【地獄】1年半かけて開発したマッチングアプリがApple審査によりリリースできずに終わった話
はじめに
結論から言うと、1年半かけて友人と作成していたアプリがAppleの審査でApple Review Guidlineの「4.3 Spam」に引っ掛かりリリースできませんでした。
すでに飽和状態のカテゴリにアプリを追加することは避けてください。App Storeには、おなら、げっぷ、懐中電灯、占い、デート、宴会用ゲーム、カーマ・スートラといったアプリがすでに多数存在します。こうしたアプリは、ユニークで高品質な体験を提供するアプリでない限り、却下されます。App Storeでスパム行為をすると、Apple Developer Programから除名される可能性があります。
※ Apple Review Guidline抜粋
こちらとしてはまだ市場にないユニークなマッチングアプリだということを主張したもののうまくいかず、打つ手がなくなってしまいました。これからアプリを作りたいと思っている方が同じ失敗を繰り返さないようにこの記事が届いてくれればと思います。
マッチングアプリアイデアの誕生
エンジニアの友人とご飯を食べながらマッチングアプリの話題で盛り上がっていた時にアイデアが生まれました。友人はゲイマッチングアプリ利用者なのですが、最もメジャー日本国内のゲイマッチングアプリは基本無料で使えるため利用者の熱意に差があり、マッチしてもメッセージが続かず、なかなか出会うまでに至れないという課題があることがわかりました。
男女のマッチングアプリでは「男が課金・女は無料」が普通です。私の経験上、男が会うために会話を基本リードしていくからそんなに同じ課題はないし、もしあったとしても、マッチングした時点で会う日と場所が決まる「Dine」みたいなのを使えば解消されそうだなと思いました。
そこで、「マッチと同時に会う日が決まるゲイマッチングアプリに需要があるのではないか?」と考え、本格的に構想を練ることにしました。
アイデアを形に
前から自分のアイデアを元にプロダクトを作って起業したいと思っていたこともあり、起業することになったら、「起業の科学 スタートアップサイエンス」に書いてある手順で進められたら良さそうだと思っていたので、この本の手順通りに進めました。この本はとても役に立ちました。2人で今このフェーズだよねということを認識合わせられたため、進め方において大きなコミュニケーション齟齬が生まれることがなかったように思います。
当事者インタビュー
ゲイの友人複数人にインタビューをさせてもらうことでやはり、マッチと同時に会う日が決まるゲイマッチングアプリに需要がありそうなことが分かりました。
UI/UX設計
実際にUI/UX設計をMiroを活用しながら進めました。
サインアップフロー
主要フロー1
開発開始
機能一覧を洗い出し、仕様を詰めつつアーキテクチャ選定・API定義・技術選定をしました。
仕様技術は以下のとおりです。
アプリ: Flutter
バックエンド: Go
インフラ: AWS(ALB, Fargate, Aurora Postgres, DynamoDB, S3など)をTerraform管理
ここら辺の詳しい部分↓で公開しています。
地獄のアプリ審査
途中で友人がやる気を失ったり、思ったような進捗が出せなかったりとフラストレーションが溜まることも色々ありましたが、なんとかリリースまではいきたいという思いで開発を最後まで終わらせることができました。しかし、ここからが地獄の始まりでした。
日本国内に向けたゲイマッチングアプリでマッチと同時に会う日がきまるという機能を持ったものはなく、これが現状の課題解決にどう繋がっているかということを主張しましたが、ひたすらApple Review Guidlineの「4.3 Spam」の内容をコピペした回答が返ってくるという状況でした。
また、ここに来て初めてこれまでにもApple審査の却下により使われることなく終わったマッチングアプリが他にもたくさんあるのだということが分かりました。無念...
最終的にはApple審査の方と電話までして交渉しましたが、これはダメですの一点張りでした。どれが類似のアプリなのか聞いてみたりもしましたが、それに対しては返答されることはなく...
その頃にはもはや自分一人だけがリリースに向けて頑張っている状態で、リリースできても自分にとってあまり身近ではない課題の解決を1人で続けることになりそうでそこまでの熱意を注げないかもしれないという後ろ向きな気持ちも生まれてきました。
最終的に、悔しかったですが、これ以上の深追いは時間の無駄だと考え、1年半かけたこのアプリと決別することを決めました。
ちなみにAndroid版の方はアプリ審査が済んでボタン1つでリリースができる状態になっていましたが、日本ではiPhoneユーザがマジョリティな背景を踏まえるとAndroid版だけリリースしてもあまり良い結果は得られないだろうと考え、Android版含めお蔵入りにすることにしました。
教訓
最終的に、自分のアイデアを元にビジネスを生んで稼ぐという目標を達成することはできませんでしたが、この経験を通して得られたものは色々ありました。
- アイデアが生まれてからアプリリリースするまでの手順の知見
- 個人事業主・法人の立て方(結果的に個人事業主までにはなり、法人は立ててないです(立てなくてよかったです笑))
- 0からアプリ・バックエンド・インフラを作り上げるフルスタックなエンジニア力
- アプリ開発・運用するにあたり、何にいくらくらいかかるのかの肌感
- 利用規約・プライバシーポリシーなどの法律観点
これからこの記事を通して同じ地獄を見る人を減らせたらなと思います。
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