NuclearHazard のシールドケースを板金で作った話
去年末ぐらいに JLCCNC の板金サービスが安くてそこそこ高品質でよいぞーとちょっと話題になっていて、そういえば NuclearHazard の電波シールドケース的なものをどうにかしないとなーと思っていたのでちょうど題材によさそうだったので作ってみた。
NuclearHazard とは
FPV ドローンレースでラップタイムを計測するためのシステムとして RotorHazard というソフトウェアがあって、これは専用に設計されたハードウェアと組み合わせて使用されるもので、そのハードウェアっていうのはドローンから送信される映像の電波の強度を計測するための RX5808 というモジュール搭載したボードで、それはその設計に従ってパーツ集めて基板をおこして自分で作ってもいいんだけど、割とそこそこ大変なのであらかじめ作られたものを売ってるとこもあってその1つが NuclearHazard っていうやつであります。
で、これはいまどきの少量ハードウェア生産でよくある感じでケースが 3D プリントされて販売されています。ところがこれはちょっとそのままでは問題がありまして。
というのも、さっきも書いたようにドローンから送信されてくる映像の電波強度を利用して計測ゲートを通過したかどうかを判別するので、あらゆる方向からの電波を受信してしまうと決められたゲートをちゃんと通ったかどうかの判断が難しくなってしまうんですね。RotorHazard のドキュメントにも配置方法のガイドがあってそこには金属ケースにいれてコースの外向きにしろとか地面に埋めろとか書かれています。
海外ではいわゆる ammo can と呼ばれる金属製の容器に入れて使うことが多いようです。お菓子の缶とかを使うこともあったり?
全然それらでも機能はするのでそれでもいいんだけど板金で金属ケース自作できるんならそれのがかっこよさそう〜ということで設計を始めました。
板金用のデータをつくる
Fusion には板金専用のモードがあって、これは板を曲げるときの制約を考慮しながらモデリングをできるモードで、しかもこのモードでデザインすると発注するときに必要な展開図を自動で作ってくれちゃいます。
NuclearHazard の 3D プリント用のデータが公開されているのでそれを下敷きにしてモデリングする。

水色のが STL でグレーのが板金
伸ばして折って切り取って穴あければできるんだけど、JLCCNC で加工できる条件がいくつかあるので(特に曲げ半径とかエッジから穴までの距離とか)ドキュメントをよく読んで条件に合うようにモデリングする必要がある。

んで、展開図がこんな感じに出来上がる。

JLCCNC で発注
アルミ・ステンレス・スチール合金いけて、厚みも 0.5mm から 6.0mm まであるし、表面仕上げも色々できるしシルクスクリーンとかレーザーでロゴとかもマーキングできる。
注文は全然むずかしくなくってドキュメントに従って必要なファイル(さっきの展開図の DXF ファイルとかスクショとか)をまとめて ZIP でアップロードしたら OK。

わたしはデフォルトままで発注した


データレビューでここは溶接しなくていい?って聞かれたぐらいで他はスムーズに進んで年末年始をはさんだというのもあって 10 日ぐらいで到着。そして届いたのがコレ。

すんごい、これ、デザインしたまんまのが届いた!組み合わせの精度もバッチリ。(その後の組み立てでそもそものデザインにミスってるところがあってヤスリで削って無理やり合わせるなどしました w)
効果のほどは?
見た目の完成度の高さに満足しかかりましたが、そもそもメタルケースを作った理由は電波シールドの効果を高めるためだったのを思い出してテストしてみました。まーでもちゃんとした電波系の計測設備を持っているわけではないのでなるべく条件が変わらないようにケース形状を変えながら RSSI を記録して Cursor (Opus 4.5) に分析してもらうことにしました。
以下の 5 パターンで同じようにフライトして計測。
-
元の PLA ケース

一応内側には TitanRF テープが貼ってある -
板金ケース(窓開け)

窓のとこからだけ電波が入る(予定) -
板金ケース(窓をアルミで閉じる)

窓をアルミで閉じると電波が入らなくなる(たぶん) -
板金ケース(窓に導波管を付ける)

銅箔テープで雑に導波管を作ってみた -
板金ケース(窓を導波管 + ケース GND 接続)
基板の GND はケースに接続したほうがいいっていう話があってそれを試してみる。
結果
| 構成 | ノイズ | ノイズσ | ピーク | レンジ | SNR(dB) | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | PLA ケース | 92.4 | 6.3 | 126.0 | 33.5 | 1.34 |
| 2 | アルミ+窓 | 87.6 | 5.2 | 117.8 | 30.2 | 1.29 |
| 3 | アルミ密閉 | 81.8 | 7.0 | 114.2 | 32.4 | 1.45 |
| 4 | アルミ+導波管 | 89.0 | 9.1 | 123.8 | 34.7 | 1.43 |
| 5 | +GND | 81.8 | 6.2 | 110.6 | 28.8 | 1.31 |
| 指標 | 説明 | 計算方法 |
|---|---|---|
| ノイズ | 環境ノイズレベル | 下位 80% サンプルの平均 |
| ノイズσ | ノイズの安定性 | 下位 80% サンプルの標準偏差 |
| ピーク | VTX 通過時の強度 | 上位 5% サンプルの平均 |
| レンジ | 使用可能な信号幅(最重要) | ピーク − ノイズ |
| SNR(dB) | 信号対ノイズ比 | 10×log₁₀(ピーク/ノイズ) |
ということで、GND 接続が逆効果になっているっていうのが気にかかっていて ChatGPT もそれはおかしいと言うんだけど、Gemini と Claude は接続しないほうがいいこともあるとかいうので、とりあえず GND は外して導波管をちゃんと作ってみる予定。
以下は Cursor (Opus 4.5) による分析結果。

まとめ
- 板金、意外と簡単?(まあ箱だし…)
- JLCCNC すごい(安い・早い・精度高い)
- AI データ分析便利

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