ツールの全社導入プレゼンで学んだ、「伝わるスライド」の作り方【見せ方編】
スライドの中身は固まった。なのに、いざ作り始めると今度は見た目で手が止まる。
なんてことありませんか?
今回は、伝わるスライド資料の作り方「見せ方編」です!
先日、社内のとあるプロジェクトで全社向けの説明会を開催した際、スライドや説明がとても好評だったので、自分なりに意識していることをご紹介します。
私はデザイナーではありません。
資料作りの経験が豊富なわけでもありませんが、とあるルールに従うだけで、「伝わるスライド」は誰でも作れると思っています。
今回作成したスライド
題材は、この説明会で実際に使ったスライドです。
前提:どんな説明会だったか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | タスク管理ツールの全社移行(Backlog → Linear) |
| 聞き手 | エンジニアからサービス部・管理部まで全職種 |
| 形式 | オンライン、30〜40分(Q&A含む) |
聞き手の知識量も関心もバラバラ、しかも「いま使っているツールを取り上げられる」というネガティブ反応が出やすいテーマです。
私は社内の開発生産性向上とAI活用を推進する立場で、BacklogからLinearへの全社移行プロジェクトをリードしました。
この記事はその「本導入説明会」の実例をもとにしています。移行プロジェクト全体の記録は別記事にまとめているので、興味があればそちらもどうぞ。
1. 論理の見せ方:結論・全体像を先に、現在地を常に
資料作成、そして人に何かを説明するときの基本は、最初に結論と全体像を提示し、その後に続く内容が最初の提示と矛盾なく論理的に展開されることだと考えています。スライドでは、これを次の3つで実装しました。
結論と全体像を冒頭の2枚で出す
2枚目に「今日のゴール」として聞いた後の聴衆の状態を宣言し、3枚目でアジェンダ(全体像)を見せます。

大事なのは、以降のスライドがすべて、ここで宣言したゴールのどれかに対応していることです。冒頭の約束と中身が矛盾しないから、聞き手は安心して各論を聞けます。逆に、ゴールに対応しないスライドが混ざっていたら、それは削るサインです。
現在地を示し続ける
セクションの頭ごとにアジェンダを再掲し、現在の項目だけを強調、他はグレーアウトしました。

このスライドは1枚5秒、「次は運用ルールです」と言うだけで流します。それでも入れる価値があります。30分の説明で聞き手が迷子になるのは、内容が難しいからではなく「いまの話が全体のどこで、何のための話か」を見失うからです。情報量の多い章では、章内のサブ目次を挟んで現在地をさらに刻みました。
ちなみにページ番号も「n / 全体」の形式にしてあります。聞き手が「あとどれくらいか」を把握できるだけで、集中の配分が変わります。
答えを後回しにするときは、先に約束する
序盤で課題に触れたとき、その場で答えを説明せず「これは後ほど運用ルールのパートで説明します」と前方参照しました。聞き手の「それはどうなるの?」という疑問を放置すると、その後の話が頭に入りません。先に約束しておけば、疑問は安心して保留してもらえます。そして約束したことは必ず回収します。
2. 1枚の情報設計:1メッセージ・数を絞る・結論を残す
1スライド1メッセージ
1枚で伝えることは1つ。収まらなければ枚数を分けます。スライドの枚数は目標ではなく、メッセージを分解した結果です。「枚数が多いと聞き手が疲れるのでは」と思うかもしれませんが、疲れるのは枚数ではなく、1枚に詰め込まれた情報量です。
数を絞って、見出しに入れる
「移行の課題は2つ」「今日のゴールは3つ」「通知の設定でやることは2つ」。要素の数を絞った上で、その数を見出しに入れます。数字は聞き手の記憶のフックになり、「2つのうち1つは何だったか」と思い出す手がかりになります。

特に「聞き手にお願いする行動」は2つ程度まで削ります。10個お願いすれば全部忘れられますが、2つなら実行されます。
スライドは要点、詳細は口頭。ただし「持ち帰りの1行」を残す
話す内容を全部スライドに書かない。スライドは見出しとキーワード中心にして、詳細は口頭(台本側)に置きます。
ただし例外として、1枚の下部に結論ボックスを置き、その1枚の持ち帰りを1行に圧縮して書きました(例:「複数課題の移行については、コピペよりAIを使った方が早いです」)。発表を聞いていない人が後からスライドだけ見返しても、各ページの結論が拾えるようにするためです。
3. レイアウトの型:情報の構造に合わせて機械的に決める
レイアウトに迷うのは、選択肢が無限にあるように見えるからです。実際には、情報の構造が決まればレイアウトの型は決まります。今回使った対応はこれだけです。
| 情報の構造 | 使う型 | 今回の例 |
|---|---|---|
| 並列の要素 | カードグリッド | 移行の課題2つ、AI連携の4機能、メリット4つ |
| 対応関係 | 表 | Backlog→Linearの用語対応、ステータス対応 |
| 時系列 | タイムライン | 移行スケジュール4ステップ |
| 階層 | ツリー図 | Issueの親子構成例 |
| 数値の説得 | 大きな数字のカード | 試験導入の満足度 4.31/5 |


数値は文章に埋め込まず、大きな数字として独立させます。「満足度は4.31と高評価でした」と書くより、4.31がドンと見える方が何倍も強い。
そしてもうひとつ大事なのが、型の種類を絞って繰り返すことです。同じ型が繰り返されると、聞き手はスライドの「読み方」を学習します。「カードが並んでいたら並列の選択肢」「表が出たら新旧の対応」と無意識に読めるようになり、後半ほど認知負荷が下がります。毎枚レイアウトが変わる凝ったスライドは、実は聞き手に毎回「読み方の学習」を強いています。
4. 色と強調:役割を決めて、インフレを防ぐ
ベース1色+白背景。色数を増やさない
ベースカラーは1色(今回は青)に固定し、背景は白。それ以外の色は原則使いません。「ここを目立たせたい」と色を足すたびに、既存の強調が1段ずつ薄まっていきます。
強調の手段に役割を割り当てる
今回はこう決めました。
| 強調の手段 | 割り当てた役割 |
|---|---|
| 青のハイライトボックス | 補足情報・原則の提示 |
| 緑のハイライトボックス | 安心材料・ポジティブな情報 |
| ★マーク | 新設されたもの・最重要ポイント |
| 太字 | 文中のキーワードのみ |
役割を決めておく最大の効果は、強調のインフレを防げることです。「全部大事だから全部太字」になったスライドでは、何も強調されていないのと同じです。ちなみに★を見出しに付けたスライドは、全体で1枚だけにしました。一番誤解されると困る運用ルールの1枚です。
始まりと終わりだけ、背景を変える
表紙とクロージングの2枚だけ、濃紺の背景にしました。間は全部白背景です。発表の開始と終了が視覚的に区切られ、「ここから始まる」「ここで終わる」が言葉なしで伝わります。

クロージングは情報のおさらいではなく、行動喚起の1枚にします。聞き手に持ち帰ってほしいのは要約ではなく、次の行動だからです。
細部:絵文字は機能で、マスコットは空気のために
- 絵文字は装飾ではなく機能で使います。🥇は順位、📍は現在日。意味のない絵文字は足しません
- 全ページに会社のマスコットを置きました。「使い慣れたツールを取り上げられる」という身構えやすいテーマだったので、画面の隅の遊びが空気を少し和らげてくれます
まとめ:見せ方のチェックリスト
- 冒頭の2枚で結論(聞いた後の状態)と全体像を出したか
- セクションごとに現在地を示しているか(アジェンダ再掲+グレーアウト)
- 答えを後回しにする箇所で「後ほど説明します」と約束したか
- 1スライド1メッセージになっているか
- 要素の数を絞り、見出しに数字を入れたか
- 持ち帰りの1行(結論ボックス)を残したか
- レイアウトの型を情報の構造から決め、種類を絞ったか
- 色と強調の役割を決めたか(全部太字になっていないか)
- クロージングは行動喚起の1枚になっているか
これらのルールは、一度決めれば次の資料でも使い回せます。センスを磨くより、ルールを固定する方がずっと早い。
なお、ルールを決めた後の清書はAIに任せるのがおすすめです。私はClaude Designを使っており、その方法は別記事に書いています。
「何を伝えるか」の設計は【設計編】をどうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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