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Unity×C# ゲーム開発に面白いほど役立つ物理学

2025/01/10に公開

ゲーム開発に面白いほど役立つ物理学

ゲームを作るときに欠かせない要素のひとつが“物理学”です。キャラクターの動き、オブジェクトの跳ね返り、重力で落下する弾丸…。これらを見ていると、まるで本物の世界が再現されているように感じませんか?物理学を理解することで、見た目にリアルな挙動を作り出すだけでなく、プレイヤーの没入感をグッと高める作品づくりが可能になります。

しかし「物理学って難しそう…」と思うかもしれません。実はゲーム開発で必要になる物理の知識は、高校レベルの内容をしっかり押さえておけば十分応用できます。今回は、そのエッセンスをギュッとまとめて解説していきます。

この記事を読むと、ゲーム物理に役立つ基本法則や摩擦・衝突計算などがイメージしやすくなり、Unityやその他のゲームエンジンで物理挙動を設定するときに「なるほど、こうすればいいのか!」と納得できるはずです。

ゲーム開発における“リアルな動き”への悩み

  • プレイヤーキャラがジャンプするとき、上にふわっと浮いたままになっていないか
  • 弾丸が壁に衝突した後、変な方向に飛んでいってしまっている
  • 車やバイクの挙動が実車と違いすぎて、リアルさに欠ける

こうした悩みを解決するキーワードが「物理学」です。ゲームエンジンの物理エンジンを使うと、ある程度は自動で計算してくれますが、どのパラメータをどう設定したら狙いどおりの挙動になるのかは、実は物理の考え方が大きく影響します。

Newton力学がわかれば、大半の動きが説明できる

ゲーム物理の土台となるのが「Newton力学」です。ニュートンの運動法則を中心に、ゲームのリアルな世界を作り上げるときに欠かせないエッセンスが詰まっています。

1. 運動の三法則をおさらい

  1. 慣性の法則
    何も力が加わらない限り、物体は動き続けるか静止し続ける。
  2. 運動方程式
    力(F)= 質量(m) × 加速度(a)
  3. 作用・反作用の法則
    物体Aが物体Bに力を及ぼすとき、物体Bも物体Aに対して等しい大きさで逆向きの力を及ぼす。

ゲームエンジンの「Rigidbody」を使うときには、これらの法則が背後で動いています。質量や力の設定が適切でないと、キャラが急に吹っ飛んだり、なかなか動かなかったりします。

2. 重力や衝突計算で重要となる基本量

要素 内容
質量 物体の重さを表す kgなど
速度 一定の方向へ進む速さ m/s
加速度 速度変化の度合い m/s^2
物体を加速させる原因 N(ニュートン)
  • 質量が大きいほど、同じ力で加速させるためには余計なエネルギーが必要
  • 速度を変化させるには、一定時間力を与え続ける
  • 重力は「地球などの天体が物体を引っ張る力」と考え、地球上では 9.8 m/s^2 前後の加速度が働く

特に「力=質量 × 加速度」を意識するだけで、オブジェクトを投げたときや車を動かしたときの挙動がグッとリアルになります。

衝突とエネルギー: リアルな打撃感を演出

ゲームでは、衝突や爆発シーンを迫力あるものにしたいですよね。そこで必要になるのがエネルギーの考え方です。

エネルギーを式で見る

運動エネルギーは以下の式で表せます:

E_k = \frac{1}{2} m v^2
  • ( m ): 物体の質量
  • ( v ): 物体の速度

たとえば、質量が大きい弾丸や速度の速い弾丸ほど運動エネルギーが大きく、ヒットしたときにオブジェクトを大きく動かします。実際のゲームで衝突やダメージ演出を計算するときも、このエネルギー量をヒントに「爆発の大きさ」「ノックバックの距離」などを調整している例は少なくありません。

反発係数と摩擦係数

  • 反発係数: 衝突時にどの程度バウンドするかを決める値。1に近いほど弾む。
  • 摩擦係数: 物体同士がすれ違うときの抵抗の度合い。値が大きいほど滑りにくく止まりやすい。

Unityでは「Physics Material」を設定して、弾力や摩擦係数を変えられます。氷の上を滑らせたいなら摩擦を極端に小さく、トランポリンのように弾ませたいなら反発係数を大きめにするといった具合です。

摩擦力で場面をリアルに演出

ゲームで“氷の上”をツルツル滑るように見せたいとか、“泥道”で動きが重くなるように演出したいとき、摩擦の考え方を使いこなすと効果的です。

摩擦力を数式で捉える

摩擦力(Ff)は通常、接触面の垂直抗力(N)と摩擦係数(μ)を用いて表します:

F_\mathrm{f} = \mu \times N
  • ( \mu ) (ミュー): 摩擦係数
  • ( N ): 接触面が物体を垂直に押す力(重力など)

ゲームでは物体が動きづらくなる表現を出したいとき、摩擦力を大きくすれば動きにくくなり、見た目にリアルな減速が再現できます。

Physicsエンジンがどう動いているのか?簡単な図解

  • キャラクターや弾丸が衝突 → 衝突判定
  • 反発係数や摩擦力が絡む → 物体にかかる力を計算
  • RigidbodyやTransformに反映 → 見た目にリアルな動きが発生

この流れをざっくり把握しておくだけで、エラーやバグが起きたときに「衝突判定がうまく働いているのか」「反発係数が高すぎるのか」といった原因を素早く探しやすくなります。

ゲーム開発で気をつけたい“物理演算の落とし穴”

物理学の知識を使ってリアルに近づけすぎると、ゲームが重くなったり操作が難しすぎたりする場合もあります。そこで必要なのは「リアルさ」と「ゲームとしての楽しさ」をバランスよく両立させる工夫です。

  • 数値を大きくしすぎない
    衝突計算に負荷がかかるとフレームレートが落ちることも。巨大オブジェクトが大量に衝突する場合などは、シンプル化を検討しましょう。
  • プレイヤーが扱いやすい調整
    たとえばレーシングゲームでも、実車の挙動そのままだと操作しにくいケースもあります。ある程度フィクションを交えた方がゲームとしては楽しめることが多いです。
バランス取りのヒント
  • 衝突演算の頻度を下げる:物体どうしの当たり判定をフレームごとに行わず、タイミングを設定
  • 摩擦や反発係数をデフォルトより低めに設定:激しすぎる跳ね返りや減速を抑える
  • 空気抵抗のシミュレーションを省略:重い物体を無理に空気抵抗計算しない

物理学×ゲーム開発の未来

よりリアルなVR体験や複雑なシミュレーションゲームを作ろうとすると、量子力学や流体力学など高度な物理学の知識も求められる場面が出てくるかもしれません。ただ、多くのゲームは「ニュートン力学+摩擦やバネ定数の設定」で十分リアルな演出が可能です。

  • 流体力学: 水中での挙動や煙の動き
  • 熱力学: 温度変化やエネルギー伝搬
  • 特殊相対性理論: 高速移動時の時空の歪み[1]

ゲーム開発の物理に決まりきった正解はなく、状況に応じたカスタマイズがカギです。リアルさの度合いや計算量は作品のテーマによって異なるため、あなたの描きたい世界観に合わせて物理パラメータを調整してみましょう。

まとめ: 物理学でゲームをもっと面白く

  • Newton力学: 基本の三法則を理解しておけば、大半のキャラ挙動や衝突システムが把握しやすい
  • 衝突とエネルギー: 反発係数や摩擦係数を設定して、リアルさ&面白い演出を両立
  • ゲームならではのバランス調整: リアルすぎるがゆえに操作性を失わないよう、フィクションをうまく混ぜよう

物理学は「難しい」イメージがありますが、高校物理レベルの力学を押さえるだけで、かなりの応用が利きます。物理を学ぶ=ゲームの表現力が広がると考えると、学習意欲も自然と湧いてくるはず。ぜひ次回の開発で、Newton力学やエネルギーの知識を活かしてみてください!

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脚注
  1. SF系ゲームでは必要かも ↩︎

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