Claude Codeのサブスク禁止騒動とCodexの懐深さ——2026年6月時点のサードパーティ利用状況を調べた
何が起きてるのか
2026年4月、AnthropicがClaude Codeのサブスクリプション(Pro/Max)をOpenClawとかのサードパーティ製ツールから使えなくした。で、5月に「やっぱり使えるようにする」と言っておいて、6月15日にその変更も止めた。なんのこっちゃ。
一方でOpenAIのCodexはというと、むしろサードパーティツールからのOAuth利用を歓迎している。Anthropicが締め出すタイミングでOpenAIは門を開いた。この差がなぜ生まれたのか、2026年6月30日時点で実際どうなってるのか、公式ドキュメントとGitHub Issuesとコミュニティの反応を横断して調べた。
時系列
まずはClaude Code側の騒動を整理する。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2月20日 | Anthropicが利用規約を更新。OAuthトークンをサードパーティツールで使うことを明示的に禁止 |
| 4月4日 | 規約を執行開始。OpenClaw、OpenCode、Hermes AgentなどがClaude Pro/Maxのサブスク枠を使えなくなる |
| 4月22日 | Boris Cherny(Claude Code責任者)が「CLI形式なら使っていい」とXで発言。しかしOpenClaw開発者のPeterは「実際にはシステムプロンプトをブロックされてる」とHNで報告 |
| 5月13日 | Anthropicが「Agent SDKクレジット」制度を発表。サブスクとは別枠の専用クレジットで使えるようにすると。Pro $20、Max 5x $100、Max 20x $200 |
| 6月15日 | 導入予定日の当日にAnthropicが変更を一時停止。振り出しに戻る |
Anthropicのヘルプセンターにはこんなことが書いてある(6月15日更新):
We're pausing the changes to Claude Agent SDK usage described below. For now, nothing has changed: Claude Agent SDK,
claude -p, and third-party app usage still draw from your subscription's usage limits.
つまり「今はまだサブスクの枠で使えるけど、いつ変えるかわからないよ」という状態。宙ぶらりんだ。
で、何が禁止されてるのか
Anthropicの公式リーガルページ(code.claude.com/docs/en/legal-and-compliance)を読むと、結構はっきり書いてある。
OAuth authentication is intended exclusively for purchasers of Claude Free, Pro, Max, Team, and Enterprise subscription plans and is designed to support ordinary use of Claude Code and other native Anthropic applications.
Anthropic does not permit third-party developers to offer Claude.ai login or to route requests through Free, Pro, or Max plan credentials on behalf of their users.
要するに:
- OAuthトークンを使っていいのはClaude Code本体だけ。 Claude Code CLIでの対話的利用のみ許可
- サードパーティ製ツールでOAuthトークンを使うのは禁止。 APIキーを使え
- 「事前通知なく enforcement する権利を留保する」 とも書いてある
APIキー(ANTHROPIC_API_KEY)経由なら問題ない。これは従量課金の通常のAPI利用だから、ポリシーの対象外。
OpenAI Codexは真逆
で、Codexの方はどうなってるか。
OpenAIの公式ドキュメント(developers.openai.com/codex)にはこう書いてある:
Codex is included in your ChatGPT Free, Go, Plus, Pro, Business, Edu, or Enterprise plan.
Codex supports two ways to sign in: Sign in with ChatGPT for subscription access, or Sign in with an API key for usage-based access.
ChatGPT Plus($20/月)に入っていればCodexは追加料金なしで使える。しかも:
- OpenAIはサードパーティツールからのOAuth利用を禁止していない
- OpenCode、RooCode、OpenClawと公式パートナーシップを結んでいる
- Sam Altman自身がXで「ChatGPT Plus/ProユーザーはOpenClawでサブスクリプションを使っていい」と発言
ChatGPTのアカウントでOAuthログインすれば、Hermes AgentでもOpenClawでもKilo CodeでもCodexが使える。OpenAIにとってサードパーティOAuthは「流通チャネル」であって「コストセンター」ではない、というスタンスだ。
なぜ両社でこんなに違うのか
正直、外から見てるだけだから全部が正確とは言えない。でもたぶん、こういう理由がある。
1. 課金モデルの違い
AnthropicのClaude Max($200/月)は実質「使い放題」に近かった。サードパーティのエージェントが24時間ループでコードを生成し続けると、Anthropic側のGPUコストがサブスク料金を大きく上回る。OpenAIのCodexには5時間スライディングウィンドウの使用量上限があって、超えたら別途クレジット購入が必要。ユーザーあたりのコストに天井がある。
2. モデルの粘着性
Claudeのモデル(特にSonnet/Opus)はコーディング性能で評価が高い。Anthropicは「モデルがいいから締め出してもユーザーは残る」という計算があるんだろう。実際、多くの開発者は「Claudeの方がコードが上手い」と言う。OpenAIは逆に、モデル性能だけでは差別化しきれないから、流通チャネル(=サードパーティツール)を拡大する戦略。
3. オープンソース戦略
Codex CLIはApache 2.0ライセンスで完全にOSS。OAuthフローもCIMD(Client ID Metadata Documents)で仕様が公開されている。Claude Codeはクローズドソースで、クライアントフィンガープリンティングまでやってる。
Hermes Agentでは実際どうなのか
自分の環境でも調べてみた。
Claude Code(OAuth経由):
- 4月以降、事実上ブロックされている。Hermes AgentのGitHub Issuesにも「out of extra usage」エラーの報告が継続的に上がっている(#6475, #15080, #32243)
- APIキー(ANTHROPIC_API_KEY)を.envに設定すれば問題なく使える。ただし従量課金
Codex(OAuth経由):
- 技術的には使える。
hermes login --provider openai-codexでChatGPTアカウントにOAuthログインすればOK - ただし非公開API(chatgpt.com/backend-api/codex)に依存しているので、OpenAIがバックエンドの仕様を変えると突然動かなくなる。実際5月27日にそれが起きて、Teknium(Nous Research創業者)が「
hermes updateしてくれ」と投稿してた - GPT-5.5はHermesだと不安定で、コミュニティではGPT-5.4推奨
- Hermesのフォールバックチェーンからは明示的に除外されている。補助タスク(画像解析とか)ではCodexは使われず、別プロバイダにフォールバックする
結局どうすればいいのか
2026年6月30日時点での実用的なまとめ:
| 方法 | Claude | Codex |
|---|---|---|
| サブスクOAuthでサードパーティ利用 | ❌ 禁止・ブロック | ⚠️ 使えるが非公開API依存 |
| APIキーで利用 | ✅ 安定・従量課金 | ✅ 安定・従量課金 |
| アカウントBANリスク | あり(報告多数) | 報告なし |
個人的には、Claude CodeをHermes Agentで使いたいならAPIキー一択。サブスクのOAuthを無理に通そうとするのは時間の無駄だし、最悪アカウント停止もある。
CodexはChatGPTサブスクに入ってるなら「ついでに使う」くらいの距離感がちょうどいい。メインのプロバイダとしてはAPIキーベースのもの(自分はDeepSeek使ってる)にしておいて、気が向いたらCodexに切り替える、という使い方。
Anthropicが6月15日に止めた「Agent SDKクレジット制度」がいつ再開されるかは不明。再開されたとしても、それはサブスクとは別枠のクレジットで、API従量課金と大差ない価格になるはず。サブスクの定額でサードパーティツールを使い倒せる「おいしい時代」は、どちらの会社でも終わりに近づいている。
参考
- Anthropic Help Center - Use the Claude Agent SDK with your Claude plan
- Claude Code Docs - Legal and compliance
- OpenAI Codex Pricing
- OpenAI Codex Auth
- GitHub - openai/codex
- HN: Anthropic says OpenClaw-style Claude CLI usage is allowed again
- VentureBeat - Anthropic reinstates OpenClaw and third-party agent usage
- Zed Blog - What Anthropic's New Claude Billing Means for Zed Users
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