アイデア資料作成AIエージェントを作成しました

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プロダクト名:Inspiration Eternal

記事要約

🤖 新規業界開拓のアイデア資料を作成するAIエージェントの開発プロセスについての記事です
⚙️ 技術構成は、NextJSとFASTAPIを使用しています
🧠 サンプルはlocal環境で実行となります。デモ動画は、下記URLでご確認頂けます
💻 サンプル - Github:https://github.com/peco-glhf/ie
🔴 デモ動画 - YouTube:https://youtu.be/P1QVCL8d93g

プロダクト概要

「Inspiration Eternal」という、商品・サービスの新規業界開拓を目的としたドキュメント制作の完全自動化AIエージェントを開発しました。営業やマーケティングの新規業界や顧客開拓で必要になる、アイデアの創出から、業界選定・分析・Webリサーチそして最終的なレポート作成までをAIが自動的に行います。
プロダクトトップページのプロンプト入力欄にて、展開している商品/サービスについての項目を入力すると[表紙・概要・業界・課題・解決策]をまとめたPPTXを出力します。
【トップページ】

【入力例】

商品/サービス名  :東京日本橋ハム
内容        :ハムの専門店
業界/分野     :惣菜・食品・ギフト・お歳暮
ターゲットユーザー :ファミリー世帯・富裕層
解決する課題    :特別なギフトとして
ここがイチオシ👍  :明治創業時から継承されてきた独自の熟成方法

【出力例】

このシステムでは、以下のAIエージェントワークフローを実行します:

  1. 価値理解
    入力された商品やサービスの内容を理解し価値を特定します。

  2. 業界選定
    約400の業界から、親和性がありそうで新規性のある5つの業界を選定します。

  3. アイデア生成
    選定された5つの業界ごとに3つの新ビジネスアイデアを生成します。

  4. 評価選定
    生成されたアイデアを革新性、新規性、社会的影響、全体的可能性で評価し、5つのアイデアを選定。

  5. ラフ案制作
    選択された5つのアイデアのラフ案を作成し、完成度、実現可能性、収益性で評価し、3つを選択します。

  6. Web調査
    選択された3つのアイデアについて市場動向、課題、事例をGoogle検索で調査します。

  7. 資料作成
    収集した情報とラフ案に基づいてレポートを作成し、提出用PPTを準備します。

  8. 完成
    資料作成した後、フロントエンドから成果物をダウンロードできます。

各タスクのLLMへのリクエスト・レスポンスのパースや状態管理・ワークフローのコントロールは、agent.pyというモジュールに集約しています。

また、もちろん、ワークフロー・出力ルール・モデルによってクオリティーは大幅にかわるため、この資料クオリティで人間による作業との比較はできませんが、初期評価(開発者によるテスト)では、新規顧客開発のための資料作成において作業時間のみかつローカル実行ではありますが、90%以上の作業時間削減効果(14時間10分→8分30秒、約99%削減)が確認されました。

終わりの見えない夜鍋資料作成作業が博物館化する日もそう遠くはないのかもれしませんし、圧倒的大量のアイデアがボタンひとつで生成される世界では、もはやアイデアだけを作ることは歓迎されず、選ぶ・決めるなどの実行力が、より一層重要になります。

技術構成

開発/実行環境

  • Mac book air / M2 - Sequia
  • Cursor 0.47.5
  • Node.js v22.13.1
  • conda 24.11.0
  • Python 3.11.11
  • Bolt.new

アイデアとページ構成ができたら、Bolt.newでラフデザインを作成したのち、CursorのClaude 3.7sonnetで制作しました。

技術構成

難しかったなと感じたのは、長時間(約8分間)のバックエンド処理-ワークフローと、なるべく退屈させないように、進捗状況を実況的にフロントエンドに返すことでした。インフラは、Google Cloud Runを使用しようとしているのですが、SSE周りの通信やベスト環境の構築にチャレンジ中です。

  • バックエンド (FastAPI)

    • Python-FastAPIを使用して、APIエンドポイントを作成しました。
    • agent.pyで各AIタスクモジュールのワークフローを統合管理
    • タスクマネージャーでのキュー管理
    • Server-Sent Events(SSE)による進捗状況のリアルタイム配信
  • フロントエンド (Next.js)

    • Next.jsによるフロントエンド&クライアントAPIエンドポイントの管理
    • 段階的状態管理によるシームレスなユーザーインターフェース(入力→処理→結果表示)
    • EventSourceインターフェースを使ったリアルタイムSSE通信
  • LLM連携とAPI

    • OpenAI、DeepSeek、Geminiなど複数LLMの統合利用
    • Google Search APIによるWeb情報収集の自動化
    • 段階的プロンプト設計によるAIタスクの最適化

開発ビジョン - AIが当たり前の世界の必要性と知的定型業務のAI化

生成AI本当にすごいなと思います。生成AIの急速な進化を目の当たりにしわずか3ヶ月の間に、o1、o3-mini claude 3.7 MCP andmore!!! と、次々に進化する技術と応用方法に感動しています。特に、これらがルールベースではないため、人間の期待通りを超えるアウトプットを生めることに無限の可能性を感じます。日々ニュースから聞こえてくるデータセンターへの莫大な投資額もこの変化をさらに推し進めていくことになるのでしょうか。人生の中で最も技術変化を肌で感じます。今の生成AI時代、これで解決すべき大きな問題ってなんだろうか。本AIエージェントの発想のスタートは、技術で解決すべき大きな問題の特定でした。

何か大きなことに取り組みたいと考えに考え続けた結果ぶつかったのは、日本の人口減少でした。少し調べると、この問題は、少子化・高齢化・人手不足・社会保障問題・過疎化・など、あらゆる日本が抱える問題に紐づくように思えました。

少子高齢化・人口減少は、我が国の未来を左右する。我が国の人口は、2008年の1億2,808万人をピークに、2011年以降13年連続で減少しており、2023年10月時点の総人口は1億2,435万人と、前年に比べて約60万人減少している。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、2070年には、我が国の人口が9,000万人を割り込むと推計されている。また、高齢化も進行し、65歳以上の人口割合を示す高齢化率は、2020年の28.6%から、2070年には38.7%へ上昇すると推計されている。(国土交通白書2024)

https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/html/n1110000.html

ちょっと、難しい話になるので、詳しくは調べてもらえればと思います。

歴史を振り返ると、江戸時代では約3300万人、明治時代では約5000万人と、今の半分以下の人口ではあるものの、各時代に応じた人口規模とそれに対応する社会構造が存在していたのではと考えることもできるかと思います。現代における出生率の低下は社会環境の変化や個人の選択の結果であり、同様に平均寿命の延伸は医療技術の発展によるもので、つまりは、現代における”社会構造”なのではないでしょうか。
そう思うと、生成AIを活用して解決しようと思っていたはずの、人口減少の見え方が少し変わってきました。人口減少対策を講じることは大前提としながらも、

今を生きる私たちにとって人口減少は

解決すべき”問題” ー ではなく ー 適応すべき”自然の摂理”

なのではと考えるようになりました。

この視点から、生成AIで真に取り組むべき課題は、自然の摂理に抗うことではなく、変化に適応することであると考え、「人口減少に伴う日本の生産能力の恒常的低下」であると再定義しました。

人口減少は当たり前で、適応すべき自然の摂理
生成AIを活用した技術革新は、適応すべき新しい当たり前

生成AIによる技術革新は、この課題に対応するための「適応すべき新しい当たり前」と位置づけられます。データから情報をサンプリング・生成することを得意とするAIは、二次情報を扱う人間の知的業務を効果的に代替できる可能性を秘めていますし、AIとの関わりが深まるほど、演繹的・帰納的思考ではなく、人間固有の直感や意志の強さによって生み出される創造(≒一次情報)の重要性が拡大していくと考えます。

この考えに基づき、知的定型業務はAIに任せ、知的創造業務は人間が担うという役割分担を実現するため、知的定型業務化できそうな資料作成業務のAI化をコンセプトに「Inspiration Eternal」を開発しました。AIによる無限のアイデアの組み合わせと生成によって、どこかの誰かの知的創造業務のための時間が捻出されることを目標に開発しました。

日本で暮らす私たちは、人口減少という現実に適応しながらも、社会全体の創造的生産性を高める未来を構築していく必要がある。いつかの新聞で読んだような、聞き慣れた綺麗な言葉の意図を、手を動かしながら、LLMアプリケーションと対話を重ねながら再確認しました。人口減少時代において、AIと人間が補完し合いながら新たな社会構造を築いていく、今はそんな時代なんだなと思いました。

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