新しい技術を導入する前に、私が必ず立ち止まる理由
新しい技術を導入する前に、私が必ず立ち止まる理由
――「できるか」より「保てるか」
前提
この記事は、新しい技術を否定するものではありません。
AI、新しいフレームワーク、内製化など、条件が揃えば有効な選択肢になると考えています。
私自身、新しい技術を試すこと自体には前向きです。
ただし 本番に入れるかどうかは別 という立場を取っています。
「導入できるか」は入口条件にすぎない
技術の検討では、次のような議論が先に出がちです。
- 技術的に可能か
- 性能は足りているか
- 実装コストは許容範囲か
これらは重要ですが、あくまで 入口条件 だと考えています。
本番導入の判断では、別の問いが必要になります。
私が立ち止まる理由
私があえて立ち止まるのは、
新しい機能やアイデアの「キラキラ」に当てられている状態を
一度冷ますためです。
新しい技術は差別化になりますが、同時にこういう性質も持ちます。
分かる人が一気に減る
これは社外だけでなく、社内でも同じです。
AI導入を例に考える
AIは分かりやすく魅力的で、短期的な成果も見えやすい技術です。
一方で、導入直後から次のような状況が起きやすくなります。
- なぜこの構成になっているのか分かる人が限られる
- 影響範囲を説明できる人が少ない
- AIと人の責任範囲が曖昧になる
今、賛成している人はいつまでいるか
ここで必ず自分に問いかけます。
今、この判断に賛成している人たちは、
1年後も、2年後も、この現場にいるだろうか
現時点(2026年時点)でAIに詳しい人ほど、
以下の可能性は高いのではないでしょうか?
- 異動
- 独立
- 転職
- 別の技術への関心移動
そのときに残るのは、判断と責任 です。
導入後の判断を誰が持ち続けるか
技術導入の検討では
「この時点での最適解」に目が向きやすくなります。
ただ、私が気にしているのはその先です。
この判断を、
数年後も同じ熱量で説明できる人は誰か
導入後も判断を持ち続けられる状態かどうかを、
必ず確認するようにしています。
それ自体は自然ですが、
多くの場合 作るフェーズまでしか見ていません。
責任者が背負うのはその先
責任者が背負うのは次の部分です。
- 障害時の説明責任
- 撤退判断の正当化
- 人が入れ替わった後の運用
- 社内外への説明
この立場の違いを理解せずに出てくる「賛成」は、
そのまま採用すべきではないと考えています。
私がAI導入にGOを出すとしたら
私がAI導入にGOを出すとしたら
ナレッジがチームで共有できる状態であること
たった一人のスペシャリストを1人作る形は取りません。
- 判断理由が共有されている
- 手順書として残っている
- 特別な属人技術になっていない
そして、
再現性があり、持続可能な状態で社内に定着する
この見通しが立ったときに、初めてGOを出します。
なぜ一度「冷ます」のか
私が立ち止まるのは、慎重ぶりたいからではありません。
判断の温度を、
責任を取れるレベルまで下げたい
それだけです。
冷ました結果、
- それでも進むなら進めばいい
- まだ早いなら今はやらない
その判断を、落ち着いた状態で下したいと考えています。
結論
新しい技術を入れるかどうかよりも、
その判断を、あとから誰かに引き継げるかどうかを重視しています。
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