バイブコーディングは死んだのか
バイブコーディングは本当に「死んだ」のか?
「バイブコーディングでは、もう良いものは作れない」
最近、そんな声を目にする機会が増えました。
AIに指示を投げるだけでアプリができる──一時期は魔法のように語られていたバイブコーディングですが、実務で使ってみた結果、
- 思ったより精度が低い
- 作り直しが多い
- 結局、人間が全部読み直す必要がある
といった理由から、「やっぱり使えないよね」という評価に落ち着きつつある印象があります。
ただ、その評価は本当に今のAIを前提にしたものでしょうか。
AIは、すでに“別物”になっている
ここ1〜2年で、AIモデルは急速に進化しています。
にもかかわらず、過去のモデルを触ったときの印象のまま、バイブコーディング全体を語っている人も多いように感じます。
現在は、
- GPT-5.2 の最新モデル
- Claude Code の Opus4.5
など、「コードを書くこと」を前提に設計されたAIが次々と登場しています。
それでもなお、
バイブコーディングは実用に向かない
と言い切ってしまってよいのか。
この点は、一度ちゃんと検証する価値があるはずです。
今回検証する「バイブコーディング系サービス」
では、実際にどのサービスを使って検証するのか。
バイブコーディングの文脈でよく名前が挙がる代表的なサービスとして、今回は次の2つに絞ります。
- Replit
- Bolt.new
いずれも「環境構築なし」「AIとの対話ベースで開発できる」ことを売りにしており、
バイブコーディングを語る上では避けて通れない存在です。
ただし、今回の検証はあくまで無料枠内での検証とします。
検証方法:条件はすべて揃える
検証で重要なのは、「感想」ではなく「条件を揃えた比較」です。
今回は次のような方法で調査します。
作らせるもの
-
作業管理システム(Task Management System)
- 業務ツールとして最低限成立するレベルを想定
- 単なるTodoアプリではなく、実務利用を意識
検証方法
- 事前に用意した同一のプロンプトを
3つのサービスすべてに投入 - 出力結果を以下の観点で比較
評価観点
- 正しく動作するか
- 仕様の抜け・誤りはないか
- UI・デザインは実用レベルか
- 操作性は直感的か
- トークン消費量は現実的か
「なんとなく動いた」「それっぽい画面が出た」では評価しません。
実際に業務で使えるかどうかを基準に見ていきます。
プロンプトの内容
社内で使う「作業依頼管理ツール」を作成してください。
# 作業依頼管理ツール 仕様書
## 1. 概要
### 1.1 目的
本ツールは、社内外の作業依頼を一元管理し、
**依頼 → 進捗 → 確認 → 完了**までのプロセスを可視化・効率化することを目的とする。
### 1.2 想定利用者
* **依頼者**:一般社員、クライアント
* **作業担当者**:実作業を行う担当者
* **管理者**:マネージャー、管理部門
### 1.3 対象範囲
* Webブラウザ上で利用する作業依頼管理ツール
* 対応デバイス
* PC:フル対応
* タブレット:フル対応
* スマートフォン:簡易対応(閲覧・コメント中心)
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## 2. システム構成
### 2.1 全体構成
* **フロントエンド**:Webアプリケーション
* **バックエンド**:API サーバー
### 2.2 動作環境
* 対応ブラウザ
* Google Chrome 最新版
* Microsoft Edge 最新版
* Safari 最新版
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## 3. 機能要件
### 3.1 ユーザー管理機能
* ユーザー登録
* ユーザー情報編集
* ユーザー削除
* 権限管理
#### 権限種別
* 管理者
* 担当者
* 依頼者
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### 3.2 作業依頼管理機能
#### 3.2.1 作業依頼登録
以下の情報を登録できること。
* 依頼タイトル
* 依頼内容(詳細説明)
* 依頼者
* 担当者(複数指定可)
* 優先度(高・中・低)
* 期限
* 添付ファイル
#### 3.2.2 作業依頼編集・削除
* 作業依頼内容の編集
* ステータス変更
* 作業依頼の削除
* **管理者のみ可能**
#### 3.2.3 ステータス管理
作業依頼は以下のステータスを持つ。
* 未対応
* 対応中
* 確認待ち
* 完了
* 差し戻し
---
### 3.3 進捗管理機能
* ステータス別一覧表示
* 担当者別フィルタ
* 期限別フィルタ
* 期限超過アラート表示
---
### 3.4 コメント・履歴管理機能
* 作業依頼ごとのコメント投稿
* 以下の履歴を自動記録
* ステータス変更
* 担当者変更
---
### 3.5 通知機能
以下のタイミングで通知を行う。
* 作業依頼作成時
* ステータス変更時
* 期限前通知
* 期限超過通知
#### 通知方法
* システム内通知
* メール通知(任意設定)
---
### 3.6 検索・一覧機能
* キーワード検索
* 条件絞り込み
* ステータス
* 担当者
* 期限
* ソート機能
* 期限
* 優先度
* 更新日
---
## 4. 画面一覧
| 画面名 | 概要 |
| ------- | -------------- |
| ダッシュボード | 依頼件数・進捗サマリー表示 |
| 作業依頼一覧 | 作業依頼の一覧表示・検索 |
| 作業依頼詳細 | 依頼内容・コメント・履歴表示 |
| 作業依頼登録 | 新規作業依頼の作成 |
| ユーザー管理 | ユーザー情報・権限管理 |
| 設定画面 | 通知設定・個人設定 |
---
## 5. データ要件(主要テーブル)
### 5.1 ユーザーテーブル
* user_id
* 氏名
* メールアドレス
* 権限
* 有効/無効
### 5.2 作業依頼テーブル
* request_id
* タイトル
* 内容
* 依頼者ID
* 優先度
* ステータス
* 期限
* 作成日時
* 更新日時
### 5.3 コメントテーブル
* comment_id
* request_id
* 投稿者ID
* コメント内容
* 投稿日時
---
## 6. ユーザー管理(詳細)
### 6.1 編集機能
* アバター画像の変更
* 名前の編集
* 権限の編集
検証結果①:Replit

まずは Replit です。
完成度とトークン消費量
- 1日の無料利用枠の 約70%のトークン消費 で完成
- 全体としては「きちんと形になる」という印象
ただし、実際に作業依頼を投稿して動作確認を行ったところ、
日時データ(期限・作成日)が保存できずエラーになる問題が発生しました。
この点については、
- 原因は明確
- 修正指示を出せば直せそう
というレベルで、致命的な欠陥ではありません。
機能面の評価
- 上記の日時保存エラーを除けば、他の機能は概ね正常に動作
- 仕様の抜けや致命的な誤りは見当たらず
- 実務ツールとして最低限必要な要素は揃っている
UI・UX
- デザインはシンプルだが、実用レベル
- 操作性も直感的で、迷うポイントはほぼなし
総合評価
- 完成度:90%程度
- 総合評価:80点
「無料枠」「バイブコーディング」という前提を考えると、
かなり健闘していると言ってよい結果です。
検証結果②:Bolt.new

次に Bolt.new です。
トークン条件
- 無料プランでは 1日300Kトークンまで利用可能
- 今回は 2日間に分けて挙動を調査
状況と問題点
- ログイン画面は作成されている
- 裏側では、作業管理システムらしき構造も生成されている
しかし、実際にログイン・会員登録を試みると、
- 会員登録ができない
- おそらく データベース設定が未実装
- その結果、ログイン後の画面に到達できず
実質的な動作確認ができない状態
という結果になりました。
評価
- 構造自体は「作ろうとしている形跡」がある
- ただし、無料枠ではトークン消費が厳しく、完成まで届かない
- 実用性を評価できる段階にすら到達していない
なお、有料版であれば、
- トークン制限が緩和され
- もう一段踏み込んだ生成ができる
可能性はありますが、今回は無料プラン前提の検証なので評価対象外とします。
ここまでの所感
少なくとも今回の結果を見る限り、
- Replit:実用ラインにかなり近い
- Bolt.new:無料枠では厳しい
という傾向がはっきり出ました。
「バイブコーディングは使えない」と一括りにするのは雑で、
サービス・トークン設計・前提条件によって結果は大きく変わる
というのが、この時点での率直な結論です。
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