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【Inkjet】01. GF180MCU × OpenLane が成立しない理由を実機検証で確定させた

に公開

結論(先に)

GF180MCU Open PDK は OpenLane(OpenPDK 前提フロー)に非対応であり、
自動合成 → P&R → GDS 生成は成立しない。

これは推測ではなく、実環境での検証結果である。

そして本検証の結果として、
本プロジェクトは 自動デジタルフローを放棄し、
高耐圧 MOS(HVMOS)を中心としたレイアウト主導設計へ移行した
。


背景

GF180MCU は、高電圧デバイスや mixed-signal 設計に適した
Open PDK として公開されている。

インクジェット・プリントヘッドドライバのような
HV + mixed-signal 回路との親和性も高く、

「OpenLane で GDS まで行けるのでは?」

という仮説を立て、実機環境で検証を行った。


検証環境(要点)

  • OS: Ubuntu(WSL)
  • Flow: OpenLane v0.23
  • PDK: GF180MCU Open PDK
  • 目的: 自動フローによる GDS 生成可否の確認

何が起きたか(事実)

OpenLane 実行時、prep 段階で必ず以下のエラーが発生した。

couldn't read file
.../libs.tech/openlane/config.tcl

技術的な原因

OpenLane は OpenPDK 形式を前提としており、
以下のディレクトリ構造を必須とする。

libs.tech/openlane/config.tcl

しかし、GF180MCU Open PDK にはこの構造が存在しない。

これは単なる設定不足ではなく、
PDK 設計思想そのものの違いによる。


技術的整理

項目 Sky130 GF180MCU
OpenLane公式対応 ✔ ✘
OpenPDK構造 ✔ ✘
自動GDS生成 ✔ ✘
HV / Mixed-signal適性 △ ✔

つまり、

GF180MCU が使えないのではなく、
OpenLane の前提と噛み合っていない

という結論になる。


なぜこれは「失敗」ではないか

本検証で確定した事実は以下。

  • GF180MCU は デジタル自動P&R向け PDK ではない
  • HV / mixed-signal 回路は レイアウト主導設計が前提
  • OpenLane は OpenPDK前提のデジタル特化フロー

これは設計判断として 極めて重要な境界線であり、
資料だけでは分からない点を 実機で確定させた。


検証の次に行ったこと(重要)

自動フローを諦めた後、本プロジェクトでは次の段階に進んだ。

  • OpenLane を完全に切り離し
  • KLayout を用いた手動/半自動レイアウト
  • 高耐圧 MOS(HVMOS)を最小単位とする
    GDS レベルの設計探索

その結果、
高耐圧 MOS スイッチ単位(HV_SW_UNIT)の GDS を実際に生成するに至った。


HVMOS レイアウト成果(実GDS)

以下は、本プロジェクトで生成した
GF180MCU ベース高耐圧 MOS スイッチユニット(HV_SW_UNIT)の GDSである。

  • DNWELL による高耐圧アイソレーション
  • 連続した P+ ガードリング
  • HVMOS を中心とした最小スイッチ構造
  • IC が外界(MEMS/アクチュエータ)に提示する
    物理インタフェースの実体

GF180 HV_SW_UNIT GDS (DNWELL + Guard Ring + HVMOS)

この時点で、

「OpenLane で GDS が出なかった」
ではなく
「適切な設計手法を選び直した結果、
実GDSに到達した」

という状態になっている。


実務的な示唆

GF180MCU を使う場合

  • Magic / KLayout を用いた 手動・半手動レイアウト
  • 回路とレイアウトを同時に考える設計
  • 高電圧・基板・ガードリングを含めた物理思考

OpenLane を使う場合

  • Sky130 などの OpenPDK対応プロセス
  • デジタル主体の自動P&Rフロー

「HV mixed-signal × 自動デジタルフロー」は基本的に交わらない


本プロジェクトとの関係

本検証およびその後のレイアウト成果は、
以下の技術探索プロジェクトの一部である。

gf180-inkjet-driver

  • 目的: インクジェット・プリントヘッド向け
    高電圧 mixed-signal ドライバ IC の物理設計探索
  • 方針: 自動化ではなく レイアウト主導設計

まとめ

GF180MCU × OpenLane は成立しない。
これは失敗ではなく、設計フロー選定における重要な検証結果である。

GF180MCU は
「自動化のためのPDK」ではなく、
“人がレイアウトする前提”の PDKである。

そして、その前提に立てば、
HVMOS を中心とした実GDSに到達できることも、
本検証で示された。


付記

同様の誤解で時間を消費する設計者が
一人でも減ることを願っている。

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