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なぜ建設×積算という課題に取り組むのか

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はじめに

こんにちは、株式会社Prefab CTOの米本です。

今日は私たちがどのように建設×積算という課題にたどり着き、なぜその市場に魅力を感じているのかについて整理します。また、弊社がエンジニアの方にどのような面白さを提供できるのかについて触れます。

まず、私は相方である寺町と大学時代に出会い、学生起業として株式会社Prefabを立ち上げました。それから3年ほど経ちますが、今までにもっとも悩んだのは市場選定でした。

さて、学生起業には、ある種の王道があります。
創業者の原体験ベースで、日常の課題から広がってきた事業案。
教育、就活、人材、広告…そういったテーマに自然と集まりがちです。

それらは、もちろん事業作りの1つの正解だと思います。実際、自分が日常で触れている世界であれば、ユーザーの気持ちを解像度高く想像できます。

ただ、私たちはその道を選びませんでした。以下の2つの疑問を常に抱えていました。

  • 自分の人生をかけて周りと同じような事業を行うのか?
  • そもそも大学生の人生経験で想像できる課題の中に真に深い課題が存在するのか?

私たちのやりたいことは、まだ誰も解いていない課題を自分たちの行動によって解決し、社会に大きな影響を与えることでした。
以下、建設×積算というテーマに辿り着くまでを、時系列に沿って説明します。

1. 最初の事業の撤退

最初から今の結論に至っていたわけではありません。
私たちは何度も事業撤退を経験しています。
詳細な撤退理由は、相方のnoteで詳しく説明されているので割愛しますが、一言で言うと

ニーズのヒアリングが甘かった

ここに尽きると思います。
この失敗が、次の行動を決めました。

次は、作る前に必ずニーズ検証をする。以下の3点をきちんとユーザーの言葉で説明できるようになるまでコーディングはしない。

  • 誰が、何に、どれだけ困っているのか
  • その困りごとは、お金を動かすレベルなのか
  • それは根本的な問題なのか、それとも運用の工夫で済むのか

2. 市場選定のルールを設定

それ以降、色々な事業アイデアを出しては、以下の基準に当てはまっているかを厳しく考えました。

(a) スタートアップとして成長していける市場であること

市場選定によってスタートアップとしての成長の余地は大きく変わります。ここには2つの要素があります。

  • ポテンシャル市場の大きさ(最高のシナリオでうまくいった時に、その事業で達成できる売上はいくらなのか)
  • 目の前の課題が深いこと(感情的にも客観的にも明らかにおかしいことが行われているのか)

スタートアップとしての成功のためには、そこにお金を払ってでも解決したいほどの課題(バーニングニーズ)を発見しかつその課題に取り組めば最大で取れる額が大きい、ということが必要条件です。

(b) 強いプレーヤーが参入していない市場であること

基本的には、重要で大きな市場には放っておいても多くの企業が参入します。
しかし私たちのやりたいことは、まだ誰も解いておらず、かつ大きな課題を解決することです。

  • 市場が大きい
  • 課題が深い
  • なのに、まだ誰にも解かれていない

まずはこの条件を満たす市場を探しにいく必要がありました。このような市場は非常にレアです。

3. いろいろな人に会う

私たちは最初からテーマを「建設業」と決めていたわけではありません。
市場の大きい領域に絞りつつ、徹底的に話を聞きに行きました。具体的には以下のような業界です。

  • 製造業
  • 建設業
  • エネルギー業
  • 士業
    ...

話を聞きに行くなら、できるだけ学生のうちに多くの人に会っておくべきだと思いました。そこで、以下のような行動を取りました。

  • 業界内の会社を調べ、手書きで手紙を送る
  • 電話して「一度会ってください」と頼む
  • 大学のキャリアセンター経由で頼み込んでOBを紹介してもらう
  • Webフォームへの問い合わせを送る
  • ビザスクで公募をかける

私たちの対象とする業界に関しては、手紙営業がもっとも効果的でした。(手は痛くなりますが)

今のファーストクライアントにも、その方法で出会いました。いきなり飛び込んできたただの学生に対して忙しい中時間を作ってくださった皆さまには、感謝しかありません。

4. ヒアリングを繰り返して見えてきた積算業務の課題

いろいろな産業の話を聞きました。どこにでも課題はありました。しかしそのほとんどはニッチすぎて汎用性がなかったり、逆に有名なSaaSを使えば解決できそうな簡単な課題だったり。

一筋縄では行かない日々を過ごす中で、建設業界のヒアリングで、同じ言葉が何度も出てきました。

「見積もり業務がものすごく大変」

当時建設業の業務内容を何もわかっていなかった私は、「見積もり業務なんて過去の案件を真似して1日で作れるのでは?」という感想を抱きました。

しかし、その課題は、会社が変わっても、担当者が違っても皆さんが口にします。

実際に見積もりの手順を教えていただくために、奈良県の建設会社様に見学に行かせていただきました。そのとき、この課題について深く理解しました。

  • 見積もりを間違えると会社の利益を圧迫する、または入札に負けてしまう
  • そのため、受注確率が低い案件にも同じ時間を費やしている
  • 図面に書かれている記号や線を1つ1つ手動で数えて、細かく工事内容を拾い、正確に見積もりを出している
  • そこには1ヶ月の人手作業が必要である

感情が先に来ました。

こんなに大変な作業を人手でやり続けてきたのか?

すぐに最初の市場選定の軸に戻して、検証しました。

  • 市場は大きいか? → 建設業は70兆円の市場。業界の全ての会社が見積もり業務を行う。
  • 深い課題か? → 建設業の全ての起点である見積もり業務に莫大なコストがかかっている。
  • まだ解かれていないか? → 競合になりうる会社は数社あるが、完全に解決できている会社は1社も存在しない。

2年間の事業探し期間を経て、やっと熱意を持って取り組むべき課題を見つけました。

5. 受託かプロダクトか

領域が見えた後、次に問うべきは「どう解くか」でした。

受託開発はスタートアップ側のリスクがほとんどない一方で、基本的に1社最適になりやすいビジネスモデルです。
しかし積算業務の無駄は、業界全体に共通する課題です。業界全体を変えるには、仕組みとして動き続けるようなソリューションを作るしかないと考えました。

  • 改善が資産として積み上がる
  • 追加の顧客にも同じ価値が届く
  • 大企業から中小企業まで幅広く手軽に利用できる

この課題に対して私たちのやりたいことを当てはめた結果、プロダクトとして作っていくことを決めました。

6. トライアル契約の獲得

一般に、スタートアップが最初からエンタープライズ契約を取るのは難しく、中小企業から始めてだんだんと実績を積んでいくパターンが多いです。
それでも私たちは、事業立ち上げ初期からエンタープライズの契約(有料トライアル)を取ることができました。

これは「私たちがすごい」という話にしたいわけではありません。

未熟なMVPでも検討せざるを得ないほど、課題が深かった

つまり、需要が、外部要因で検証されたということです。

  • やはり重要な課題だった
  • 誰にも本気で解かれていなかった

7. 優秀なエンジニアが弊社で働くべき理由

AI時代になって、「何かを作る」こと自体は非常に簡単になりました。
でも、エンジニアとして本当に問いたいのはここです。

あなたの積み上げてきた技術は、真の意味で社会を変えるか?

私たちが向き合っているのは、次の条件を満たす0→1です。

(a) 誰にも解かれていない課題だからこそ、解く価値が大きい

見積もり業務を効率化するには、図面という非構造データを扱う必要があります。ただOpenAIのAPIをラップするだけでは解けません。技術的に難しい課題がたくさんあります。
ここを突破するには、難しい問いにこそ熱意を持つ、優秀な技術者のチームが必要だと思っています。

(b) 改善が資産として積み上がる

プロダクトなら、一度書いたコードが業界全体で使われ、仕組みとして残り続けます。ソフトウェアの真の価値はそこにあるはずです。

8. 余談: 私が人生でやりたいこと

少し個人的な話をさせてください。

私自身が人生でやりたいことや、他人がやっていてすごいと思うことについての価値観は、一貫しています。
それは、「まだこの世の中にないものを生み出すこと」です。

私は10年後の目標として、研究者に投資する財団を立ち上げたいと考えています。
一見、今取り組んでいる建設×積算の事業とは無関係に見えるかもしれませんが、根底にある価値観はまったく同じです。

研究者は、人類がまだ知らないものを解き明かし、この世界に存在しなかった概念や技術を生み出しています。私からすると、彼らは起業家よりもよっぽどすごいことをやっていると思っています。

だからこそ、尊敬を込めて、まだ存在しないものを生み出す挑戦に対して経済的な支援という形でコミットしたいという目標があります。

会社の話に戻ると、「重要で、深く、まだ解かれていない課題を解く」「簡単ではないと分かっている問いを選ぶ」
こういった根底にある価値観が、事業探しの軸になり、そして何より、報われない時期も相方である寺町と一緒にチームを続けられた理由でもあります。ここが私たちチームPrefabの一番の強みだと思っています。

この思想に共感してくれる方とこれからの時間を使っていけたら、それ以上に嬉しいことはありません。

9. おわりに

建設業や積算という領域は、スタートアップの世界では決して派手ではありません。
しかし、私たちはこれまでも、これからも、本質的な価値と向き合い続けるチームでありたいと思っています。

  • 新規性のない開発に飽き飽きしている
  • まだ誰にも解かれていない深い課題に自分の技術を当てたい
  • 自分のコードが社会の構造を変える瞬間を見たい

この考えに共感してくださる方、ぜひ弊社で一緒に建設業という巨大産業を変革しましょう!

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