Kobe Innovation Conference - AKATSUKI 成果発表会 | Alpha+ Projcet
はじめに
本記事は、2025年2月8日に ANCHOR KOBE にて開催された Alpha+ Project による 「Kobe Innovation Conference - AKATSUKI 成果発表会」のレポートになります。
Alpha+ Project とは
Greek Alphabet Software Academy が主催する Alpha+ Project は元シリコンバレー企業、そして世界のテクノロジーをリードする会社の元エンジニアがシリコンバレー流の開発スタイルを教えています。
実践的かつ効率的、そして何より楽しい開発手法やマインドセットを学ぶことができます。
主催者 石原直樹
日米文化、日米企業の狭間で苦闘しながらソフトウェア開発とそのプログラムマネジメントに従事してきた。14年間勤めた Google で得られた経験やスキルを活かすため2020年に日本へ帰国し、出身地の神戸でイノベーション文化の伝道師として活動中。神戸でトップレベルのソフトウェアエンジニアを育成する Alpha+ Project を主催。
Kobe Innovation Conference - AKATSUKI 成果発表会
神戸を含む近畿周辺で高度なソフトウェア技術者を育てる Alpha+ Project の2期生が、今年度の最終成果発表会を行います。
GAFAM 出身の技術者たちが9ヶ月指導してきたクリエイターたちの成果発表をご覧いただけるほか、地方での技術人材発掘や育成に関して、多様な分野の専門家がパネルディスカッションを行います。
アキドコロ - 顧客のための空席管理システム
アキドコロは、お気に入りのお店での"空席待ち"をスマートに解決するアプリケーションです。NFC タグを活用した革新的な空席管理システムで、リアルタイムに座席状況が分かるだけでなく、お店での体験をより豊かにする機能を提供します。
来店履歴に応じたポイント還元やクーポンの配布、常連さん同士のゆるやかなコミュニティ形成もサポートします。
アキドコロ 空席管理チーム
発表者: 平沼 柊哉氏
飲食店の座席状況を確認できるアキドコロ。NFC タグを用いたチェックイン機能により、リアルタイムの可視化を可能にしているそうです。
チェックイン機能
NFC タグを導入した理由は、店舗は10席あたり200円と安価に提供でき、顧客はチェックインに必要な操作がタッチだけで完結するため、導入の安易さとユーザー体験の良さを両立できるからだそうです。
NFCは「Near Field Communication」の略で、近距離無線通信を意味します。非接触ICチップを使って、かざすだけで通信できる通信規格のことです。通信エリアが短いことが特徴で、おサイフ機能付きのスマートフォンや、Suica、PASMOなどの交通系ICに使われている技術になります。
引用: https://www.smbc-card.com/mem/hitotoki/cashless/nfc.jsp
アキドコロ クーポンチーム
空席管理システムは、顧客と店舗双方の機会損失を防ぐことができますが、そもそも顧客がチェックインしてくれなければ、そのシステムの価値が最大限発揮されません。そこで、顧客のチェックインを促進する機能として、クーポン機能を実装したそうです。
発表者: 坂部 翔氏
最後に、チェックインを行なって座席が更新される様子をデモンストレーションを通してご紹介いただきました。
Alter Ego - 無理な誘いにスマートなノーを
「Alter-ego」は、異性とのLINEでのやり取りに悩む瞬間をサポートするAIサービスです。LINEの会話履歴を基に、心理学的アプローチを取り入れたAIが自然で適切な返信を3つ提案します。
Alter Ego LINE チーム
発表者: 藪田 亘亨氏
問題の定義と具体的な活用事例についてお話があった後、実際の LINE のスクリーンショットを用いたデモンストレーションが行われました。
数あるサービスの中でLINE を選択した理由は、その圧倒的なシェア率に
Alter Ego がスクリーンショットやトーク履歴からどのように情報を読み取るのかについて、具体的な仕組みが説明されました。
Alter Ego LLM チーム
発表者: 楊 敬韜氏
Alter Ego が、口調や相手との関係性を考慮し、どのように心理学的アプローチを取り入れているのかについて説明がありました。
PresenEyris -観衆反応解析アプリ-
PresenEyris は、使用者がプレゼンテーションを行っている際の聴衆の様子を、動画で取得し、それらを解析します。 解析によって得られた視線の動きや虹彩の動き、瞬きの頻度などを用いて聴衆の没入度を数値的に算出し、プレゼンテーションに対する反応を客観的に評価できます。
発表者: 坂部 翔氏
本来であれば個人の感覚に頼りがちなプレゼンテーションの評価を定量的に評価し、それらを視覚的にわかりやすいグラフ等で表示することによって、より効率的にプレゼンテーションの改善を行うことが可能だそうです。
パネルディスカッション | イノベーションによる地方創生:高度デジタル人材育成が切り拓く未来
写真左から モデレーター:大橋 一馬 氏
パネリスト:石原 直樹氏 、中沢 則夫氏、藤井 信忠教授
近年、人口減少や高齢化、産業構造の変化など、地域社会はさまざまな課題に直面しています。特に、地方と都心ではそれぞれ異なるニーズや特性が存在し、それぞれに適した解決策が求められています。これらの課題を克服し、持続可能な地域社会を構築していくためには、地域独自の強みを活かしたイノベーションの創出と、それを支える人材の育成が不可欠です。
本パネルディスカッションでは、「イノベーション」「地方創生」「高度デジタル人材育成」をキーワードに、神戸(近畿)地域の特徴を踏まえながら、地域社会の未来を創造していくための道筋を、「Alpha+ Project」の活動内容も交えて、多様な分野の専門家と共に議論しました。
地方における高度デジタル人材の現状
現在、東京への一極集中が進む一方で、地方都市では過疎化が深刻化しています。特に、優秀な社会人はどうしても東京へ集まる傾向があるため、地方で高度デジタル人材を確保することが難しくなっています。
しかし、関西には優秀な学生が多く集まるという強みがあるそうです。東京のように多くの情報が自然と与えられる環境とは異なり、地方では情報を自ら取りに行く必要があります。そのため、適切な学習機会や環境を提供することができれば、大きく成長できる人材が多く眠っているそうです。
パネリスト
石原 直樹 氏
Alpha+ Project 主催
GDG Greater Kwansai (広域関西圏) オーガナイザー
神戸でイノベーション文化の伝道師として活動中。Google の元技術者たちと共に、神戸でトップレベルのソフトウェアエンジニアを育成するボランティア活動 Alpha+ Project を始める傍ら、2024年から Power X, Inc. でイノベーション戦略を担う General Manager をつとめる。
2000年に Sun Microsystems に入社し、Java Technology Evangelist のポジションを経て 2006 年に Google に入社。4 年間を Google 東京オフィス、10 年間をカリフォルニアの本社で勤務し主に Senior Program Manager として活躍。Google Devrel チームの創設時のメンバーの一人で、初代 Japan Lead でもあった。
2020 年 Google で得られた経験やスキルを出身地に還元するために帰国した。
東京大学経済学部卒。神戸出身
中沢 則夫 氏
うめきた未来イノベーション機構 理事長
神戸市出身。通産省(現・経産省)に入省。
33年余りにわたり、環境政策、知財問題、経済分析を含む多角的な視点から産業政策・通商交渉に関わる。
この間、産業技術総合研究所理事、サンフランシスコJETRO所長も務める。
退官後大和総研特別研究員を経て、2022年10月から現職。
藤井 信忠 先生
神戸大学 DX・情報統括本部情報基盤センター 教授
DsD合同会社 CTO
2000年神戸大学工学部助手、2002年東京大学人工物工学研究センター助手、2005年同客員助教授、2007年神戸大学大学院工学研究科准教授、2010年4月同大学院システム情報学研究科准教授を経て、2022年11月同DX・情報統括本部情報基盤センター教授(現在に至る)。博士(工学)(東京大学)。オペレーションズリサーチ、自律分散型生産システム、サービス工学、スマート農林業、アーバンデザインなどに関する研究に従事。
超領域都市型イベント「078KOBE」・エグゼクティブプロデューサー、アーバンデザインセンター神戸(UDC078)・センター長、地域ICT推進協議会(COPLI)・顧問などを務める。
他にも様々な議題についてディスカッションが繰り広げられました。
アーカイブも公開しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください!
Alpha+ Project Online Salon のご紹介
Discord サーバーにて Alpha+ Project に関する情報の共有を行っています。
参加にあたり、料金は一切発生いたしません。ご興味のある方は、ぜひご気軽にご参加ください。
参加をご希望の方は、下記のフォームにご記入ください。
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