【実験】Windowsのシステムドライブ(C:)をReFS化して起動させる方法
はじめに
Windowsユーザーにとって、システムドライブ(Cドライブ)のファイルシステムはNTFSというのが常識です。Microsoftの公式ドキュメントでも、ReFS (Resilient File System) はデータドライブ向けであり、システムドライブとしてはサポートされておらず、インストール時に選択することもできません。
しかし、NTFSでインストールしたWindowsのCドライブを後からReFSに置き換えるという方法で実際に起動できました。
この記事では、その具体的な手順、なぜ可能と思われるのかの考察、そして非常に重要な注意点について解説します。
免責事項
きっかけ:Azure Confidential VM (Azure 機密VM) のReFSブートサポート
この実験のきっかけは、Microsoft Azureの Confidential VM (機密VM) に関する技術スライドでした。
その中で、セキュリティと信頼性を高めるために、仮想マシンのOSディスク (Cドライブに相当) にReFSを使用することに言及していました。
そこで実際に試してみました。
なぜReFSはシステムドライブに使えない (とされている) のか?
過去のWindows 11 Insider Previewではインストール中にシステムドライブをReFSでフォーマットできたり、といったようなことができるバージョンがあったこともありました。
しかし、実際にインストールまで行える、あるいはブートまでできるバージョンはごくわずかな期間にリリースされたものだけでした。
現状では、インストール画面ではシステムドライブをReFSでフォーマットする、あるいはReFSでフォーマットボリュームにインストールすることはできません。
実験:CドライブをReFS化する手順
必要なもの
- Windows 11 24H2 インストールメディア (ISOファイル)
- 十分な空き容量のある外部ストレージ (システムイメージ保存用)
- Hyper-V、VirtualBoxなどの仮想マシン
手順概要
-
WindowsをNTFSで通常インストール
- まずは普通に、CドライブをNTFSとしてWindowsをインストールします。
-
システムイメージの取得 (DISM)
- Windowsインストールメディアで起動します。
- インストールの最初の画面でShift+F10でコマンドプロンプトを開き、diskpart でドライブレターを確認します (例: Cドライブが D:、イメージ保存先が E: になっているなど)。
- イメージ作成のための一時ディレクトリを作成します
mkdir E:\Scratch - 以下のコマンドでCドライブのイメージを取得します。(ドライブレター D: と E: は環境に合わせて変更してください)
dism /capture-image /imagefile:E:\install.wim /capturedir:D:\ /name:"Windows ReFS" /compress:fast /checkintegrity /verify /scratchdir:E:\Scratch
-
CドライブをReFSでフォーマット
- 引き続きコマンドプロンプトで、CドライブをReFSとしてフォーマットします。データは完全に消去されます!(/Q はクイックフォーマット、/Y は確認プロンプトをスキップ。ドライブレター D: は環境に合わせてください)
format D: /FS:ReFS /Q /Y
- 引き続きコマンドプロンプトで、CドライブをReFSとしてフォーマットします。データは完全に消去されます!
-
システムイメージの展開 (DISM)
- フォーマットしたCドライブに、先ほど取得したイメージを展開します。(ドライブレター D: と E:、イメージファイル名は環境に合わせてください)
dism /apply-image /imagefile:E:\install.wim /index:1 /applydir:D:\ /checkintegrity /verify
- フォーマットしたCドライブに、先ほど取得したイメージを展開します。
-
再起動
- PCを再起動し、ReFS化されたCドライブからWindowsが起動するか確認します。
-
ブート情報の再構築 ※起動できなかった場合
- Windowsインストールメディアで起動してコマンドプロンプトを開き、展開したWindowsが起動できるようにブート情報を書き込みます。bcdboot コマンドを実行します。(Windowsが展開されたドライブレター D: は環境に合わせてください)
bcdboot D:\Windows /f UEFI
- Windowsインストールメディアで起動してコマンドプロンプトを開き、展開したWindowsが起動できるようにブート情報を書き込みます。bcdboot コマンドを実行します。
私の環境では、この手順でWindowsが無事に起動しました。

システムドライブのファイルシステムがReFSである
なぜ起動できたのか? (考察)
技術的に不可能とされていたことが、なぜ可能だったのでしょうか?いくつかの可能性が考えられます。
-
UEFIとWindowsブートマネージャーの進化
近年のUEFIファームウェアやWindowsのブートマネージャー (bootmgfw.efi) / OSローダー (winload.efi) が、基本的なファイル読み込みに関してはReFSに対応できるようになったのかもしれません。 -
DISMの柔軟性
dism /apply-image はファイルシステムの詳細に深く関与せず、ファイルとディレクトリ構造を展開するため、NTFS特有のメタデータ等に依存しないコアなシステムファイル群はReFS上にも配置可能です。 -
Azureでの実績
Azure Confidential VMでの採用事例は、特定の条件下や構成(カスタムカーネル、ドライバ等?)においては、ReFSをOSディスクとして利用するメリット(特に耐障害性やデータ整合性)がデメリットを上回る、あるいはデメリットが回避されている可能性を示唆しています。
【最重要】リスクと注意点
この方法でWindowsが起動したとしても、以下の重大なリスクと制限事項があります。安易に試すべきではありません。
-
Microsoft非サポート
何か問題が発生しても、Microsoftからのサポートは期待できません。トラブルシューティングは非常に困難になります。 -
Windows Update
通常の月例アップデートは適用できるかもしれませんが、大型の機能アップデート (Feature Update) などで互換性の問題が発生し、失敗したりシステムが起動不能になったりするリスクがあります。 -
ソフトウェア/ドライバーの互換性
特定のアプリケーションやデバイスドライバが、システムドライブがReFSであることを想定しておらず、誤動作する可能性があります。
まとめ
今回の実験により、「WindowsのシステムドライブをReFS化して起動させる」ことは、技術的には可能であることが分かりました。Azureでの採用事例も、その可能性を裏付けているのかもしれません。
しかし、これはあくまで実験的なハックであり、Microsoftのサポートはなく、多くの深刻なリスクと機能制限を伴います。日常的に使用するPCでこの構成を採用することは、現時点では全く推奨できません。
技術的な好奇心を満たすための挑戦や、特定の隔離されたテスト環境での評価には面白いテーマかもしれませんが、試す場合は必ず自己責任で、データ消失のリスクを覚悟の上で行ってください。
Discussion