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Unityエディタ拡張で実現する開発効率の爆上げテクニック

2025/01/27に公開

エディタ拡張で実現する開発効率の爆上げテクニック

開発の現場では、日々のルーチン作業や煩雑なオペレーションをいかに効率化するかが大きな課題になります。そこで効果的なのが、エディタ拡張による“開発効率の爆上げ”です。コードエディタやUnityなどの開発ツールを自分好みに拡張することで、手間のかかる手順を自動化したり、わかりやすいUIで操作できるようにしたりできるため、プロジェクト全体の生産性を向上させることが期待できます。

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エディタ拡張とは何か

エディタ拡張とは、既存の開発ツールに新たな機能やUIを追加し、操作性や作業効率を高めるための仕組みを指します。例えば、コードエディタであれば補完機能やデバッグ表示を強化し、ゲームエンジン(Unityなど)であれば、プロジェクトに合わせた専用ウィンドウやショートカットを設計するなど、多岐にわたる改良が可能です。

  • メリット
    • 作業効率・スピードの向上
    • 操作ミスの削減
    • チーム全体で統一した開発フローが作りやすい
  • デメリット
    • 拡張機能の不具合によるパフォーマンス低下のリスク
    • 互換性問題やバージョンアップの対応が必要になる

開発をスムーズに進めるためには、拡張の導入メリットとデメリットを把握して運用することが大切です。エディタ拡張の導入や活用戦略、リスク管理に関しては、次のリンクにも有益な情報があります。
https://tech-colony.com/archives/4267

Unityエディタ拡張で開発効率を高める

Unityのエディタ拡張は、日々の手間を大幅に削減できる強力な手段です。C#のスクリプトを書いて、独自のエディタウィンドウやインスペクタを作成したり、シーンに必要な処理を自動化させたりすることができます。実際の適用事例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • クライアント・サーバ間通信APIの自動実装
    フォームにAPIのエンドポイントを入力すると、必要なコードを自動生成する。
  • アセットのクオリティチェック
    特定のディレクトリ配下のアセットを一括で検証し、不備があれば一覧表示する。
  • パラメータ設定用ウィンドウ
    NPCやゲームアイテムのステータスをまとめて調整し、シーンに反映させる。

こうした事例は下記のリンクにも豊富に紹介されていますので、より実践的なアイデアが欲しい方は参考にしてみてください。
https://learning.unity3d.jp/8858/

エディタ拡張でゲーム開発における繰り返し作業を効率化する具体的な例が、こちらの動画でも紹介されています。
https://www.youtube.com/watch?v=P4AIgRtFM4A

知っておきたいUnityエディタ拡張のTips

エディタ拡張を使いこなすためには、Unity独自のTipsを押さえておくとさらに便利です。

1.カンタンにエディタ拡張:属性9選

Unityのインスペクターで変数やメソッドの表示・操作方法を制御できる「属性(アトリビュート)」の使い方をまとめました。以下のサンプルコードを参考にしつつ、それぞれの属性がどのような場面で有効か確認してみましょう。

1. [SerializeField]

  • 概要: private変数をインスペクター上に表示させるための属性。
  • 特徴:
    • 外部スクリプトから直接アクセスされたくない場合でも、インスペクターでの編集は可能。
    • 変数の「カプセル化」を維持しつつ、値を視覚的に調整できる。
[SerializeField]
private int privateValue = 10;  // インスペクターに表示されるが、外部からは直接アクセス不可

2. [Range(min, max)]

  • 概要: スライダーによる数値入力を可能にする属性。
  • 特徴:
    • インスペクター上でスライダーが表示され、簡単に数値を操作。
    • 最小値・最大値を指定するため、想定外の値が設定されにくい。
[SerializeField, Range(0, 100)]
private float rangeValue = 50f;  // 0~100の範囲をスライダーで指定できる

3. [Header("セクション名")]

  • 概要: インスペクター上で区切り見出しを付ける属性。
  • 特徴:
    • 複数の変数を見やすくグループ化。
    • タイトルで内容を明示することで、チームでのスクリプト共有時にも便利。
[Header("キャラクター設定")]
[SerializeField]
private string characterName = "Hero";  // インスペクター上に「キャラクター設定」という見出しを表示

4. [Tooltip("説明文")]

  • 概要: マウスオーバー時に変数の説明を表示する属性。
  • 特徴:
    • 変数が何の役割を持つかを簡潔に示し、操作ミスを防ぎやすい。
    • ゲームデザイナーや他のプログラマーが見ても直感的に理解できる。
[Tooltip("キャラクターの最大HP")]
[SerializeField]
private int maxHp = 100;  // インスペクターでカーソルを合わせると「キャラクターの最大HP」と表示

5. [Space(n)]

  • 概要: 変数同士の間隔をピクセル単位で空ける属性。
  • 特徴:
    • インスペクターの表示が煩雑になりがちな場合、ビジュアル面で整理しやすい。
    • ほかの属性と組み合わせると、情報をより区分けしやすくなる。
[Space(10)]
[SerializeField]
private int attackPower = 20;  // 前の要素との間に10ピクセルのスペースを空ける

6. [HideInInspector]

  • 概要: public変数をインスペクターから非表示にする属性。
  • 特徴:
    • コード上では公開されているため、他のクラスからアクセス可能。
    • インスペクター上で誤って編集されるのを防ぎたい時に役立つ。
[HideInInspector]
public float hiddenValue = 3.14f;  // public だがインスペクターには表示されない

7. [Multiline(n)]

  • 概要: n行分のテキスト入力フィールドを生成する属性。
  • 特徴:
    • 文章やメモを複数行にわたって入力したい場合に便利。
    • シンプルなテキスト編集には十分なインターフェースを提供。
[SerializeField, Multiline(3)]
private string description = "このキャラクターの設定テキスト";  
// 3行分の入力フィールドがインスペクターに表示される

8. [TextArea(minLines, maxLines)]

  • 概要: Multilineと似ているが、最小~最大行数を指定できる属性。
  • 特徴:
    • 入力量が変動する場合に便利で、短いメモから長文まで柔軟に対応。
    • 入力内容によってフィールドの高さが自動的に変化する。
[SerializeField, TextArea(2, 5)]
private string notes = "備考を自由に記入できます。";  
// 2~5行の範囲で自動的にテキストフィールドのサイズが変わる

9. [ContextMenu("メソッド名")]

  • 概要: インスペクターのコンテキストメニューから任意のメソッドを呼び出せる属性。
  • 特徴:
    • デバッグ用の処理やエディタ専用のスクリプトを手軽に実行可能。
    • 複雑な検証・初期化処理などを、ワンクリックで呼び出せる。
[ContextMenu("PrintLog")]
private void PrintLog()
{
    Debug.Log("ContextMenuから呼び出しました。");
}

2. ゲーム再生時の初期化処理を省略する

ゲーム実行時にどうしても初期シーンやロード処理が多いと、起動まで時間がかかります。そこで、あらかじめエディタ用のスクリプトで必要最低限のシーンのみをロードするように設定すれば、テスト起動を高速化できます。

サンプル: 自動で特定のシーンをオープンする
OpenSceneOnPlay.cs
using UnityEditor;
using UnityEditor.SceneManagement;
using UnityEngine.SceneManagement;

[InitializeOnLoad]
public static class OpenSceneOnPlay
{
   static OpenSceneOnPlay()
   {
       // エディタがPlayモードに入る前に呼び出されるコールバックを登録
       EditorApplication.playModeStateChanged += OnPlayModeChanged;
   }

   private static void OnPlayModeChanged(PlayModeStateChange state)
   {
       // PlayModeへ入る瞬間に特定シーンをロード
       if (state == PlayModeStateChange.ExitingEditMode)
       {
           // "TestScene"というシーンだけをロード
           EditorSceneManager.OpenScene("Assets/Scenes/TestScene.unity", OpenSceneMode.Single);
       }
   }
}

エディタが再生モードに入る直前に、特定のシーンを自動で開くサンプルです。これにより、不要なシーンロードをスキップし、初期化処理の手間と時間を削減できます。

3. カスタムウィンドウで即時プレビュー

モデルやアニメーションなどを毎回シーンに配置して確認するのは面倒ですよね。カスタムウィンドウを作成すれば、エディタ上で即座にプレビューしながら修正することが可能です。たとえば、以下のようなシンプルなエディタウィンドウを用意できます。

サンプル: モデルプレビュー用ウィンドウ
ModelPreviewWindow.cs
using UnityEditor;
using UnityEngine;

public class ModelPreviewWindow : EditorWindow
{
   private GameObject model;
   private Editor modelEditor;

   [MenuItem("Window/Model Preview")]
   static void Open()
   {
       GetWindow<ModelPreviewWindow>("Model Preview");
   }

   void OnGUI()
   {
       // モデルをInspectorで選択
       model = (GameObject)EditorGUILayout.ObjectField("Target Model", model, typeof(GameObject), false);

       if (model != null)
       {
           if (modelEditor == null || modelEditor.target != model)
           {
               modelEditor = Editor.CreateEditor(model);
           }
           modelEditor.OnPreviewGUI(GUILayoutUtility.GetRect(400, 400), EditorStyles.helpBox);
       }
   }
}

ここではEditor.CreateEditorを使い、エディタ上でモデルのプレビューを実装しています。指定したGameObjectのプレビューを容易にチェックでき、作りこみの段階での修正が迅速に行えます。

4.実行中のプロパティ変更を保存する

ゲームを再生している最中にパラメータを調整しても、普通は再生を止めると元の状態に戻ってしまいます。しかし、以下のようにカスタムエディタで実装すれば、再生中に変更した値をそのまま記録し、停止後も反映させられます。

サンプル: 実行中のプロパティを自動保存
RuntimeChangesSaver.cs
using UnityEditor;
using UnityEngine;

[CustomEditor(typeof(Transform), true)]
public class RuntimeChangesSaver : Editor
{
   private bool autoSave;

   public override void OnInspectorGUI()
   {
       base.OnInspectorGUI();

       autoSave = EditorGUILayout.Toggle("Auto Save Runtime Changes", autoSave);

       // 再生モードから戻る際の処理
       if (autoSave && !EditorApplication.isPlaying && EditorApplication.isPlayingOrWillChangePlaymode)
       {
           // 変更されている値を確認し、必要に応じて保存処理を行う
           // (ここでは仮にログのみだが、実際はEditorUtility.SetDirtyなどで保存できる)
           Debug.Log("AutoSave: パラメータが再生中に変更されました。");
       }
   }
}

このサンプルでは、CustomEditorを使ってTransformコンポーネントに対して簡単な“自動保存”スイッチを付けています。本番で活用するには、EditorUtility.SetDirtyやシリアライズ処理を組み合わせ、再生停止後に値を正式に保存するロジックを実装すると良いでしょう。

これらのTipsとサンプルを組み合わせることで、Unityでのゲーム開発フローを大幅にスピードアップできます。再生時間の短縮はもちろん、プレビュー作業の効率化やパラメータの自動保存など、細かな部分を詰めるほどプロジェクト全体の開発体験が向上していきます。エディタ拡張の可能性を活かして、より快適で生産性の高いUnityライフを送りましょう。

このようなテクニックは、日々の開発で実行→修正→再ビルドの繰り返しを効率化するカギとなります。具体的な方法は以下の記事にも詳しく載っているのでチェックしてみてください。
https://qiita.com/Yamara/items/ea07874d2c410877db61

まとめ

Unityの属性を活用すれば、インスペクターの利便性を格段に向上させることができます。それぞれの属性には固有の用途があり、使いこなすことで作業効率やチーム開発の生産性がアップします。ぜひプロジェクトに合わせて選択し、快適なUnityライフを送りましょう。

さらに拡張に役立つ情報を得るには

エディタ拡張を一歩進めたい場合、シーン中のGizmosを活用して可視化デバッグを行う方法もあります。移動ルートやコライダーの範囲を視覚的に確認し、エディタ上で直接編集するテクニックは次のURLで紹介されています。
https://ryo620.org/post/unity-editor-extending-03

また、物理挙動やコライダー設定を可視化する際には以下の公式マニュアルも有用です。
https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/PhysicsDebugVisualization.html

こうしたGizmosやデバッグ機能との連携で、さらに無駄の少ない開発が実現できます。

拡張機能導入時の注意点

  • パフォーマンスの検証
    拡張機能の導入による処理負荷を事前にテストしましょう。重たい拡張が多すぎると、エディタ全体が遅くなる可能性があります。
  • 互換性チェック
    使う拡張同士が競合すると動作不良を引き起こす場合があります。アセットストア製の拡張も含めて、バージョンを揃えるなどの管理が必要です。
  • チームでの共有
    チーム開発であれば、拡張設定をリポジトリ内で共有する仕組みを整えましょう。個人ごとに設定が異なると、動作環境に差が出てしまいます。

これらの注意点や導入手順は、以下の資料でも触れられています。
https://tech-colony.com/archives/4267

まとめ:拡張で“手戻り”から解放されよう

エディタ拡張は、単なる便利機能の追加ではなく、プロジェクト全体のクオリティとスピードを左右する重要な要素です。時間のかかる繰り返し作業や人的ミスを減らし、開発者が本質的なロジック構築やデザインに集中できる環境を作ることができます。

  • スクリプトの自動生成や検証で、作業時間を短縮
  • カスタムウィンドウやツールで、見落としを防止し、プロジェクトの品質を維持
  • デバッグ可視化で、問題を素早く発見し解決

もしエディタ拡張をまだ試したことがないなら、ぜひこの機会に挑戦してみてください。開発効率を「爆上げ」する鍵は、あなたが使っているエディタやゲームエンジンの“裏側”にきっと隠されています。

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