今の高校生が学んでる「情報」、想像以上にレベルアップしてた
はじめに
みなさんは高校生のときに学んだ「情報」科目のことを覚えていますか?私はほとんど覚えてなくて、パソコンルームでパソコンやExcelの基本操作を学んだかな...くらいの印象しかありません。しかし昨今では、高速で発展する情報社会を生き抜く力を付けるべく、情報教育に力を入れている様子です。今の高校生はどの程度のレベルの情報教育を受けているのか?以前から興味がありましたし、把握しておけば将来的に採用や教育の現場で役立つかもしれません。そこで、今の高校の情報教育を深掘りして調べてみました。
情報科目の歴史
おそらくベテランエンジニアの方は、「高校で情報なんて学んでないよ!」という方も多いのではないでしょうか。それもそのはずで、情報の科目が高校に新設されたのは2003年です。
2003年に新設された情報科目は「情報A・B・C」という形で導入されました。ただしA・B・Cの選択は学校側が選択するのが一般的だったようで、ほとんどが「情報A」だったようです。「情報A」はパソコンやツール(Excelなど)の基本的な操作スキルを学ぶのが中心で、科学的な理解を学ぶものではありませんでした。おそらく私も、この「情報A」を履修した気がします。
その後2013年に一度内容が見直されたようですが、現行の本格的な情報教育に移行するのは2022年度です。
2022年度からは「情報Ⅰ・Ⅱ」という形になり、「情報Ⅰ」は必修になりました。「情報Ⅰ」はプログラミングや情報科学を学ぶ内容も含まれており、ようやく理科系の科目と呼べる内容になりました。また、選択科目の「情報Ⅱ」では、「情報Ⅰ」の内容をさらに発展させた内容を学習するようです。
大学入学共通テストへの追加
さらに、2025年度からは情報科目が大学入学共通テストの科目として追加されました。これはかなりインパクトのあることだと思います。高校生はどうしても"大学に合格するため"の勉強をすることになるので、入試科目以外の科目は軽視されがちです。特に国公立大学志望の学生にとってはほぼ必須の科目になるので、これまで以上に熱を入れて学習されるのではないかと思います。
単位と学習期間
学習の規模はどれくらいでしょうか。「情報Ⅰ」は2単位を履修することが目安になっているようで、1単位が35コマなので、合計で70コマになります(1コマが50分)。「70コマ × 50分 = 3500分」なので、おおよそ58時間になります。
以下の画像は各教科ごとの単位数が記された資料です。これを見て他の主要教科と比較すると、ちょっと少なめには見えますね。

※画像は「高等学校学習指導要領」より抜粋
「情報Ⅰ」の教科書を読んでみる
さて本題ですが、実際の情報科目の内容はどのようなものになっているのでしょうか。今回は必修である「情報Ⅰ」の教科書を参考にして、内容をまとめてみました。
教科書の構成
教科書は大きく以下の4つの編で構成されています。
- 情報社会の問題解決
- コミュニケーションと情報デザイン
- コンピュータとプログラミング
- 情報通信ネットワークとデータの活用
それぞれ順に見ていきたいと思います。
第1編 情報社会の問題解決
「情報とは何か」から始まり、「著作権」・「個人情報保護」・「情報セキュリティ」など、リテラシー教育に多くの内容が割かれています。また、情報を活用してどのように問題を解決していくのか、具体的な方法にも触れられています(PDCAサイクル、ブレーンストーミング、KJ法など)。

第2編 コミュニケーションと情報デザイン
2進法・16進法、文字・音・画像のデジタル化、圧縮の仕組みなどの「情報のデジタル表現」について多くのページが割かれています。また、ユニバーサルデザインやユーザビリティなど、UI・UXの基礎について記載されています。

第3編 コンピュータとプログラミング
ハードウェアとソフトウェア、論理回路などのコンピュータの仕組みから始まり、アルゴリズムや変数・分岐・反復・配列・関数といったプログラミングの基礎が記載されています。また、物事のモデル化や、モデルを使用したシミュレーションについても記載されています。

第4編 情報通信ネットワークとデータの活用
通信プロトコルやパケットの仕組みなど、ネットワークの基礎について記載されています。また、データベースの概要や仕組み、データの分析方法についても記載されています。

実際、どのくらいのレベルなのか
まず言えるのは、自分が高校生だった頃と比べて、はるかにレベルアップしていることは間違いないということです。情報系の資格で言えば、基本情報技術者試験に合格できる程度の知識は身につくのではないかと感じます(扱っている範囲が異なる部分もありますが...)。
内容自体は一つひとつ基礎的なものばかりですが、それをすべて漏れなくマスターできている人は、現役エンジニアでも実はそう多くないのではないでしょうか。実際、筆者自身もあやふやだった内容や、初めて目にする用語がいくつかありました。
もちろん教科書はエンジニア向けではなく高校生向けに書かれたものなのですが、基礎を固め直したいエンジニアにとっても、十分に有益な教材になり得ると感じました。
調べてみた感想
今回、情報教育について調べてみて、こうした内容を学んだ生徒たちがこれから社会人になるのが楽しみだなと思いました。もちろん、エンジニアという仕事は最終的には実務経験がモノを言う世界なので、この内容を学んだからといってすぐに即戦力になれるわけではありません。それでも、基礎がしっかりしている人ほど、その後の伸びが早いのもまた事実でしょう。特にIT業界は専門用語やカタカナ語が飛び交いやすく、入りたての頃は会話についていくだけで一苦労だったりしますが、あらかじめこうした概念を知っておくだけでも、現場に入ってからの立ち上がりはかなりスムーズになるはずです。
そしてさらに、こうした内容を学んだ生徒たちの中からITに興味を持ち、さらに高度な学びへ進む人が出てくるでしょう。今後、彼らが日本のIT業界を盛り上げてくれることを期待したいと思います。
(おまけ)情報の教員という道
別の話になりますが、近年、高校の教員免許試験(情報)の募集がされていることをご存知ですか?今年度(令和8年度)の受験資格は、以下のようになっています。
平成 16 年4月1日までに生まれ,高等学校を卒業した者,その他大学(短期大学及び文部科学大臣の指定する教員養成機関(注1)を含む。)に入学する資格を有する者で,情報処理技術者試験の応用情報技術者試験,高度試験(注2),情報処理安全確保支援士試験又は技術士試験(情報工学部門又は総合技術監理部門(情報工学)(注3))に合格した者
※令和8年度 高等学校(情報)教員資格認定試験 受験案内から抜粋
通常、教員免許を取得する際は、教育課程なんかを履修しないといけないのだと思います。しかし情報の教員免許試験に限っては、応用情報などの資格を持っていれば受験が可能になるようです。もちろん試験を受験可能になるというだけで、試験自体の難易度も高いのだと思うので、試験対策が必要だと思いますが、チャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。エンジニアを引退した後、教員になるという道も、ありかもしれません。
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