SES現場で“信頼される人”になるために身につけた7つの力
初めに
こんにちは、SESエンジニア歴3年目のサカイです。
SES現場で「どう立ち回れば評価されるのか?」と悩んだ経験はありませんか?
本記事では、現場で信頼を勝ち取るために私が身につけた7つのソフトスキルを紹介します。
これまでJavaやReactを使った案件を中心に、複数の現場で開発や保守運用に携わってきました。
SESという働き方をしていると、現場によって求められる技術や文化が全然違って戸惑うことも多いですが、その分「生きたスキル」がどんどん身についていくなと実感しています。
この記事では、そんな私がこれまでの現場経験を通じて「これは本当に役立った」「これがあったから乗り切れた」と思ったスキルを紹介します。
技術力がすべて!という現場は意外と少なく(もちろん重要なポイントではあります)、
現場で評価されるのは、実はちょっとした気配りや考え方だったりします。
これからSESとして働く方や、経験が浅くて不安なエンジニアの方の参考になれば嬉しいです。
ソフトスキル一覧
1. コミュニケーション力(報連相と空気読み)
技術より先に必要だったのが、報連相(報告・連絡・相談)をきちんと行う力でした。
特にSESの場合、最初は信頼ゼロからのスタート。どんなにコードが書けても、「今どんな状況か」が周囲に伝わらないと評価されません。
たとえば、
- タスクの進捗が遅れそうなときに早めに相談できるか
- チャットでの報告は簡潔かつ丁寧に伝えられているか
- 相手の忙しさや感情を考慮して、話しかけるタイミングを選べているか
- 関係者を適切選んでメンションをつけられているか
といった、技術以外の細かい気配りがとても大事でした。
SlackやTeamsでメンションを飛ばす前に、相手の状況を少し考えるだけで、信頼度が上がったり、逆に嫌われたりするんです。
このあたりはマナーや正解が明確ではない分、空気を読む力や観察力が活きてきます。
私自身、最初の頃は「黙々とタスクをこなせばOK」と思っていましたが、
むしろちゃんと見えるように動くことの方が、チームにとって安心材料になることを学びました。
SESは「他社のチームに入る」立場だからこそ、
最初に信頼を勝ち取るためのコミュニケーションが、本当に大事なスキルでした。
ちゃんと報連相ができる人だと認識してもらえるだけで、上長のリソースを少なくできますし、他の人とのタスクのコンフリクトもなくて済みます。
2. スピーディーな環境・情報キャッチアップ
SESとして新しい現場に入ると、最初に直面するのが「開発環境・運用ルールなどの情報キャッチアップ」です。
ツール、フレームワーク、コードの書き方、Gitの運用ルール、コミュニケーションの流儀……全部が初めてで参画初期は本当に泣きそうになりました。
ここで大事になるのが、「全部理解しきってから動こうとしないこと」。
むしろ、最低限の理解で手を動かしながら、足りないところを都度調べていく柔軟さが問われました。
私の経験では、以下のような工夫が役立ちました:
-
「READMEやドキュメントは鵜呑みにしすぎず、実際に試して検証」
→ 情報が古い、書かれていない落とし穴も多いので、自分の手で動かすのが一番早い。 -
ツール(例:SourceTree、BackLog、Notionなど)は使い方をざっくり調べて触って覚える
→ 最初は完璧を目指さず、「最低限使える状態」に早く持っていく。 -
コードはまず“変更履歴”と“担当者”を追う
→ 複雑なコードの読み解きに役立つし、「誰がどんな意図で書いたか」が見えてくる。 -
ロールモデルを見つけて、その人のやり方を踏襲する
→ どの現場にも効率的な人がいるので、その人の方法を倣う。 -
ドキュメントを作る
→ 自分が苦労した部分について、手順書やTipsを作成して社内Wikiに格納することで、自分のあとに入ってきた方の立ち上げもスムーズになる。また、言語化することでより深い理解に繋がる。
とにかく「全体を完全に理解しようとする完璧主義」よりも、動きながら覚えるスタイルが現場では評価されました。
特にSESだと「立ち上がりの早さ」がそのまま信頼度に直結するので、キャッチアップのスピード感と工夫は大きな武器になります。
3. 「ググり力」と検証力
「調べれば何でも出てくる」とよく言われますが、実務では「ググってそれっぽい記事を読む」だけでは通用しない場面が多々あります。
現場では、
- その情報が「自分の環境で本当に使えるか?」
- バージョンや構成に合っているか?
- 実行した結果、別の不具合を生まないか?
…というように、ちゃんと自分の手で検証する力が必要になります。
私が意識していたのは、以下のようなポイントです:
-
記事を読むときは「投稿日」「公式かどうか」「前提環境」をまず確認
→ 古い情報や違う言語バージョンに騙されないため。 -
動作検証のために小さいサンプルコードで再現テストを行う
→ いきなり本番コードに突っ込まず、まずは安全な環境で試す。 -
うまくいかなかったときは、エラー文+試したことをキャプチャ・メモしておく
→ 後から相談するときに、非常に伝えやすくなる。 -
チャット履歴を漁る
→ 大抵の場合、誰かが直面したことがある問題なので、SlackやTeamsの履歴を漁ると、同じエラーや問題に直面している履歴がある。
こういった積み重ねがあると、「この人、ちゃんと考えて動いてるな」と周囲からも信頼されやすくなりました。
調べる力はもちろん大事ですが、
「それを現場の状況に落とし込んで、自分で確かめて、必要なら相談する」
この一連の流れを自分で回せるようになると、成長と自走力を感じられます。
4. 業務の優先順位判断
複数のタスクが並行して進む現場では、全部並行してやろうとしないことが重要でした。
とくにSESは周囲との関係性や状況が読みにくい中で、「何から手をつけるべきか?」の判断が問われます。
私が現場で意識していたのは、次のような考え方です:
-
納期ベースで逆算して考える
→「このタスクはあと何日かかりそう?どこまで今日終わってればいい?」を常に意識。 -
タスクの“詰まりポイント”を見極める
→ 自分が手を止めてることで他の人が待っているタスクは優先する。 -
相談やレビューが必要なタスクは早めに取りかかる
→ 自分だけでは完結しないものは、なるべく午前中や早い時間に投げておく。返事が来ない場合は、流れている可能性があるので、時機を見て再度連絡! -
「気になるけど今じゃない」ものはメモに残して一旦寝かせる
→ 細かいリファクタや改善点に時間を吸われないようにする工夫。忘れっぽいのでリマインダーやカレンダーに入れて放置しないようにする。
最初の頃は「どれも大事に思えて、全部中途半端」になりがちだったのですが、
“一旦そのタスクを完了すること”を意識して動くようにしてから、仕事の精度も速度も上がりました。
また、タスクを選ぶ基準をチームで共有しておくと、レビュー依頼や報連相もスムーズになりました。
私は1日の初めにまずTODOリストをチェックボックス形式で作成しておき、「次に何をやろうかな」と考える時間を削減していました。
小さなことですが、タスクの進め方にちょっとした「意志」を持つだけで、周囲からの信頼や自分の成果の見え方が大きく変わります。
5. ドキュメントの読み書き力
現場で思った以上に大事だったのが、**ドキュメントを「読む力」と「書く力」でした。
現場参画初期は、キャッチアップに必要そうなドキュメントは一旦すべて読みました。
3. 「ググり力」と検証力でも記載したように過去のチャットや、自分がアクセスできるフォルダの中は一度は確認しておくとよいかと思います。
ドキュメントの場所がどこにあるかを把握できることも「読む力」に直結します。
また、「書く力」では、読み手や未来のことを想定できるかがカギになると思っています。
たとえば:
- 作業手順や設定内容をNotionなどの社内Wikiに残す(新規立ち上げ時のメンターのリソース削減)
- APIの仕様変更についてSlackで共有する(社内周知、責任の分散)
- 誰かに引き継ぐときのメモを丁寧に書く(多能工化に寄与)
こういったことを丁寧にやるだけで、「この人ちゃんとしてるな」と一目置かれることがありました。
特に意識していたのは、以下の3点です:
-
「知らない人が読んでもわかるか?」を意識して書く
→ 自分用のメモでも、なるべく第三者に伝わるように。 -
「読む人の時間を奪わない」簡潔な文章
→ 要点だけ先に書き、詳細は後に回すスタイル。 -
公式ドキュメントに慣れる
→ 難しいけど、正確な情報はやっぱり公式。最初は辛くても慣れてくると強い武器に。
ドキュメントって、書いても感謝されにくいし、「すごい!」って言われないけど、
静かにチームの生産性を底上げしてくれる存在だなと実感しています。
地味だけど、確実に信頼されるし、「あの人に聞けば大体書いてる」が一つの武器になります。
6. 地味な作業を丁寧にこなす力
SESとして現場に入ると、華やかな実装よりも**「誰かがやらなきゃいけない地味な作業」**を任されることが少なくありません。
- テストケースの作成や実施
- ログの確認とエビデンスの収集
- 仕様書の更新、設定ファイルの変更など
- 定型的な作業
こういったタスクって、正直モチベーションが上がりづらいですし、あまり目立つ仕事でもないですよね。
でも、実はここで**「丁寧に」「正確に」「早く」**こなせるかどうかが、信頼構築にめちゃくちゃ効いてきます。
私が意識していたのは:
-
誰かに渡しても困らない成果物をつくる
→ テスト結果やログの整理は「見やすさ」も意識。また監査などが入っても問題のないように「いつ」「誰が作成し」「誰が確認したか」のわかる資料や成果物になるよう心がけていました。 -
ミスを減らすためのチェックリストをつくる
→ コピペ作業でも、手順を明確にして再現性を上げる。不安な場合は誰かに確認を! -
ただの作業でも「どうすればもっと効率化できるか」を考える
→ スクリプト化やショートカット活用など、小さな改善を重ねる。私はVBAやGASなどを使用して工数削減したり、非エンジニアでもできるような作業にして社内の小さなストレスを減らすことを意識していました。
こうした積み重ねで、「あの人に任せれば安心」と思ってもらえるようになり、部署をまたいで仕事を依頼していただけるようになりました。
地味な仕事ほど、誠実さと継続力が伝わる部分。
特別なスキルじゃなくても、「雑にやらない」だけで信頼に変わるんだと実感しました。
7. “空気感”を察して柔軟に動く力
技術スキルだけじゃなく、SESで意外と問われるのがこの「空気を読む力」でした。
いわゆる“忖度”とは違って、今この場に必要な動きが何かを感じ取る力です。
たとえば:
- 周囲が明らかに忙しそうなとき、自分のタスクが終わっていても黙って待たず、軽く声をかけて手伝いに入る
- チームで進めている時、あえて「自分が一歩引いた方が円滑にいく」と判断してサポートに回る
- 上長に飛んできた誰でも対応可能なタスクを一言添えて巻き取る
- 無駄に忙しそうにしない
こういうちょっとした配慮や察しって、技術と同じくらい大事なんだなと感じました。
もちろん、最初から空気を読むのは難しいです。
でも、以下のような姿勢を持っていると、自然と周囲との関係も良くなりました:
- 「自分が主役じゃなくていい」と思える柔軟性
- 相手の立場を想像するクセをつける
- 聞くタイミング・伝え方・表現のトーンを気にする意識
特にSESのように「チーム外から来た人間」は、ちょっとした空気のズレで距離を取られることもあります。
だからこそ、人と人との間にある“ノイズ”を減らす工夫が、技術力と同じくらい価値を持つと感じました。
まとめ:信頼されるSESエンジニアに共通すること
華やかな技術よりも、日々の丁寧な対応・気配り・自走力こそが現場で評価され、長く活躍するエンジニアの土台になると実感しました。
特別なスキルがなくても、今日から意識できることがたくさんあるので、
「まずはひとつだけでもやってみる」から始めてみてください。
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