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Macの外部モニターにじみ問題について考えること

2025/03/09に公開

はじめに

Mac で外部ディスプレイを使用する際に画面のにじみが多く当たる問題かと思います。
実際に自分も WQHD モニターを使用していて画面がにじんでしまっていたことがあったので、次にモニターを購入する際に何を考えるべきなのかをまとめてみました。

使用環境

  • 筐体:MacBook Air M2 (2022)
  • OS:macOS Sequoia 15.3.1
  • ディスプレイ:Dell U2723QE (4K 27 インチ)

スケーリング

Mac にはスケーリングという機能があります。
これは、擬似解像度と呼ばれるモニターに出力しているとは異なる解像度で表示させることができる機能です。
例えば、4K モニター接続時にそのまま 4K 表示させてしまうと表示がかなり小さくなってしまって操作しづらくなってしまうのですが、これを擬似解像度 WQHD(2560x1440)に設定しスケーリングさせることにより 4K での出力を維持したまま、WQHD の表示をさせることができます。

よくにじみが発生する原因としてスケーリングの有無が挙げられるかと思います。
実際にスケーリングの有無によってどの程度にじみが変わってくるかをスクリーンショットを比較することで見てみたいと思います。

スケーリング未使用時

モニターの解像度で出力する場合

モニターの解像度に合わせて表示させる場合です。
ドットバイドット出力などとも呼ばれているかと思います。

例) 4K モニターに対して 4K で出力する

4Kドットバイドット表示

よく見ないとわからないレベルですが、多少のにじみが感じられるかと思います
実際に 27 インチモニターで表示するとかなり小さい表示になるため、目視では感じられないレベルだと思います。

モニターの解像度とは異なる解像度で出力する場合

スケーリングをさせずにモニターの解像度とは異なる解像度で表示させる場合です。
解像度選択時に「(低解像度)」とついているものはスケーリングさせずに表示させるようになります。

例) 4K モニターに対して 2560x1440(低解像度)で出力する

スケーリング未使用WQHD表示

先ほどの例と同様に多少のにじみを感じます。
モニターへの出力解像度とモニター自体の解像度が異なってしまっているため、モニター側で引き伸ばしがされてしまっています。

スケーリング使用時

Mac ではスケーリング使用時、HiDPI スケーリングというスケーリングが行われます。
これは表示させたい解像度に対して内部的に縦横解像度を各 2 倍したものをレンダリングし、モニターに出力させるスケーリングです。
これにより表示上の 1 ピクセルを物理的な 4 ピクセルとして扱えるため、綺麗に表示させることができます。

例) 4K モニターに対して 2560x1440 で出力する

スケーリング使用WQHD表示

スケーリング未使用時に比べてかなりくっきりとして綺麗な表示になったかと思います。

画面のにじみと PPI

前述の 3 つ例において、スケーリングを有効にすることでかなりにじみを抑えられるということがわかったかと思います。

他方で、よく表示の滲み具合には PPI (Pixels Per Inch)の値を用いて比較されることがよくあります。
PPI とは 1 インチあたりのピクセル数の数のことで、これが大きいほどピクセル数が多くなるので、鮮明に映し出すことができるということになります。
PPI は以下の計算式で求められます。

\text{PPI} = \frac{\sqrt{\text{横解像度}^2 + \text{縦解像度}^2}}{\text{モニターの対角線長}}

先ほどの 3 つの例の PPI を表にまとめてみます。
(27 インチモニターを使用した場合)

表示解像度 スケーリング有無 レンダリング解像度 PPI
4K (3840x2160) 3840x2160 約 163PPI
WQHD (2560x1440) 2560x1440 約 109PPI
WQHD (2560x1440) 2560x1440 約 163PPI

さて、先ほどの比較ではスケーリングをした際の WQHD 表示が鮮明に見えていたにも関わらず、4K ドットバイドット表示と PPI が同じ値になっています。
これは、PPI にはスケーリングの有無が考慮されておらず、スケーリングを考慮にいれるとにじみ具合の参考にならなくなることを示しています。

もし、スケーリングを考慮に入れるのなら内部的なレンダリング解像度を考慮に入れた上で PPI を考える必要があります。
以下が内部的なレンダリングを考慮に入れた際の表になります。

表示解像度 スケーリング有無 レンダリング解像度 内部レンダリング解像度 PPI 内部レンダリングの PPI
4K (3840x2160) 3840x2160 3840x2160 約 163PPI 約 163PPI
WQHD (2560x1440) 2560x1440 2560x1440 約 109PPI 約 109PPI
WQHD (2560x1440) 2560x1440 5120x2880 約 163PPI 約 217PPI

スケーリングをさせることによりかなり PPI が大きくなっていることがわかります。

まとめ

  • Mac において外部ディスプレイ使用時にはスケーリングの有無によって内部的なレンダリングの解像度が異なる
  • 内部レンダリング解像度がディスプレイの解像度を超えた場合でもダウンサンプリングによって出力できるようにしている
  • PPI はスケーリングの有無によって有効な値であるかどうかが変わってくる

内部レンダリング解像度の確認方法

内部レンダリング解像度はシステム情報で確認することができます。
内部レンダリング解像度

参考

https://zenn.dev/raptech_jp/articles/e90832a75a6da8
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/kb/hidpi-retina.html
https://gamingpcs.jp/column/dsr/
https://www.amd.com/ja/products/graphics/ecosystems/vsr.html

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