マジカルミライ プログラミングコンテスト挑戦録 ~2025年編~
はじめに
本記事は、クリプトン社様が主催するマジカルミライプログラミングコンテストに参加した2025年の記録です。
マジカルミライプログラミングコンテストの概要について知りたい方は、2022年編をご覧ください。
- マジカルミライ プログラミングコンテスト挑戦録 ~2022年編~
- マジカルミライ プログラミングコンテスト挑戦録 ~2023年編~
- マジカルミライ プログラミングコンテスト挑戦録 ~2024年編~
- マジカルミライ プログラミングコンテスト挑戦録 ~2025年編~ 👈
4年目の参加動機
前年は最優秀賞をいただき、当初掲げていたコンテスト参加の目標は達成されました。
そのためこの年も参加するかどうかは少し迷いましたが、世間的に LLM が急速に盛り上がりを見せていること、前年のエクストラステージで紹介された、AI と TextAlive を組み合わせた作品「CooMA 音楽情報収集型生成AI」に刺激を受けたことから、AIをTextAliveと組み合わせた作品を制作したいと考え、参加を決めました。
さらに、前年のコンテスト総評で触れられていた 「半予測不能性(適度に予測できて適度に予測できない要素がうまい塩梅で混ざっていること)がおもしろさを生み出す」 という言葉に強く共感しました。AI はまさにこの半予測不能性を表現するための有効な手段なのではないかと感じたことも、AIを組み込んだ作品の制作動機のひとつです。
そのためこの年は、AI 開発ツールを積極的に取り入れ、AIを組み込んだ作品制作に挑戦し、引き続き最優秀賞を狙って参加しました。
制作物概要: MIRAI Express
実際に提出した作品紹介文:
MIRAI express (Melodic Interstellar Railway of AI) は、
楽曲とあなたの想いをもとに、宇宙に浮かぶレコード盤を走りながら、
「あなただけの目的地」へ向かう旋律星間鉄道です。曲の開始前に、ユーザーは心に響いた歌詞を選び、その内容をもとにAIが行先を決定します。
曲が始まると、レコード盤上の汽車を操作し、歌詞を集めながら途中駅や星座を巡る旅が始まります。
曲終了後は、終着駅でこれまでの旅路を路線図として振り返ることができます。
汽車の動きや歌詞の演出、AIによる行先や星座生成の仕組みにこだわりました。音楽と巡る特別な旅を、ぜひお楽しみください。
汽車に乗って曲に合わせて出現する歌詞を拾い集め、AIにより生成される星座を眺めながら目的地を目指す宇宙の旅をイメージしたリリックアプリを制作しました。
この年のマジカルミライのテーマは「星河一天」であり、「宇宙」や「夜空」を切り口に、楽曲の魅力をより引き出す表現を目指しました。加えて、楽曲に対してユーザーがアクションを起こすことで、AI を通じて最終的に何らかの結果が残る作品にしたいと考えていました。
そこで、宇宙から着想を得た「銀河鉄道」をベースとして、AIを通じて歌詞から列車名や星座を生成機能を組み込んだリリックアプリ MIRAI express を制作しました(MIRAI は Melodic Interstellar Railway of AI の略称)。
さらに、ChatGPT などを用いてアイデア出しの効率化を図れたことで、これまで以上に世界観の構築にも力を入れることができました。
👇👇以下のサイトから体験できます👇👇
作品デモ動画
Features
曲選択画面
- 曲の選択画面は列車の券売機をモチーフとし、曲を路線として選択します
歌詞選択画面
【世界観】
時刻表をモチーフとした字刻表に表示された歌詞の中から選択すると、AIが想いをくみ取り、ご乗車になる列車とあなたの琴線に触れる行先を決定します。
迷ったときは、駅員にお任せすることも可能です。
- 曲を選択すると、歌詞の一部を切り取って一覧化した表「字刻表」が表示されます。
そこから 3 つのフレーズを選択すると、AI がそれらをもとに列車の名称と目的地を生成し、切符が発行されます。- 画像の例では、「稲妻な出会いが根を張った」「深淵も天上もあくなき探求心を」「君を君を」という 3 フレーズから、「新世界行」「探求列車」という名称が生成され、切符に印字されています。
- 切符が発行されたら、「乗車」ボタンを押すことでゲームがスタートします。

ゲーム画面
【世界観】
列車は音楽の旋律に乗せて進み、レコード盤に虹色の軌跡を刻みながら、あなただけの目的地を目指します。
汽車の路線経路は、レコード盤上に歌詞として示されます。
レコード盤上の汽車を操作し、歌詞の導きに沿って進みましょう。
歌詞を多く集め、正しい経路で進むことで経路途中にある通過駅が増えていきます。
一つひとつの駅には、あなたの集めた歌詞と想いから描かれる星座が輝きます。
- 宇宙に浮かぶ巨大なレコード盤上を虹色の軌跡を刻みながら汽車が走行します
- レコード盤は楽曲ごとに異なる惑星として表現されます
- レコード盤上には歌詞が流れ、汽車がそれらを取得すると、歌詞がレコード盤に刻まれていきます
- 事前に「字刻表」で選択した歌詞は、特に輝いた演出で出現します
- 歌詞を一定数取得すると、その内容をもとに星座が生成されます
- 生成された星座は「通過駅」として扱われ、画面下部のシークバー上に駅として追加されます

リザルト画面
【世界観】
終着駅に到着すると、これまでの汽車の軌跡を振り返ることができます。
通過した駅、紡いだ想いから生まれた星座、刻まれた虹色のレコードの溝。
そのすべては、あなただけの旅の記録です。
- リザルト画面は終着駅をイメージして作成しました
- ゲーム画面における列車の軌跡、星座が画面右側に路線図として表示されます
- 画面左側には煙や蒸気、減速時の火花にこだわった汽車と初音ミクを配置しました

開発スケジュール
- この年は 4 月中に企画内容および使用技術を確定できたため、5 月から 7 月にかけての期間を実装に充てることができました
- 開発は、基本的に土曜日または日曜日のいずれかを「Happy Hacking Day」とし、朝から晩まで一緒に集中的に作業するサイクルで進めていました
開発体制
開発体制は前年と同様に、2名で行いました。
この年は、私は仕事に忙殺され、主に週末しか十分な時間を確保できなかった一方で、もう一人のメンバーは比較的時間に余裕があり、開発に多くの時間を割くことができました。結果として、チーム全体としては開発時間を比較的安定して確保できた年でした。
また、前年と同様に丸一日一緒に開発する「Happy Hacking Day」を毎週設けたことに加え、Cursor や GitHub Copilot によるバイブコーディングも積極的に行いました。その結果、開発効率を大きく高めることができ、前年度まで優先度が低く、十分に作り込めていなかったエフェクトや画像制作といった表現面にも注力する余裕が生まれました。
本作では 2D ゲーム的なアニメーション表現を多用する想定だったため、描画・アニメーションの自由度が高い Pixi.js をベースに開発を行いました。
開発エピソード
- マンダラートでアイデア出しを用いてみたが効果は薄かった
- 使用前にアイデアの軸が定まっていたからそもそもやらなくてよかったかも
- 初めて初音ミクの絵を描いた
- 初めてだったのでリテイクを沢山重ねた...
- 絵のレビューはVRChatのフレンドに手伝ってもらった
- 公式のイラストだけでなく、ピアプロのイラストを使っても良かったことは受賞作品発表会で知りました...
- アプリのちゃんとしたロゴも初めて制作した
- LLMをAPIとして利用可能可否は、コンテストが始まってすぐに運営に確認を取った
- タイムトラッキングも少しやってみた
- 最長稼働日が15h/day
- 開発総工数は150h/人 くらい?
アプリロゴ

リザルト画面の絵はVRChatでフレンドにフィードバックをもらいました(一部抜粋)


結果・感想
優秀賞!!
目標は最優秀賞でしたが、優秀賞までたどり着くことができ、とても嬉しい結果となりました。
審査員のコメントは以下の通りでした
- 演出が凝っている
- 全部の曲で毎回違った予測不能性が出てくる
- 裏側で生成AIを用いておりモダン
- 実装の完成度が高い
AIを用いた実装で毎回違った予測不能性が体験できる点を評価いただき、AIを軸とした作品制作を行ってよかったと思いました。総評でもAIを用いた実装として触れていただいて嬉しかったです。
また、実装の一部を AI に任せることで開発効率が向上し、その結果、初音ミクのイラストやアプリロゴの制作、演出面の作り込みにも手を広げることができました。こうした取り組みが、演出の凝りや作品全体の完成度につながったと感じています。
一方で、改めて振り返ると、本作は AI という技術そのものに主眼を置いた作品になっており、ユーザー体験の作り込みという点では、まだ伸ばせる余地があったと感じています。もしその部分をさらに磨き込めていれば、最優秀賞にも手が届いていたのかもしれません。
次の年も挑戦するかはまだ分かりませんが、もし再び参加するのであれば、ユーザー体験をより重視し、「未来の音楽表現」を感じさせる作品に挑戦してみたいと思います。

入選作品発表会
受賞作品発表会
Discussion