、「やりたいけど手が回らない」課題を、クライアントの技術責任者の代わりに手を動かして解決する存在です。
クライアントの目線で言えば、定期的なMTGで課題と優先度を握っておけば、あとは進捗報告と意思決定依頼に対応するだけで課題が解決されていきます。意思決定といっても、複数の解決案とそれぞれのメリット・デメリットが整理された状態で上がってくるので、あまり時間をかけず判断できるはずです。
4. どんな企業に合うか
この「ハンズオン技術顧問」というロールが最も活きるのは、シリーズA〜Bのフェーズにある、急成長期のスタートアップだと思っています。
PMFを達成して拡大期にあるスタートアップでは、開発チームは機能開発で手一杯で、基盤整備や負債解消、中長期を見据えた技術検証が後回しになりがちです。
- データ分析したいけど、データがバラバラで統合できていない
- バッチ処理が遅すぎて、毎朝エラーと戦っている
- AIを組み込みたいけど、誰も手が空いていない
- テストがなくて、デプロイするたびに冷や汗をかいている
こうした課題が顕在化しているが、専任のAIエンジニア、データエンジニアやSREを採用するフェーズではない(そもそも採用が追い付いていない)。しかし放置しておけばいずれ事業の成長を阻害する。そのような状況では、「ハンズオン技術顧問」が特に価値を発揮できるかと思います。
(もちろん、他のフェーズだったり、あるいはスタートアップ以外の企業でも状況によっては価値が発揮できるかもしれません。例えばシード期でもシニアレベルのエンジニアがおらず、開発基盤に不安を抱える場合や、大企業でも新規サービスのPOCをしたい場合など、お役に立てるケースはあるかと思います)
まとめ
「ハンズオン技術顧問」という肩書きについて理解していただけたでしょうか。急成長期のスタートアップでは、こういう存在がとても役に立つと思います。
とはいえ「抽象的な話ばかりで、具体的にどういうプロジェクトを、どういう流れで進めているのかイメージできない!」かもしれません。次回以降の記事では、実際にどのような課題をどうやって解決したのか、実例をご紹介できればと思います。
もしあなたの会社が「やりたいけど手が回らない」技術課題を抱えているなら、ぜひお話ししましょう!
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