SIGNATE 第4回金融データ活用チャレンジ
第4回金融データ活用チャレンジ 参加概要
今回、SIGNATEのコンペティションである、第4回金融データ活用チャレンジに挑戦しました。
コンペティション課題
コンペの課題は「生成AIをバディ(相棒)として活用し、データに基づいた価値ある提案書を作成する」ことで、私は提供されたMicrosoft AzureのOpen AI APIキーを使用して、以下の特徴を持ったAIエージェント的アプリケーションを作成したので、その内容をまとめようと思っています。
テーマ設定
今回テーマにしたのはAIの出力結果を「生成」よりも「再現」にすることです。
大学生ながら、実際の提案書を作成するときはどんな情報をどういうふうに組み合わせていくのか、ということをイメージしながらそこをなぞるようにフローを組みました。
また、JPX総研のデータを使用することで、実例ベースの分析を再現するフローを構築できるようにしました。
本アプリケーションの特徴
git hubのページ:https://github.com/teshima-shinnosuke/financial-report
・複数のAzure Open AI API呼び出しによる、AIエージェント的CLIアプリケーション
・JPXの公開データをディープリサーチし、それを踏まえた外部環境分析
・JPXの公開データから生成した、実データに近い提案事例を用いたFew-shot Promptingによる提案生成
※AIエージェント的とやや曖昧な言い方をしているのは、今回私が作成したものはAIが出力したものから連鎖的にAIに入力していますが、(例えばAIが分析した企業の課題点から、提案内容を作成する、など)その推論方法は細かく指定しており、「AIが自律的にタスクを実行する」というAIエージェントの一般的な定義とは離れると考えているからです。
全体の構成
⓪ 建築業界の外部環境(業界で共通のマクロ環境)分析を共通データとして保存
①-A 有価証券報告書のテキストを抽出し、内容でジャンル分け(財務、人的資本、販路・営業など)
①-B 財務諸表のデータを抜き出し、いくつかの指標を計算、その結果を①-Aの財務ジャンルとして結合
②-A 各ジャンルについてFew-shot Promptingによってスコアリング
②-B 財務や人的資本、販路・営業ジャンルの内容から地域性を抜き出す。
③ 実例ベースであらかじめ用意した解決策のうち、⓪より外部環境、②-Aより企業の課題、②-Bより企業の地域性 から適した解決策を上位3つを選ぶ。
④ 売り上げ予測などのロードマップやリスクを出力する
パイプライン処理フロー
有価証券報告書(PDF)から企業分析レポート(Word)を自動生成するまでの全体フローです。
⓪ 建築業界の外部環境(業界で共通のマクロ環境)分析を共通データとして保存
概要
概要としてはJPXの公開データをディープリサーチして、提案書の一つ目の項目である外部環境分析の文章を作成しつつ、のちに提案施策を生成する際のプロンプトファイルとして保存しました。。
工夫した点
・PEST分析のフォーマットを使用し、外部環境を網羅的に確認
・JPXの公開データをリサーチし、実際の企業が発信している情報をもとに根拠を探す
・業界構造・業界課題・地域性など、コンペティションで重視されている要素もカバー
出力結果
JPX総研の公開データを踏まえたことで、財務・金融指標に裏付けたれた外部分析が可能にな理ました。
以下は出力の一部です。
...
### 2023年以降の定量変化
配当込み株価指数(建設業)は2022年12月末2,069.55→2025年12月末5,495.35で+165.5%と急伸し、同期間のTOPIX配当込み(+93.8%)を大きく上回った。citeturn30search2turn30search3
時価総額も、2025年12月末時点で建設業の時価総額がプライム約31.29兆円(31,289,341百万円)、スタンダード約1.72兆円(1,724,759百万円)、グロース約0.08兆円(81,687百万円)に達している。citeturn15search1
一方で利回りは、2022年12月末(プライム3.68%)から2025年12月末(プライム2.40%)へ低下しており、株価上昇による利回り圧縮(株主還元の“相対的魅力度”低下)が確認できる。citeturn29search3turn14search3
#### 構造的解釈
2023年以降は、建設業が「高利回り・相対的割安」から「成長(あるいは高収益)期待を伴うリレーティング」へ移行した局面と整理できる。利回りが低下しているにもかかわらず時価総額が拡大しているため、株主還元が一定としても“期待成長率・収益性・資本効率”に関する見通しが上方に変化したと考えるのが自然である。citeturn15search1turn14search3turn30search3
また、プライム市場全体の平均PER/PBR(単純平均)は、2025年12月末でPER18.0倍・PBR1.4倍と示されており、資本収益性や株主還元を巡る市場全体の評価軸が“資本効率”へ収れんしつつある環境下で、建設業もその評価軸に乗った可能性がある。citeturn16search0
...
①-A 有価証券報告書のテキストを抽出し、内容でジャンル分け
概要
有価証券報告書のテキストを抽出し、段落ごとにジャンル分けしました。
ジャンルは以下の通りです。
・経営戦略・中期ビジョン
・財務・ガバナンス
・営業・受注戦略
・オペレーション
・人的資本
・技術・DX
・サステナビリティ
・リスクマネジメント・コンプライアンス
・株式事務
・そのほか(表紙や目次など)
工夫した点
・後の課題設定に生きるように、ビジネスの基本となる5要素(経営戦略・財務・マーケ・人的資本・オペレーション)に注目度の高いDXやリスク管理、サステナビリティに関する要素を入れました。
・LLMの出力を分析するなかで、地域型の建築業界にはあまりマーケティングという要素があまりないのかなと思い、受注戦略などがこれにあたるのかなと思い、変更しました。
・その他の他に、財務にジャンル分けされていた株式事務に関する情報が圧迫していますが、スコアリングに影響を与えていなさそうで、APIトークンを消費するだけなので、財務とは分けてスコアリングの際に除外しました。
出力結果例
{
"filename": "有価証券報告書(12044).pdf",
"pages": [
{
"page": 1,
"sections": [
{
"tag": "その他",
"text": "【表紙】\n【提出書類】 有価証券報告書\n【根拠条⽂】 ⾦融商品取引法第24条第1項\n【提出先】 関東財務局⻑\n【提出⽇】 2025年4⽉25⽇\n【事業年度】 第25期(⾃ 2024年4⽉1⽇ ⾄ 2025年3⽉31⽇)\n【会社名】 茨城あずま建設株式会社\n【英訳名】 Ibaraki Azum a Construction Co., Ltd.\n【代表者の役職⽒名】 代表取締役社⻑ ⼭本 健⼀\n【本店の所在の場所】 茨城県⽔⼾市三の丸⼀丁⽬5番38号\n【電話番号】 029-224-1111\n【事務連絡者⽒名】 常務取締役管理本部⻑ 佐藤 修\n【最寄りの連絡場所】 茨城県⽔⼾市三の丸⼀丁⽬5番38号\n【電話番号】 029-224-1111\n【事務連絡者⽒名】 常務取締役管理本部⻑ 佐藤 修\n【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所\n(東京都中央区⽇本橋兜町2番1号)"
}
]
},
{
"page": 2,
"sections": [
{
"tag": "財務・資本政策",
"text": "第⼀部 【企業情報】\n第1 【企業の概況】\n1 【主要な経営指標等の推移】\n(1) 提出会社の経営指標等\n回次 第21期 第22期 第23期 第24期 第25期\n決算年⽉ 2021年3⽉ 2022年3⽉ 2023年3⽉ 2024年3⽉ 2025年3⽉\n売上⾼ (百万円) 6,200 6,800 7,971 12,281 12,187\n経常利益 (百万円) 150 100 61 581 263\n当期純利益⼜\nは当期純損失\n(△)\n(百万円) 90 50 △5 415 217\n持分法を適⽤\nした場合の投\n資利益\n(百万円) - - - - -\n資本⾦ (百万円) 1,400 1,400 1,400 1,400 1,400\n発⾏済株式総\n数 (千株) 2,800 2,800 2,800 2,800 2,800\n純資産額 (百万円) 650 690 720 1,136 1,353\n総資産額 (百万円) 5,800 6,500 7,203 9,311 9,274\n1株当たり純\n資産額 (円) 232.14 246.43 257.25 405.55 483.15\n1株当たり配\n当額 (円) 10.00 5.00 0.00 40.00 25.00\n1株当たり当\n期純利益⼜は\n1株当たり当\n期純損失\n(△)\n(円) 32.14 17.86 △1.96 148.29 77.61\n潜在株式調整\n後1株当たり\n当期純利益\n(円) - - - - -\n⾃⼰資本⽐率 (%) 11.2 10.6 10.0 12.2 14.6\n⾃⼰資本利益\n率 (%) 14.6 7.5 - 44.7 17.4\n株価収益率 (倍) 18.7 28.0 - 8.1 14.2\n配当性向 (%) 31.1 28.0 - 26.9 32.2\n営業活動によ\nるキャッシ\n(百万円) 350 220 △1,401 △149 △82"
}
]
},
{
"page": 3,
"sections": [
{
"tag": "財務・資本政策",
"text": "回次 第21期 第22期 第23期 第24期 第25期\n決算年⽉ 2021年3⽉ 2022年3⽉ 2023年3⽉ 2024年3⽉ 2025年3⽉\nュ・フロー\n投資活動によ\nるキャッシ\nュ・フロー\n(百万円) △120 △80 △14 △20 △20\n財務活動によ\nるキャッシ\nュ・フロー\n(百万円) △180 150 531 467 85\n現⾦及び現⾦\n同等物の期末\n残⾼\n(百万円) 350 640 639 937 920\n従業員数\n〔外書〕平均\n臨時雇⽤⼈員\n(名) 90\n〔15〕\n98\n〔18〕\n107\n〔22〕\n159\n〔28〕\n204\n〔35〕\n(注)1売上⾼には、消費税等は含まれておりません。\n2潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。\n3第23期は当期純損失を計上しているため、⾃⼰資本利益率、株価収益率及び配当性向については記載しており\nません。\n4「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3⽉31⽇)等を第22期の期⾸から適⽤しており、第\n22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適⽤した後の指標等となっております。"
}
]
},
{
"page": 4,
"sections": [
{
"tag": "経営戦略・中期ビジョン",
"text": "2 【沿⾰}\n当社(茨城あずま建設株式会社)は、2000年(平成12年)4⽉、茨城県⽔⼾市において、⼟⽊⼯事業\n及び建築⼯事業を主たる⽬的として設⽴されました。設⽴以来、茨城県を中⼼とした北関東エリア\nにおいて、道路・橋梁等の公共インフラ整備や⺠間商業施設の建設等を⼿掛け、地域社会の発展に\n貢献してまいりました。\n事業規模の拡⼤に伴い、2012年には東京都内へ進出し、2019年3⽉に東京証券取引所JASDAQ(スタ\nンダード)市場へ上場いたしました(2022年4⽉の市場区分⾒直しに伴い、現在はスタンダード市場\nへ移⾏)。\n近年では、建設需要の多様化や技術⾰新に対応するため、ICT施⼯の推進やM &Aによる事業領域の\n拡⼤に積極的に取り組んでおります。2023年には、株式会社⼟浦アーバン開発を吸収合併し、経営\n基盤の強化を図りました。"
},
{
"tag": "技術・DX・研究開発",
"text": "2000年4⽉ 茨城県⽔⼾市三の丸⼀丁⽬に茨城あずま建設株式会社を設⽴(資本⾦5,000万\n円)。\n2000年6⽉ 建設業法所定の特定建設業の許可(茨城県知事許可(特-12)第28500号)を取\n得。\n2003年8⽉ ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得。\n2008年5⽉ 事業エリア拡⼤に伴い、特定建設業許可を国⼟交通⼤⾂許可(特-20)第23456号\nに変更。\n2010年10⽉ 資本⾦を1億円に増資。\n2012年4⽉ 東京都千代⽥区に東京⽀店を開設。\n2015年12⽉ ISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得。\n2019年3⽉ 東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に株式を上場。公募増資により資本\n⾦を14億円に増資。\n2021年4⽉ DX推進室を設置し、ICT施⼯への取り組みを強化。\n2022年4⽉ 東京証券取引所の市場区分の⾒直しにより、スタンダード市場へ移⾏。\n2023年10⽉ 事業規模拡⼤及び経営効率化のため、茨城県⼟浦市の総合建設業、株式会社⼟浦\nアーバン開発を吸収合併。\n2024年6⽉ 技術⼒の向上及び⼈材育成を⽬的として、本社隣接地に技術研究所「AZU M Aテク\nノロジーセンター」を開設。"
}
]
},
...
①-B 財務諸表のデータを抜き出し、いくつかの指標を計算、その結果を①-Aの財務ジャンルとして結合
概要
財務諸表データから財務指標を計算し、財務ジャンルとして先ほどのジャンル分けの結果保存しました。
コーポレートファイナンスは大学でも少しだけ勉強しましたが、専門的な人がより有意義な指標を選ぶとより精密な企業分析になるのかなと思いました。
計算した指標は以下の通りです。
・収益性:売上総利益率、原価率、販管費率、営業利益率、経常利益率、純利益率、EBITDA
・成長性:売上高成長率、営業利益成長率、経常利益成長率、当期純利益成長率
・コスト構造:人件費率、減価償却費率、付加価値額(売上総利益−人件費)
・効率性:総資産回転率、ROA、ROE
・安全性:流動比率、当座比率、自己資本比率、D/Eレシオ
・キャッシュフロー:営業CFマージン、フリーキャッシュフロー、営業CF÷EBITDA、現金増減額
・建設業特有:工事運転資本、ネット運転資本(簡易)、売上債権回転期間(日)、仕入債務回転期間(日)
工夫した点
ここはpythonファイルを使ってデータ整形・計算し、LLMは使用しませんでした。
出力結果例
{
"企業情報": {
"コード": "12044",
"本社所在地": "茨城",
"市場・商品区分": "スタンダード(内国株式)",
"従業員数(連結)": 107,
"資本金(億円)": 14,
"業種分類": "総合建設・土木"
},
"指標": [
{
"YEAR": 2023,
"収益性指標": {
"売上総利益率": 15.47,
"原価率": 84.53,
"販管費率": 13.71,
"営業利益率": 1.76,
"経常利益率": 0.76,
"純利益率": -0.07,
"EBITDA": 231567609
},
"成長性指標": null,
"コスト構造・固定費分析": {
"人件費率": 5.95,
"減価償却費率": 1.14,
"付加価値額(売上総利益−人件費)": 759262592
},
"効率性指標": {
"総資産回転率": 1.11,
"ROA": -0.08,
"ROE": -0.76
},
"安全性・財務健全性": {
"流動比率": 68.19,
"当座比率": 60.8,
"自己資本比率": 10.0,
"D/Eレシオ": 4.07
},
"キャッシュフロー関連指標": {
"営業CFマージン": -17.57,
"フリーキャッシュフロー": -1414518935,
"営業CF÷EBITDA": -6.05,
"現金増減額": null
},
"建設業特有指標": {
"工事運転資本": -2568129334,
"ネット運転資本(簡易)": 208613795,
"売上債権回転期間(日)": 150.0,
"仕入債務回転期間(日)": 28.81
}
...
②-A 各ジャンルについてFew-shot Promptingによってスコアリング
概要
①でジャンル分けしたデータに対して、各ジャンル3~8個の項目を5点満点でスコアリングし、その結果から課題を抽出できる処理を作成しました。
工夫した点
工夫した点は、実際の企業のデータをFew-shot Promptingとしてスコアリングの参照としたことです。
JPX総研の銘柄情報から、株式会社森組・株式会社植木組・北野建設株式会社の決算情報や有価証券報告書を入手し、サンプルデータと同様に⓪~①ABの前処理をした上で、手動でスコアリングを実施しました。
私は金融専門家ではないので、評価項目の質問に答えが文章の中から明確な回答があるのかや、サンプルの有報に記載が少なく、点数が低く表示されやすい項目(サステナビリティなど)をあえてFew-shotで甘めに採点しておくことで、平均をコントロールする意図で使用しました。
今回は非常に少数な分析結果をFew-shotとして入力しましたが、より膨大なデータをRAGのような形で利用すれば、専門家の分析に限りなく近い分析ができようになると思います。
[
{
"filename": "有価証券報告書(12044).pdf",
"scores": [
{
"tag": "経営戦略・中期ビジョン",
"items": [
{
"item": "経営理念・パーパスについて、事業活動や意思決定と結びついた形で明確に示されているか。",
"score": 4,
"rationale": "経営理念「誠実な施工と高度な技術で、地域社会の発展と人々の豊かな生活基盤の創造に貢献する」が明記され、AZUMA Future Plan 2027や技術センター設置、M&A活用と結び付けているため方向性は明確です。ただし、個別の意思決定ルールや事業選択基準と理念の結びつきを示す具体事例は限定的です。"
},
{
"item": "中期経営計画について、売上・利益・ROE等の数値目標が具体的に設定されているか。",
"score": 4,
"rationale": "2026年3月期の売上高13,000百万円、営業利益500百万円、営業利益率3.8%、ROE10%以上といった具体的数値目標が提示されています。とはいえ、3ヵ年計画全体の年次推移や中間年の定量目標が乏しく、長期のロードマップとしてはやや不十分です。"
},
{
"item": "中期経営計画について、成長投資・コスト構造・人材施策など実行施策が明示されているか。",
"score": 4,
"rationale": "ICT導入(ドローン、BIM/CIM、ICT建機)、AZUMAテクノロジーセンター、M&Aシナジー、選別受注や原価管理強化、人材採用・研修・評価制度の拡充など具体施策は多岐にわたり明示されています。投資規模やスケジュール、費用対効果の定量的裏付けは限定的で、実行計画の詳細化が求められます。"
},
{
"item": "経営課題について、財務状況(利益率・CF・財務安全性)と整合した認識が示されているか。",
"score": 3,
"rationale": "資材高騰や労務費増、合併に伴う一時費用が利益圧迫要因であることを示し、営業利益の大幅減少等の財務インパクトを明確に認識しています。 一方でキャッシュフローや負債比率など財務安全性に関する詳細分析や数値シナリオは限定的で、課題と財務指標の整合性説明は標準的にとどまります。"
},
{
"item": "KPIについて、進捗管理やモニタリングの考え方が示されているか。",
"score": 3,
"rationale": "「売上高」「営業利益率」「ROE」を重要経営指標として位置付け、2026年目標値を掲げているため主要KPIは明示されています。 ただし、各施策のモニタリング頻度、責任者、現場やDX関連の運用指標など進捗管理手法の具体的開示は不足しています。"
}
],
"summary": "経営理念と中期方針は明確で、AZUMA Future Plan 2027や技術センター、M&A活用、ICT導入、人材施策といった具体的な施策が示されている点が強みです。一方で中期の定量目標は2026年までの主要指標があるものの、投資額やスケジュール、キャッシュフロー・財務安全性のシナリオ、施策別KPIの運用ルールが不足しており、実行性とモニタリング体制の明確化が課題です。"
},
...
②-B 財務や人的資本、販路・営業ジャンルの内容から地域性を抜き出す
概要
財務、人的資本、販路営業ジャンルから地域特有の構造を抜き出しました。
工夫した点
①-Aのようなジャンル分けではなく、一部のジャンルからの再抽出処理にしました。
出力結果例
{
"企業コード": "12044",
"ファイル名": "有価証券報告書(12044).pdf",
"本社所在地": "茨城",
"業種分類": "総合建設・土木",
"事業・営業・受注戦略の地域的特徴": "12044(本社:茨城、従業員107名、資本金14億円)は「公共工事中心」の土木・建築事業と不動産・資材販売、遊休地の太陽光売電を組み合わせた地域密着型のビジネスです。茨城県(鹿島臨海工業地帯、日立地区、つくば・水戸圏)では港湾・工場インフラ、道路・河川改修、上下水道、老朽化した公共建築や福祉施設のリニューアル需要が高く、産業系民間工事(倉庫・工場)や宅地分譲も相応の市場があります。同社規模から官公庁依存度が高く、地元自治体発注案件と太陽光などの遊休地利活用で収益多角化を図っている一方、地方予算変動、人口減少による住宅需要低下、労働力不足、競合大手との競争がリスクとなります。地域機会としては鹿島臨海地域の産業拡大、洪水対策・老朽化対策の公共投資、再エネ導入が挙げられ、戦略は地元密着で公共・産業案件を基軸に周辺県へ広域展開を図る形が有効です。",
"人的資本の地域的特徴": "本社を茨城に置く企業は、従業員数204名(臨時35名含む)、土木105名・建築75名と土木比率が高く、平均年齢40.5歳・平均勤続年数14.2年、平均年間給与7,250,814円と高水準である点が特徴です。土浦アーバン開発との合併や事業拡大に伴い従業員が前期比45名増加しており、首都圏近接による公共・民間の土木需要増が人材確保を促しています。一方で管理職に占める女性は5.2%と低く、若年層の採用は東京圏との競合、地域の高齢化が課題です。平均給与の高さは施工管理等の専門職比率と地域需要の影響と考えられ、AZUMAテクノロジーセンターでの実践研修や資格支援、DX人材育成、完全週休2日制の定着等で定着・生産性向上を図っている点に地域性が表れています。",
"財務構造の地域的特徴": "本社所在地が茨城の当社(従業員107名、資本金14億円)は、地域の公共工事やKanto圏への産業需要の影響を受け、収益・財務がプロジェクト周期で大きく変動しています。売上総利益率は2023年15.47%→2024年19.32%→2025年13.45%、営業利益率は1.76%→5.49%→3.05%と2024年に改善した後反落しています。自己資本比率は10.0%→12.2%→14.59%、D/Eレシオは4.07→4.42→3.65と地域中小建設業にみられる高レバレッジで、資本の脆弱性を抱えています。営業CFマージンは-17.57%→-1.21%→-0.67%と黒字会計でも営業CFが不足し、売上債権回転期間は150日台(122.99〜149.89日)、仕入債務回転期間は16〜29日と入金遅延と短期支払のギャップで運転資本が圧迫される構造です。ROEは大振れ(-0.76%→44.75%→17.47%)、ROAも-0.08%→5.03%→2.34%とプロジェクト受注の有無で資本効率が変動します。結論として、茨城を含む地方中堅ゼネコンは公共・産業案件の受注変動による収益性の振幅、長い売上債権期間と短い支払期間に起因する運転資本圧迫、高レバレッジという特徴が強く現れており、安定化のためは受注の平準化と債権回収改善、自己資本強化が課題です。",
"全体の地域的特徴": "茨城を拠点とする中堅建設業の地域的特徴としては、港湾・工場インフラや河川・道路改修など公共・産業案件を基軸に、遊休地の太陽光や不動産で収益を多角化し、施工管理等の高技能人材に高水準賃金と実践研修を投じている点が強みです。人的投資と地元密着の受注戦略は整合性が高く、受注力を高めています。しかし地方予算変動や人口減少、首都圏との採用競合が受注変動と人材確保の課題を生み、長期化する売上債権と短期支払、低い自己資本比率が財務の脆弱性を助長しています。総合評価としては、地域ニーズに即した事業・人材基盤が競争力の源泉である一方、受注の平準化、債権回収改善、自己資本強化、若年層・女性の登用やDXによる生産性向上、広域展開によるリスク分散が喫緊の課題です。"
}
...
③ 実例ベースであらかじめ用意した解決策のうち、⓪より外部環境、②-Aより企業の課題、②-Bより企業の地域性 から適した解決策を上位3つを選ぶ
概要
JPX総研の銘柄データを参考にしながら、実例ベースで解決策を7つ作成し、それぞれに対応している課題などを整理しました。
1 選別受注と受注ポートフォリオ再設計(官公庁×民間/建築×土木)
→ 営業・受注戦略、経営戦略、オペレーション
2 重点地域への事業エリア集約と拠点機能の再配置
→ 経営戦略、営業・受注戦略
3 スマート施工管理と原価・工程の標準化(現場マネジメントの仕組み化)
→ オペレーション、技術・DX
4 現場DXのスモールスタート(ICT・BIM/CIM・AI・遠隔臨場)を生産性改善に直結
→ 技術・DX、オペレーション、人的資本
5 資材高騰・供給制約対応:調達部門ネットワーク強化と早期資材調達
→ オペレーション、リスクマネジメント
6 4週8閉所(完全週休2日)を前提にした工程計画・受注条件・原価設計
→ 人的資本、オペレーション
7 協力会社と一体の安全・品質・環境マネジメント(最大リスクの再定義)
→ オペレーション、リスクマネジメント
8 人的資本KPI運用(女性比率・勤続年数ギャップ等)とキャリア採用の定量目標化
→ 人的資本、経営戦略
9 流通株式比率・流動性改善(立会外分売等)による上場維持と資本市場アクセス確保
→ 財務
実際に提案する施策内容はこの解決策から今までの分析内容を踏まえて選択される形になっています。
工夫した点
これもJPXの銘柄データから施策内容をディープリサーチで調べてもらいました。
実際の提案書を考えるときも0から施策を考えるのではなく、現状と成功例を見比べて施策提案をするのかなと思ったので、あらかじめ選択肢リサーチ→現状と照らし合わせて選択という形にしました。
出力結果例
{
"企業コード": "12044",
"filename": "有価証券報告書(12044).pdf",
"tag_averages": {
"経営戦略・中期ビジョン": 3.6,
"事業・営業・受注戦略": 2.25,
"生産性・施工オペレーション": 3.25,
"人的資本・組織運営": 3.2,
"技術・DX・研究開発": 3.67,
"サステナビリティ・社会的責任": 3.33,
"財務・資本政策・ガバナンス": 3.38,
"リスクマネジメント・コンプライアンス": 3.67
},
"weak_tags": [
{
"tag": "事業・営業・受注戦略",
"avg_score": 2.25
}
],
"selected_solutions": [
{
"施策名": "選別受注と受注ポートフォリオ再設計",
"priority": 1,
"relevance_score": 5,
"課題適合理由": "受注方針の開示が欠如(受注方針スコア1/5、事業・営業平均2.25)で採算管理が不十分です。売上総利益率が15.47→19.32→13.45%、営業利益率が1.76→5.49→3.05%と変動幅が大きく、選別受注を制度化することで低採算案件の受注抑制と粗利安定化が図れます。さらにKPI運用(案件別粗利・要員配分)を導入すれば施策実行性が高まります。",
"地域性適合理由": "本社茨城の地域特性として公共工事依存度が高く、従業員規模(例: 107名)・土木比率が高いため『人が回る範囲』が実効的受注上限になります。地方予算変動や首都圏との採用競合があるため、官公庁/民間・建築/土木のポートフォリオを意図的にコントロールすることが、現場過負荷や品質低下回避に直結します。",
"業界特性適合理由": "建設業は担い手制約と資材高騰が同時進行しており(外部環境分析のベースシナリオ)、量から質への転換が求められます。選別受注は価格転嫁が進む局面での収益性確保策であり、DXやVEと組み合わせることで高付加価値案件に経営資源を集中でき、競争優位を維持しやすくなります。",
"expected_impact": "粗利率の安定化、低採算案件削減による営業利益率向上、現場負荷の平準化が期待できます。",
"対応する弱点": [
"事業・営業・受注戦略"
]
},
...
④ 売り上げ予測などのロードマップやリスクを出力する
概要
施策遂行時の売り上げ予測やロードマップをLLMによって出力します。
工夫した点
施策に選定時の課題適合理由・地域性適合理由・業界特性適合理由や、財務指標などもプロンプトに組み込んでいるため、全体の一貫性や数値的根拠が明確な未来予測を提示することができるようにしました。
出力結果例
{
"企業コード": "12044",
"filename": "有価証券報告書(12044).pdf",
"impact": {
"id": "impact",
"title": "効果試算",
"assumptions": [
"試算は直近2025年指標(売上総利益率13.45%、営業利益率3.05%、営業CFマージン-0.67%、売上債権回転149.89日)を基準にします。",
"選別受注により低採算案件比率を年次売上の3〜5ポイント分抑制するものとします(控えめ想定、導入後18〜24か月で定着を前提)。",
"調達改善で材料費変動幅を年1〜2ポイント縮小し、先行発注・長期契約等で仕入・支払リードタイムを平均10〜20日短縮するものとします。",
"拠点集約で移動・間接費を売上比0.5〜1.5%削減すると想定します(初期再配置費用は一部相殺し保守的に計上)。",
"各施策の相乗効果は完全実現しない前提で、期待効果の70%を実現率の目安に設定します。"
],
"conservativeness_note": "同業上位比の改善幅を抑え、定着遅延と一時コストを考慮したためです。",
"quantitative_impact": {
"revenue": "短期的には選別受注で低採算案件を抑制するため売上は-2%〜+1%のレンジを想定します(控えめに、受注単価引上げ余地は限定的と見積もり)。",
"profit_margin": "売上総利益率13.45% → 14.5〜15.5%(調達・選別で+1〜2pt、控えめ)、営業利益率3.05% → 4.0〜5.0%(同業上位を参考に+1〜2pt改善を想定)です。",
"cash_flow": "営業CFマージン-0.67% → +0.5〜2.0%の改善を想定します。主因は売上債権回転短縮(10〜20日)と粗利改善、及び仕入条件改善による運転資金負担の縮小です。",
"calculation_notes": "基準は2025年比とし、粗利改善は選別受注(+1〜1.5pt)と調達改善(+0.5pt)の合算、間接費削減で営業利益にさらに0.5〜1.0pt上積みします。売上変動は-2〜+1%を前提に、営業利益率は粗利改善と間接費削減を合算し70%の実現率で保守的に算出しました。売上債権回転短縮はキャッシュ改善に直結し、営業CFマージンは粗利改善分と日数短縮効果を合算してレンジ化しています。"
},
"qualitative_impact": {
"effects": [
"受注安定性:選別受注とポートフォリオ管理で低採算・工期リスク案件を減らし、実行可能な案件に集中することで受注の質と安定性が向上します。",
"人材定着:拠点集約と現場負荷の平準化で残業・応援頻度を下げ、現場の働きやすさが改善して定着率向上が期待できます。",
"中長期競争力:調達ネットワーク強化と集中化によりコスト競争力と現場品質が高まり、高付加価値案件へのシフトが進み競争優位性が強化されます。"
],
"narrative": "本施策群は短期的な売上変動リスクを伴いますが、受注の質向上・調達安定化・拠点集約により粗利安定と現場生産性を高め、中期的には営業利益率と営業CFの改善につながります。施策は段階実行とKPIによるモニタリングを前提に設計しており、控えめ想定でも財務の健全化と競争力強化に資する想定です。"
}
},
"roadmap": {
"id": "roadmap",
"title": "実行ロードマップ",
"short_term": {
"actions": [
...
最終出力
最終的に以下の構成で提案資料を出力しました。
- エグゼクティブサマリー
- 企業概要 (←②-B)
- 業界環境 (←⓪)
- 分析と経営課題 (←②-A)
- 施策提案 (←③)
- 効果試算・ロードマップ・リスク(←④)
- まとめ
出力結果例

振り返り
段階的にLLMを呼び出し、実データを参照に加えることで、再現性の高いアプリケーションが作成できたのかなと思いました。
課題として残るのは財務指標の選定やスコアリングの基準などはドメイン知識があればよりブラッシュアップができる点と、1個の提案資料を作成するにも10分くらいの時間と膨大のトークン消費が必要になることです。
Discussion