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プロジェクトマネジメント改善への取り組み - WBSによる可視化と理想的な開発フローの実現を目指して
はじめに
プロジェクトマネジメントの難しさは、多くの開発チームが直面する課題です。特にチーム間の連携や、開発プロセスの標準化においては、理想と現実のギャップに悩まされることが少なくありません。
本記事では、私たちのチームが経験した課題と、その解決に向けた取り組みについて共有させていただきます。
直面していた課題
- チーム間コミュニケーションの不足
- 各チームが担当範囲に集中するあまり、チーム間の連携や依存関係の把握が不十分
- 他チームへの依頼や連携が後手に回り、突発的な作業が発生
- プロジェクト全体の進捗状況を共有・把握する仕組みの不足
- プロセスの不明確さ
- マイルストーンは設定されているものの、具体的な実行プロセスが明確でない
- 品質担保のための各種テストの実施範囲や基準が不明確
- リリースに向けた判断基準や具体的なステップの整理が不足
改善に向けた取り組み
1. WBSによる全体像の可視化
プロジェクト全体の可視化と進捗管理のため、WBS(Work Breakdown Structure)の導入を決定しました。
WBSでは以下の項目を管理します:
- マイルストーンごとの具体的なタスク
- タスク間の依存関係
- 担当チームと期限
- 各タスクの進捗状況
2. 標準フェーズの設定
各マイルストーンの開発プロセスを明確化するため、以下のような標準フェーズを設定しました。例えば「新機能A」というマイルストーンがあった場合、以下のフェーズを順番に進めていきます:
- 要求確認:ビジネス要件の確認
- 要件定義:技術要件への落とし込み
- ユーザーストーリーの作成:具体的な利用シーンの定義
- ワイヤー作成:画面遷移や主要機能の整理
- デザインプロトタイプ作成:詳細なUIデザイン
- 検証:デザインレビューとフィードバック
- 設計:技術的な設計と実装方針の決定
- 開発(API):バックエンド側の実装
- 開発(アプリ):フロントエンド側の実装
- テスト:結合テストと品質確認
- リリース:本番環境への展開
この標準フェーズをマイルストーンごとに適用することで:
- 各工程の完了基準が明確になり、次のフェーズへの移行判断が容易に
- デザイン検証完了後に実装開始など、プロセスの順序性を担保
- 複数のマイルストーンが並行する場合でも、各々の進捗状況が把握しやすい
- チーム間の依存関係やボトルネックの特定が容易に
また、マイルストーンの規模や性質に応じて、フェーズの一部を省略したり統合したりすることも可能です。例えば小規模な改修であれば、ワイヤー作成とデザインプロトタイプ作成を1つのフェーズにまとめるなど、柔軟に対応しています。
期待される効果
- チーム間の依存関係の可視化による突発的な依頼の減少
- 標準フェーズによる手戻りの防止
- プロジェクト全体の進捗状況の共有
- リスクの早期発見と対応
今後の展望
現在、この取り組みを始めたばかりですが、以下のような発展を目指しています:
- WBSをプロジェクトのマスター資料として発展させる
- プロジェクトのゴール
- 各メンバーの役割
- 関連資料へのリンク集
- ビジネスサイドとの連携強化
- 進捗状況の共有
- 早期のフィードバック取得
まとめ
プロジェクトマネジメントの改善は一朝一夕には実現できませんが、小さな一歩から始めることが重要です。私たちの取り組みがまだ始まったばかりですが、これらの施策を通じて、より効率的な開発プロセスの実現を目指していきます。
実際の成果については、追って報告させていただく予定です。
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