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EUのEV政策は失敗したのか?(前編)― 技術ではなく「制度設計」の話
- 導入:なぜかしっくりこないEV報道
ここ数年、EUのEV政策について
「トーンダウンした」「方向転換した」という言われ方をすることが増えた。
一方で、EUがEVを諦めたという話は聞かない。
規制も撤回されていないし、目標も残っている。
それなのに、なぜか勢いが止まったように見える。
バッテリーに決定的なブレイクスルーは起きていない
モーターは進化しているが、状況をひっくり返すほどではない
EVを巡る議論は、技術よりも政治や感情の話が目立つ
この違和感に対して、よくある説明はだいたい次のどれかだ。
中国がEVで勝ってしまったから
トヨタ(や日本勢)が正しかったから
EUが理想に走りすぎて失敗したから
どれも一部は事実だが、どうも説明として粗い。
本当にそれだけなら、
ここまで複雑な「ズレ方」にはならない気がする。
- 「技術が失敗した」では説明できない理由
まずは一番分かりやすい説明から疑ってみる。
EVは技術的に未熟だった
だからEUの戦略は行き詰まった
しかし、これには無理がある。
EVの基礎技術は以前から存在していた
バッテリーもモーターも、進歩自体は続いている
EU自身もEV開発や投資を止めていない
つまり、技術開発が止まったわけではない。
では次。
EUはトヨタ潰しのためにEVを推進した
だが思惑が外れた
これはさらに説明として弱い。
意図があったかどうか以前に、政策の作り方が合わない。
EUのEV政策は、
特定企業を狙い撃ちするような単純な設計ではない。
ここまで来ると、
「何が起きたか」ではなく
**「どこでズレたか」**を見た方が早い。
- 本質は「制度が技術を追い越した」こと
結論を先に言う。
EUのEV政策の本質は、
技術の問題ではなく、制度設計の順序にある。
本来、技術と制度の関係はこうなる。
技術が生まれる
実装と試行錯誤が進む
現実に合わせて制度が整備される
ところがEVでは、これが逆転した。
理念(脱炭素・ゼロエミッション)が先に固定され
それを満たす制度が先に作られ
技術が後から追いつくことを求められた
これは、技術者の感覚で言えば
典型的な設計事故に近い。
たとえば、
出力
期限
使用条件
が最初から厳密に決められた状態で、
「中身はこれから考えてください」と言われるようなものだ。
技術が未成熟な段階で
制度側の要求だけが完成してしまうと、
技術進化の方向そのものが縛られる。
EUのEV政策で起きたのは、まさにこれだった。
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