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『誰でも作れる!君だけの量子コンピュータ』第1章(拡張編)
― 無限を有限に落とす工学 ―
1. 固定小数点誤差伝播解析
まず前提。
Q1.15 の最小分解能:
■ 加算誤差
加算は誤差を増幅しない。
最大誤差:
問題なし。
■ 乗算誤差
乗算では誤差が掛け算される。
理想:
実装:
展開:
支配項:
最大誤差:
スケーリング後:
■ Hゲート1回の誤差
Hは:
2加算 + 2乗算
誤差上限:
≈ 1.2e-4
■ n回適用時
理論的上限:
1000回で:
≈ 0.12
つまり振幅が10%ズレる可能性。
ここで正規化が効く。
2. エラー上限理論評価
量子状態のノルム誤差:
最大誤差近似:
最悪ケース:
Q1.15なら許容範囲。
Q1.11なら破綻する。
つまりビット幅は思想。
3. LUT vs DSP最適化議論
■ 選択肢A:LUT乗算
- 資源軽い
- 低精度
- 遅い
■ 選択肢B:DSPブロック
- 高精度
- 高速
- 消費大
■ Tang Nano 4Kの場合
DSPブロック:8個
1-qubitに必要:
- 乗算2〜4
- 正規化で+3
合計7
ギリ。
2-qubitはDSP爆発。
つまり:
今の設計は1-qubit専用最適化。
ここにスケーリング問題が現れる。
4. パイプライン遅延設計
100MHzクロック。
■ パイプライン段数
Stage 0: 入力ラッチ
Stage 1: 加算
Stage 2: 乗算部分積
Stage 3: 加減算
Stage 4: シフト
Stage 5: 書き戻し
6段。
遅延:
6 × 10ns = 60ns
量子ゲート1発60ns。
■ スループット
パイプライン化すれば、
1クロックごとに新演算投入可能。
つまり:
100MHzで毎秒1億ゲート。
理論的には冷凍機より速い。
(スケールは別問題)
5. レイテンシ vs 精度トレードオフ
精度上げるなら:
- Q1.23(24bit)
- 乗算48bit
- DSP倍増
しかし:
DSP足りない。
遅延増える。
つまり:
精度と速度は交換関係。
工学の現実。
6. 有限精度と量子の哲学
数学世界:
FPGA世界:
連続空間を格子に落とす。
ヒルベルト空間を量子化する。
皮肉だ。
量子を実装するために、
また量子化している。
7. エラー発散シミュレーション
理論的に:
Hを無限回繰り返すと周期2。
実装では:
微妙に周期ズレ。
そのズレを観察する実験。
【ここに誤差推移グラフを貼る】
これは学術的にも面白い。
8. ここまでのまとめ(工学的)
- 数式は理想
- 固定小数点は近似
- 誤差は蓄積
- 正規化で抑制
- DSPは資源
- LUTは制約
- パイプラインは速度
量子エンジン設計は、
DSP最適化問題である。
-
凡人

「量子入門書だよな?」 -
エディ

「うん。でも現実を知らない量子は危険だよ。」
9. この章で得たもの
あなたは今、
- 数式を回路に落とした
- 無限を有限に圧縮した
- 誤差を見積もった
- リソースを評価した
もう量子は神秘ではない。
量子は設計対象だ。
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