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AWS re:Invent 2025からの学び

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ダラダラ書いてたら年を越えちゃいましたが、AWS re:Invent 2025で発表されたアップデートやメッセージを踏まえて、AWSの戦略や方針、強みなどを自分なりに咀嚼してみました。もうWernerの話を聞けないと思うと残念ですが、改めて振り返ると次のre:Inventが楽しみになってきました!

1. 発明の自由を支える"社会インフラ"へ

以前よりAWSは ”AWS is built for builders” というメッセージでもって、AWSが開発者・スタートアップ企業・大企業・研究者など、新しいものを創造したり、問題を解決したりする人々(ビルダー)のために設計されたプラットフォームであることを強調している。事実、AWSは差別化につながらないインフラ管理のような重労働(Undifferentiated Heavy Lifting)を単に引き受けるだけでなく、データセンターの冷却システムから電力供給、シリコンからソフトウェアまでをすべて自社で設計し、超大規模で運用する垂直統合と最適化によってAWSというプラットフォームを、個人はもちろん、ほとんどの企業では成し得ない次元に引き上げてきた。これにより、ビルダーは本来のアイデアやアプリケーション開発に集中することができる。今回発された ”Freedom to Invent” というメッセージは、このような20年にわたる同社の歩みの原動力に言及したものであり、AWSという企業の存在理由とも言える

クラウドは成熟期に入っており、主要クラウド事業者の成長率は鈍化傾向にある。AWSも例外ではないものの、同社はYoYで20%の成長を維持しており、昨年の成長額はFortune 500企業の半数以上の年間収益を上回り、ARRで1320億ドル(約20兆円)のビジネスに成長。世界に38のリージョン、120のAZを保有し、昨年も世界最多となる3.8GWのデータセンタ容量を追加、今後さらに3つのリージョン追加を予定している。また、900万kmのプライベートな陸上・海底光ファイバーネットワークを保有し、その容量は昨年だけで50%増強された。同社が最初に一般公開したサービスであり、同社の根幹を担うストレージサービスであるS3は、オブジェクト数500兆個超、数百エクサバイトに到達し、秒間平均2億リクエストを処理している。

同社は地球規模のITインフラの恩恵を、エンタープライスからスタートアップ、個人開発者に分け隔てなく提供しており、誰もが数分で地球の裏側で大規模なワークロードを実行する自由を手にしている。これはAWSの登場前に、多くのスタートアップがサーバの調達やインフラ管理のために、多くの時間とリソースを浪費していたのとは非常に対照的である。現在、Forbes 2025 AI 50に名を連ねるスタートアップの85%、CNBC Disruptor 50に選出されたスタートアップの85%がAWSを使用しており、AWSはITインフラの担い手から発明の自由を支える社会インフラへと躍進を遂げている

2. AIエージェント時代の発明を支えるためのAWSの戦略

AWSはAIエージェント時代も ”Freedom to Keep Inventing” を支えるための戦略をさまざまなレイヤで実行している。

2.1 AI Infrastructure

AWSはGPUとAIアクセラレータの両方に強みを持ち、幅広いユーザ・ユースケースに応える選択肢を提供する

AWSは最初にGPUを提供したクラウドであり、NVIDIAとは15年にわたる緊密な協力関係を有する。同社は、安定したGPUサービスの提供に近道はなく、ハードやソフトのあらゆるレイヤーの最適化と長年にわたる地道な障害の根本要因の解析と対策の積み重ねが、大規模GPUクラスタの実行においてAWSが最も安定していると評価する声につながっていると主張。先月提携を発表したばかりのOpenAIは、GB200(近々GB300も予定)を数10万個搭載したEC2 UltraServerのクラスターを利用してモデル開発に取り組んでいることを公表。

一方、過熱気味の投資マネーによって支えられてきたAIワークロードも、コスト効率という問題から目を背けることは難しくなっており、AIアクセラレータへの注目が高まっている。しかしながら、半導体は大規模かつ長期間の投資が不可欠な事業領域であり、競争力のあるAIアクセラレータを有し、大規模に展開する能力を有する企業は非常に限られている。

AWSは2015年のAnnapurna Labsの買収から10年、”半導体メーカー” として独自のカスタムチップの開発を進めてきた。同社のGravitonは高いコスト効率・エネルギー効率を誇り、独自ハイパーバイザ等との垂直統合と最適化によって高い機能性や安全性も有している。AWSがデータセンターに新規配備したCPUの過半数は3年連続でGravitonであり、新世代のGraviton 5も新たに発表された。AIアクセラレータのTrainiumもすでに100万を超えるチップが配備されており、Bedrockの推論処理の大部分はGPUではなくTrainiumで実行されている。特に、AnthropicのClaudeの最新モデルはGPUではなく、すべてTrainiumでホストされており、それによって他ベンダより高速なレスポンスを実現している。

また、AWSはAnthropicのために50万個を超えるTrainiumチップで構成されるデータセンター規模のAI学習基盤 ”Project Rainier” を運用しており、今年末には100万個を超えるとも言われている。そして、今回発表されたTrainium 4がGPUとの性能差をさらに縮めることは確実で、Trainiumは合理的なAIインフラの担い手としての地位を確かなものにしつつある

もちろん並列演算はハードウェアのみで単純に比較できるものではなく、特にNVIDIAの演算プラットフォームCUDAは移行を阻む強力な壁として存在している。業界標準ともいえるCUDAの開発資産、そしてCUDAに慣れ親しんだ機械学習の開発者は多く、AWSがNeuron SDKの提供等によってスイッチングコストをいかに低減できるかがキーとなる。

データ主権や厳しい規制要件に対応する手段として、ユーザの所有するデータセンター内にAWSが管理する専用のAIインフラストラクチャを配備することができるAWS AI Factoriesも発表。AI FactoriesはプライベートなAWSリージョンのように機能し、セキュリティ要件を満たしながらAWSというプラットフォームの恩恵を受けた開発が可能で、かつ既存データセンターへの投資も活用できる。AI FactoriesはProject Rainierの知見を活かしたものであり、Project RainierはAnthropic向けに作られたAI Factoriesと言える。

2.2 Inference Platform

Amazon Bedrock(以下、Bedrock)は統一的なI/Fを用いた多様な基盤モデルへのアクセスと拡大し続ける規模の恩恵によって、AIエージェントの民主化を後押しする

2023年4月の発表以降、Bedrockの利用企業は3年弱で10万社を突破。1兆を超えるトークンを処理している企業も50社を超える。初期フェーズのスタートアップや小規模な利用にとどまるユーザであっても、Bedrock全体の規模によってもたらされる高いコスト効率や安定性、環境性能等の恩恵を享受することができ、限られた経営資源を有効に活用することができる

同社は一貫して全てを支配するモデルは存在しないと主張しており、Bedrockで利用可能な基盤モデルの数は増加を続けている。今回のre:InventではGoogleのGemma 3やMistral AIのMistra 3をはじめとして、18個のオープンウェイトモデルも追加された。また、Bedrock Marketplaceを通してより多くのモデルを調達し、統一されたBedrock APIを通して利用したり、自身の開発したモデルを販売することも可能である。そして、Amazon自身もモデルベンダでもあり、同社のリテール・広告事業でDogfoodingによって鍛え上げた基盤モデルのNovaをBedrockで提供している。今回新たに発表されたNova 2は、より高い推論性能とコスト効率を実現しており、Nova 2 ProがGemini 3 ProやClaude Sonnet 4.5、GPT 5.1等に肩を並べ得るモデルであることをベンチマークを持って示した。また、マルチモーダル推論が可能なNova Omniや音声モデルのNova Sonic、複雑なプロダクションUIワークフローを自動化するNova Actなどバリエーションの豊富さも魅力である。Nova Actは米国限定のResearch Previewとして提供されていたが、一般提供が開始された。

このように、AIインフラを意識することなく、多様なモデルを用いた推論を支えるBedrockは、従来のアプリケーションにおけるEC2のような存在ともいえる。さらに、AWSが提供しているエージェント開発用のSDKであるStrands Agentsを使用すると、より抽象的なインタフェースを介してBedrockを利用することができ、Bedrockはより真にインフラという見えない存在となっていく点も、多くのAWSサービスが内部でEC2を利用している点と重なる。

2.3 The Right Model + Your Data

AWSは誰もが自身のデータやドメイン知識を学習したフロンティアモデルを保有する手段を拡充し、業務に特化したより有用なエージェント開発を可能とする

ユーザ固有のデータを深く理解し、業務に最適化されたモデルは大きな価値をもたらす。一方で、ユーザ固有のデータは競争相手との差別化要素であり、基盤モデルにそれらが漏洩することは好ましくない。その結果、多くのユーザはRAG等によって推論時にモデルにコンテキストを提供することを選択している。しかしながら、このアプローチによって達成可能な推論能力には限界があり、多くのユーザはモデルに自身のデータや深いドメイン知識を理解させたいと考えている。

現状、カスタムモデルを作成するには、フルスクラッチによるモデル開発、もしくはオープンウェイトモデルをベースにファインチューニングや強化学習、モデル蒸留などの手法を用いて調整を施すかのどちらかが選択肢となる。前者は汎用的な知識を獲得するためのデータセットやトレーニングのための専門知識を必要とし、多くの企業にとって現実的な選択肢ではない。また、後者にはトレーニング済みのモデルに後から新しいドメイン知識を追加すると、元々の知識が失われやすいという課題が存在する。

新たに発表されたAmazon Nova Forge(以下、Nova Forge)は、フロンティアモデルのトレーニング中に適切なタイミングで、ユーザ固有のデータとAmazonがキュレートしたデータセットをブレンドしてモデルの学習を完了させることで、推論の基礎能力を失うことなく、ドメイン固有の知識をモデルに導入する。学習を完了したモデルはBedrockにインポートして利用可能。Nova 2 Lite/ProやNova 1の複数のトレーニングチェックポイントが利用可能で、学習を完了したモデルのファインチューニングもサポートする。Nova Forgeのテストに参加した企業として紹介された5社には日本企業が2社(NRIとSONY)も含まれており、SONYの最高デジタル責任者(CDO)である小寺氏が日本企業として初のre:Inventのキーノート登壇を果たした点は、日本人としてうれしいサプライズだった。

昨年10月のグローバルサミットへの出張報告では、SLMへの着目の必要性について触れたが、昨年re:invent 2024で発表されたAmazon Bedrock Model Distillation、今回re:Invent 2025で発表されたNova Forge、Reinforcement Fine-tuning in Amazon Bedrock、Model Customization with Amazon SageMaker AIなど様々な手段が提供されるようになり、企業が自社専用モデルを持つことが現実的な選択肢となりつつある

2.4 Tools to Build Agents

AWSは自身が強みを持つ自動推論技術を活用し、エージェントの信頼性を向上させる機能を同社のエージェントプラットフォームAmazon Bedrock AgentCore (以下、AgentCore)に追加。これにより、クリティカルな業務へのエージェント適用を可能とする

AWSは7月に実施されたAWS Summit New York Cityにおいて ”Making AWS the best place to build the world’s most useful AI agents” というビジョンを示し、Amazon Bedrock AgentCore (以下、AgentCore)を発表した。AgentCoreはインフラ管理を気にすることなく、大規模かつ安全に効果的なエージェントを構築、展開、運用するためのエージェントプラットフォームであり、VISAやNasdaqなど高い基準を要求する企業をはじめ、すでに多くの企業がAgentCoreを用いてエージェントの構築に集中している。

エージェントは事前にプログラミングすることなく、動的に推論を行いタスクを完了させることができる点で強力だが、その非決定的な挙動を制御することが難しく、ほとんどの企業が最も価値が高く、重要なユースケースにエージェントを展開できていない。新たに発表されたPolicy in AgentCoreは、エージェントのすべてのアクション(データやツールへのアクセス)をポリシーに照らして評価する。自然言語で規定されたポリシーは、Cedarというポリシー記述言語に変換されたのち、AgentCore Gatewayにデプロイされる。ポリシーはエージェントのコードとは独立して定義され、モデル入出力のガードレールとは異なるレイヤのガードレールとして、エージェントの振る舞いを規定した範囲に拘束する。

8月にハルシネーションの抑制手段として発表されたAutomated Reasoning checkと同様に、Policy in AgentCoreには自動推論技術が活用されている。AWSは10年以上にわたって同技術の研究を行っており多くの利用実績があるが、これらは言語モデルの統計的な振る舞いと数学的な正しさを保証する自動推論を融合して、モデルやエージェントの信頼性向上を狙うニューロシンボリックAI(NeSy)なアプローチである。

また、エージェントは現実世界にデプロイするまで振る舞いが決まらず、従来のソフトウェアのようなアプローチでテストすることは難しい。新たに発表されたAgentCore Evaluationsは、エージェントの正確性や有用性、有毒性などを継続的に監視し、広範囲にエージェントを展開する前に問題に対処できるようにする。

従来よりAgentCoreは、記憶・認証・運用管理・外部システム連携支援等、実用的なエージェントを開発・運用するために必要となる多くの機能セットを揃えているが、よりクリティカルな業務へのエージェント適用を支援する機能が追加された。これらは、必要なモジュールを取捨選択して使用することができ、同社のStrands Agentsだけでなく様々なフレームワークから利用できる。これは同社のビルディングブロックという思想にもとづく、単一の選択肢を強要しないという意思表示である。

AgentCoreは一元化されたアクセス管理やPrivateLinkを用いた安全な接続、CloudWatchに統合された運用情報など、既存のAWSワークロードとの親和性も高く、トータルなプラットフォームとしてAWSは成熟度を高めている

3. AIを同僚に

3.1 フロンティアエージェント

AWSは、目標を達成するために人間の介入を必要とせず自律的 (Autonomous) に、同時実行タスクに対応するために大規模にスケール (Scalable) して、長時間動作 (Long-running) する新しいクラスのAIエージェントをフロンティアエージェントと定義。次の3種類のフロンティアエージェントを発表した。

  • Kiro autonomous agent
    バックログやコミュニケーションツールからアサインされた開発タスクを自律的に遂行。利用中の開発ツールに接続して、チームや作業に関する共通知識を理解したり、指示内容を学習して以降のタスクを実行したりすることが可能で、人間の開発者のように取り扱うことができる。DevinやGitHub Copilot Coding Agent、Claude Code Actionsに近い。
  • AWS Security Agent
    設計ドキュメントをベースにしたセキュリティレビュー、脆弱性の検出や影響分析、修正案の作成、ペネトレーションテスト等を自律的に遂行。AWSのように徹底的なセキュリティレビューやテストを実施する余力がなくても、セキュリティファーストの実現を支援。
  • AWS DevOps Agent
    AWSのDevOpsナレッジをベースにしており、経験豊富なDevOpsエンジニアのようにインシデントの自動調査や緩和計画の提案、RCA、過去のインシデントを踏まえた予防的な推奨事項の提案などを遂行。マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境のアプリケーションリソースの理解や、CloudWatchだけでなく3rd PartyのObservabilityソリューションとの統合も可能。

コスト最適化や障害分析、セキュリティインシデント対応など、これまでもAIを活用した機能は多数提供されてきたが、特筆すべきは、これら3種類のフロンティアエージェントがソフトウェア開発のライフサイクルを幅広くカバーし、人によるボトルネックを軽減して価値提供を加速させる点である。フロンティアエージェントはいずれも専門知識を有し、学習を繰り返して自律的に業務を遂行する同僚であり、人をより重要なタスクに注力させることができる。このようなAgentic AIによる人とAIのチームは、これからの仕事のやり方を大きく変えていく

3.2 ルネサンス・デベロッパー

「AIは私の仕事を奪うか?」という問いを日常的に受けるようになったAmazonのCTO Dr. Werner Vogelsは、いくつかのタスクは自動化され、いくつかのスキルは陳腐化するだろうとしたうえで、この質問を「AIによって自分は時代遅れになるか?」と言い換えることを提言。そして「決してそのようなことはない、ただし進化すれば」と明言。

ツールの進化は新しいことではなく絶え間なく続くものだが、仕事(発明による価値の創造)はツールではなくビルダーのものであり、ビルダーはその結果に責任を持つ必要がある点は不変であると主張。また、様々なテクノロジー(人工知能、ロボット工学、宇宙開発)の黄金時代が同時に到来しているというJeff Bezosのインタビューを引用。ある分野の進歩が他の分野の進歩を加速させ、信じられないほどの速さで前進している現在をルネサンスに準え、そのような時代に活躍した科学者にも見られる下記の重要な資質を備えたルネサンス・デベロッパーを定義。

  • Is curious: 好奇心がある
  • Think in systems (, not isolated parts): 単体ではなく相互作用するシステムとして全体を捉える
  • Communicate: 考えを明確に言語化する
  • Is an Owner (You build it, you own it.): オーナーシップを持つ
  • Is a polymath: 専門性の深さと分野をまたがる幅広さを兼ね備える

これらの資質を備えたビルダーは進化を続け、AIによって時代遅れになることはない。冷静になって開発に取り組むことが重要だというメッセージを残して、最後のre:Invent キーノートでの登壇を締め括った。例年とは少し異なるテイストの話だったが、ルネサンスを引き合いに出しての抽象化と概念化は、アーキテクトとしての集大成とも言える内容だった。

4. My key takeaways

4.1 再発明の防止と価値創造の加速

多様な選択肢の提供と既存AWSワークロードとのシームレスな連携による囲い込み、というAWSの基本姿勢は変わらない。シリコンへの継続投資はAIインフラにおいてもAWSに大きな優位性をもたらしている。成熟期を迎え社会インフラとなったAWSというプラットフォームを最大限活用して、”Undifferentiated Heavy Lifting”からの脱却、そして自社の競争力強化や他社差別化といった価値創造を加速させることが重要

4.2 問われる人間の適応力

従来の生成AI技術はインタフェースの変化という側面が強かったように思うが、Agentic AIは我々人間の活動や役割を大きく変えていく。すでにソフトウェア開発では、ソフトウェアエンジニアリングを再構築するAI-DLCという概念も登場している。AI技術の進化も不可欠だが、同時にAIをチームの一員として迎え入れられるか人の適応能力が問われており、ルネサンス・デベロッパーの資質を持たないものは取り残される

4.3 Amazonの強み

AWSはもともとAmazonの社内インフラに端を発し、商業サービス開始後も多くのサービスがAmazon社内の需要や知見にもとづいて開発されてきた。例えば、同社は2025年7月、仕様駆動開発に最適化されたIDEとしてKiroをアナウンスしたが、KiroはAIを用いたソフトウェア開発において、AWSが考える現時点のベストプラクティスが詰まったIDEであり、発表前から同社内やクローズドなプレビューを通して磨き上げてきたものである。このように、自社内の旺盛な需要に支えられるドッグフーディングこそがAmazonの強みと言える。

今回の目玉となったフロンティアエージェントも、Amazonの大規模な運用実績や知見なしには存在し得なかったものである。AWSは自分のコードを自分たちで運用すること(DevOps)が進化に不可欠であることを理解している。SaaSをパッケージからソフトウェアへの単なる提供形態の変化と捉えたか、それとも運用を通した進化の機会と捉えられたかの差は大きく、AI時代になってその先見性の差がデータという明確な形で大きな格差を生み出している

また、AmazonはフィジカルAIで優位性を発揮しやすい状況にある。同社は世界最大級の小売(リテール、マーケットプレイス)業者であり、効率的な物流とデータ活用で小売業界を大きく変革してきた。2025年10月には、AIを用いたBlue JayやProject Elunaを発表しており、最新のAIやロボット技術を速やかに展開し、超大規模な環境で鍛え上げることができる点は競合にない強みである。

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