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RTX 5090、キミにきめた!

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はじめに

私はMac Studio(M2 Ultra 128GB)、EVO-X2(Ryzen AI Max+ 395 128GB)とRTX 3060を搭載したデスクトップPCを所有しており、RTX 3060機の後継をずっと検討していた。具体的には下記の4つで悩んでいた。

  • DGX Spark(128GB):60万〜80万
  • RTX 5090(32GB):40万〜50万
  • RTX PRO 6000(96GB):135万〜150万円
  • RTX 5070 Ti Super(24GB?):未発売、15万円程度?

悩みに悩んだ結果、私はRTX 5090を選択した。本記事ではその理由を備忘録的にまとめる。
https://x.com/gosrum/status/1987439847364256192

三種の神器

まず、当初私はDGX Sparkを第一候補に考えていた。理由はMac Studio、Ryzen AI Max+ 395が両方ともユニファイドメモリ128GBを備えていて、DGX Sparkが御三家に入るという認識だったからだ(頭の悪い理由ですみません)。

しかし、価格とベンチマーク性能を見て選択肢からは外すことにした。なぜならMac Studio、Ryzen AI Max+ 395と役割が被っていて、自分には60万円の価値を享受できると思えなかったからだ。わかりやすく表にまとめると下記の通り。

機種 私が唯一無二に感じること 用途
Mac Studio メモリ帯域幅の高さ LLM, VLMサーバ
Ryzen AI Max+ 395 コスト、拡張性・汎用性(amd64) メインマシン及び引退後の自宅サーバ
DGX Spark CUDAが使えること ??

上記のように、CUDA以外はMac StudioとRyzen AI Max+ 395でわりと事足りている。

では何を求めているのか?

それでは自分に足りないものはなにか?そう考えるとCUDA環境はやはり必須で、そのうえでRTX 3060で何が足りないか?という質問と同義になる。

それを考えた結果、私が今欲しいのはVRAMよりもGPU性能の高いハードウェアが欲しいという結論になった。

おそらく学習を行う場合はVRAMも潤沢に必要になりそうだが、私はどちらかというとCUDAを使った新しいモデルやツールをいち早く試したい、そして何度も試行錯誤したいという欲求が強い。

DGX SparkはVRAMが潤沢なので試すだけなら要求を満たせるものの、何度も試行錯誤をするにはGPU性能が足りないと言わざるを得ない。LLM,VLMの推論ではM2 Ultraの方が速いし、画像生成・動画生成の速さならRTX PRO 6000かRTX 5090が最速だろう。

RTX PRO 6000かRTX 5090か

正直コストを気にしないならば、RTX PRO 6000(96GB)一択だろう。個人的には消費電力は低いほど嬉しいのでMax-Qの方が欲しい。しかし、個人で買うには140万円は流石に躊躇してしまう。

判断基準としては自分が何年使う覚悟があるかと、そのタイミングでのリセールバリューが重要になる。

参考までに、私が調査した限りの情報を下記にまとめる。

GPU 発売日 発売時価格(目安) 現在の中古買取価格(目安)
RTX 6000 Ada 2023/2 約100万円? 〜35万円程度
RTX PRO 6000 2025/5 約140万円 ??
RTX 3090 2020/9 約20万円 〜6万円程度
RTX 4090 2022/10 約30万円 〜20万円程度
RTX 5090 2025/1 約45万円 ??

この情報だけを見ると、ワークステーション向けGPUはリセールバリューがあまり期待できないことがわかる。つまり買うからには長期間使う覚悟が必要だ。

一方、RTX 4090は3年経過した今でもリセールバリューが高い。まあこれは少し異常な気もするので2〜3年後には20万円で売れる想定とする。その場合、RTX 6090を実質20〜30万で手に入れられることになるという皮算用ができ、RTX PRO 6000のリセールを考えてもまだこちらの方が安い(RTX 6090が40〜50万で買える想定)。

おまけに私の性格上、買い替えたければいつでも買い換えられる選択肢が欲しいので、上記皮算用込みで最終的にRTX 5090、キミにきめた!

https://x.com/gosrum/status/1905632466846814353?s=20

RTX 5070 Ti Superは選択肢にないのか?

いつ発売になるかわからないのと、発売が遅れそうという噂を聞いてRTX 5090購入を決意した。それと、その間に新しいモデル等が出てすぐに試せないのは悔しいし、安く買える保証もない。

VRAM 32GBで大丈夫なのか?

もちろん96GBには勝ち目がない。モデルのサイズが大きくなりつつある現状、32GBで足りないこともあることは承知している。しかし、画像生成・動画生成界隈はものすごい勢いで課題解決が進んでおり、正直RTX 3060(12GB)でもメインメモリが128GBあればなんとかなることがわかった。

そのため、繰り返しになるが画像・動画生成においてはVRAMよりもGPU性能が重要であり、RTX 5090が最良の選択だと判断した。ただ使うだけでなく試行錯誤もしたいので、時間を買うことにもつながる。

RTX 5090のデメリット

これまでRTX 5090のメリットばかりあげてきたが、デメリットについても触れておく。VRAM容量以外に、最大消費電力が575Wととんでもなく高いことを忘れてはならない。そのため、電源選びや運用方法は検討が必要になる。

とりあえず私は電源に1000Wを選んだのもあり、消費電力を抑えたかったので電力制約を最小の400Wで運用している。詳細は下記の記事を参照されたい。

https://zenn.dev/robustonian/articles/nvidia-power-limit-optimization

まとめ

本記事では私がRTX 5090を選んだ理由を主観全開で備忘録的にまとめた。

これからローカルAIを触れることになる方向けのアドバイスとしては、金に糸目をつけないならRTX PRO 6000一択だろう。LLM、VLM推論だけで安く抑えたいとか、巨大なモデルも触ってみたいならMac Studio(M3Ultra 512GB)も選択肢に入る。

あとはDGX Sparkについて。私は所有していないので憶測になるが、SparkはOSがUbuntuしか選べず、CPUもamd64ではないため、特に発売当初はかなり玄人向けの製品に仕上がっているのでは?と思っている。これまで触れてこなかった人たちがUbuntuやLinuxに入門し、結果的にシェアを伸ばしてくれたら嬉しいが、果たしてどうなるか。

DGX Sparkだからこそできることも必ずあるはずだと思っていて、今後増えるであろうDGX Spark関連のレビュー記事も楽しみにしている。

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