ガード節を理解したい

先日Xでこんなツイートを見かけました。
https://x.com/sho_engineer25/status/1985193214920540241?s=20

コードレビューで「早期returnの方が読みやすい」と学んだ方が、それを意識して書いたところ
レビューでは逆にif/elseや三項演算子を使った方が意図が分かりやすいと指摘を受けた、という内容でした。

レビューの指摘として挙がっていたのはこの2点。

• 「晴れ or 雨」という排他関係がearly returnだと分かりにくい
• 後から共通処理を追加したくなった時に二重に書く必要が出る

読んでいて「ああ、早期returnが万能ってわけじゃないよな…」と感じました。

ただコメント欄を読んでいくと、それとはまったく別の視点で語っている人もいて、そこがすごく勉強になりました。特に印象に残ったのが次の意見です。

early return の本質は、処理本体に入る必要がないケースを最初に除外すること
if/else の排他制御と比べて議論するのはコンテキストが違う

この視点の例として挙げられていたコードがこちら。

function todaysActivity(isSunny) {
  if (finishedHomework() === false) {
    console.log("まず宿題を終わらせよう！");
    return;
  }

  if (isSunny) {
    console.log("外で遊ぶ！");
  } else {
    console.log("家で遊ぶ！");
  }

  eatSnack();
}

このコードのearly returnは「晴れか雨か」の排他ではなく、「宿題が終わっていなければ本編（遊ぶ処理）に入らない」という前提チェックの方に使われています。

つまり

• 排他制御（晴れ vs 雨）
• 処理の前提条件を満たさない場合に弾く（宿題が終わってない）

この2つはまったく別の話ということです。

このあたりを踏まえて、自分なりにガード節について整理してみました。

TL;DR

ガード節は異常系・前提不足のケースを先に弾いて、正常な処理に早くたどり着けるように書く方法。
ただし排他制御が主役の場面では、無理にガード節に寄せると逆に読みにくくなる。

ガード節とは

言葉の定義としては「想定外の条件を関数の冒頭で処理して早めに抜ける書き方」です。

ガード節なし：

function save(user) {
  if (user != null) {
    if (user.isActive) {
      doSave(user);
    }
  }
}

ガード節あり：

function save(user) {
  if (user == null) return;
  if (!user.isActive) return;
  doSave(user);
}

後者は「この関数の本題はdoSave(user)なんだな」がすぐ読み取れます。

ガード節の本質（自分なりの解釈）

「ネストが浅くなるからいい」みたいな話によくすり替わりますが、そこは本質じゃないと思っています。

大事なのは

• 読む人の頭に余計な分岐を抱えさせない
• 正常系がどれかをすぐ分かるようにする

この2つ。

ガード節は書き方のテクニックというより読み手に負担をかけないための考え方に近いんじゃないかと感じた。

ガード節が逆効果になるとき

早期returnが正義というわけではなく、場合によっては使わない方が読みやすいです。

1. 排他制御が主役のとき（元ツイートのケース）

「晴れならこう、雨ならこう」と対の構造が大事なケースではearly returnを入れると逆に意図が伝わりにくくなります。
共通処理が挟まるならなおさらif/elseの方が自然。

2. 例外処理が本筋の関数

例外を投げるのがメインの関数なのにearly returnで例外が隅に追いやられると読みにくいです。

3. 「ここで抜けていいの？」と読み手が不安になるとき

ドメインロジックが絡む場面など。
ネストが少し深くなっても条件ブロックの方が安心して読めることもあります。

まとめ

元ツイートの例では排他制御がメインだったのでif/elseや三項演算子が正解に近かったと思います。一方でearly returnそのものの思想はそこではなく「不要なパターンを先に弾いて本題に早く入る」こと。

何を主役にしたい？	合う書き方
正常系を目立たせたい	ガード節（early return）
分岐の意図や対比が大事	if/else・三項演算子など

こんな感じ。

結局のところどの書き方が正しいかではなく
この関数は何を伝えたいのかによって選ぶものなんだと改めて思いました。