[2025年振り返り] CTOとしての役割とは?
株式会社Another worksで取締役CTOをしている塩原です。
ここ最近、AIツールの進化、とくにClaude Codeのような開発支援AIが登場したことで、「CTOという役割そのものが変わりつつあるな」と感じる場面が増えてきました。
今回は、2025年の自分の役割を通して今後のCTOの役割について、実体験ベースで整理してみたいと思います。
「AIツール導入の意思決定」
まず間違いなく増えているのが、AIツールを導入するかどうかの意思決定です。
これは正直に言うと、経営陣にしかできない仕事だと思っています。
なぜなら、Claude Codeの費用対効果をボトムアップで厳密に数値化するのはかなり難しく、「どれくらい生産性が上がったか」を定量で示すのがほぼ不可能に近いからです。
だから最終的には、経営として、この投資をするかどうかという判断になります。
ただしここで問題になるのが、現場から離れている役員が、手触り感を持って判断するのがめちゃくちゃ難しいという点です。
「触ったことがあるか」は意思決定の質を大きく変える
私自身、取締役でもありPdMでもあるので、エンジニアリングに割ける時間は正直そこまで多くありません。
それでも最近は、意識的にコードを書く機会を増やしています。
AIツールを「知識」として知っている状態、実際に使って「これはいける / これは厳しい」と感じている状態では意思決定の質がまったく違うからです。
できれば理想は、プロダクトバックログの開発そのものに参加したり、Claude Codeを使って、ちょっとした実装や検証を自分でやってみることです。
ここまでやると、「このツールに投資する意味があるかどうか」が腹落ちします。
CTOは、AI導入をレビューする人ではなく、触った上で決める人である必要があると思っています。
「情報整理」と「抽象化」の専門家
これはCTOという職種の特性なのかもしれませんが、他の専門性を持った役員と比べると、三つの能力が優れていると考えています。
- 情報を整理する
- コンテンツや論点を構造化する
- 物事を抽象化する
例えば営業出身の役員の場合、短期的に数字を追ったり、四半期・半期単位で成果を出すという部分に強みがあります。
一方でプロダクト側の人間は、昨日リリースしたものが効いてくるのは3ヶ月後場合によっては1年後ということが多いため、今は成果が出ないけど、将来効いてくる仕込みをやり続けることが多く、長期的な視点を持ちやすくなります。
※ これは優劣の話ではなく、求められる時間軸の違いだと考えています。
この視点は、AI活用や組織設計を考える上でもかなり重要になってきています。
エンジニアリング文化は、組織づくりのヒントになる
もう一つ強く感じているのが、チームで何かを作る、という文化は実はエンジニアリングがかなり先端をいっているという点です。
例えばこういったものは、経営チームや他部門の組織づくりにもそのまま転用できます。
- レビュー文化
- 非同期コミュニケーション
- 役割分担と責任範囲の明確化
- 失敗前提の改善サイクル
なので最近は、経営チームのファシリテーションや組織行動のフレームワークづくり、「どう意思決定するか」を整理するといったところにも、CTOとして関わることが増えました。
CTOは、コードだけでなく、組織のOSを設計する役割も担っていくと思います。
そもそも「CTOの役割」を定義するのは難しい
よく、CTOって結局何をする人なんですか?と聞かれますが、正直これはかなり難しい質問です。
あえて雑に言うなら、エンジニアリングが専門だからCTOと呼ばれているが実態は役員なので、会社を大きくするために全身全霊を尽くす存在と表現した方が近い気がします。
大事なのは、人に「CTOの役割を定義してもらおう」としないことと会社に今、何が足りていないのかを見ることだと思っています。
役割をきれいに定義してから動こうとすると、たぶんCTOという仕事は務まりません。
まとめ:2026年のCTOは「足りないところに入り続ける存在」
2026年のCTOに求められるのは、
- AIツールを自分で触った上で意思決定すること
- 情報を整理し、長期視点で仕込みを続けること
- エンジニアリングの知見を、組織や経営に展開すること
そして何より、会社に今、何が足りないかを考え続けることだと思っています。
AIの進化で、「作る」コストはどんどん下がっていきます。
だからこそCTOは、技術と経営の間を翻訳し続ける存在として、これまで以上に重要になっていくはずです。
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