商標リジェクト2回、名前を3回変えて、WordPressプラグインをwp.org公式に公開した話
はじめに
WordPressプラグイン 「ORECTIC SEO CHECK」 をWordPress.org公式ディレクトリに公開しました。
管理画面から1クリックで自サイトのSEO診断ができる、というシンプルなプラグインです。機能の説明は公式ページに任せて、この記事では審査に2回リジェクトされて名前を3回変えた話を書きます。
同じようにwp.orgへの初公開を目指している方の参考になれば幸いです。
作ったもの
ORECTIC SEO CHECK — 管理画面から1クリックでSEO診断ができるWordPressプラグインです。
- 総合SEOスコア
- 4カテゴリ評価(構造化データ / Basic SEO / Content / Technical)
- 日英バイリンガル対応
- 外部APIと連携してスコアリング
開発期間は約1週間。既存の社内ツールをWordPressプラグインの形に落とし込む作業でした。コード自体は順調に書き上がり、「これならすぐ公開できるだろう」と気楽にwp.orgへ提出しました。
そのあとに本当の山場が来るとは、この時は知りませんでした。
1回目のリジェクト:「その名前は使えません」
提出したプラグインの元の名前には、ある大手サービスと同じ単語が含まれていました。自分の会社の社内サービス名からそのまま持ってきた名前だったのですが、それが商標に抵触するという指摘でした。
wp.org審査チームからのメッセージは丁寧ですが、結論は明確です。
その名前は使えません。他のブランド名を連想させます。
社内で使っている名前にそれなりに愛着があったので、正直ショックでした。でも審査ルールは明確で、議論の余地はありません。
名前変更その1:略称にすればOKだろう
1回目のリジェクトを受けて、安直に略称にすれば通るだろうと考えました。「CodeQuest SEO Check」→「CQ SEO CHECK」という具合に。
- 元のブランド名は一切含まれない
- 3文字の略称なら一般的すぎて商標とは無関係だろう
- 審査もすぐ通るはず
そう思っていました。
2回目のリジェクト:「略称でもダメです」
再提出して数日後、再びリジェクト通知が届きます。
その略称は依然として元のブランド名を連想させます。
拡張した頭字語でも、公式に商標登録されているブランドを連想させる名前はNGという判定でした。ここで初めて、wp.orgの商標ポリシーは想像以上に厳格だと理解します。
「略称だから大丈夫だろう」という甘い見積もりは、完全に否定された形です。
名前変更その2:完全に無関係な名前に
ここまで来て気づいたのは、元のブランド名の影響を一切受けない、完全オリジナルの名前にするしかないということでした。
悩んだ末に選んだのが「ORECTIC」という造語。辞書にない、他のブランドとも被らない、自分で作った名前です。
- 発音しやすい
- 短い(7文字)
- 検索したときに他とぶつからない
- wp.orgの検索結果でも独自性がある
完全にオリジナルな名前に変更して、3回目の提出に臨みます。
3回目の提出:承認!
提出から数日後、承認メールが届きました。
Congratulations, your plugin has been approved!
長い戦いでした。リジェクトされるたびに「次こそは」と思いつつ、審査ポリシーの厳しさを学び直すのを繰り返した感覚です。
SVNアップロード:最後の小さな山場
wp.orgで承認された後、実際にプラグインコードをアップロードするにはSVNを使います。Gitに慣れた身にはこの時点で少し戸惑いましたが、やってみるとシンプルでした。
# SVNクライアントをインストール
brew install subversion
# リポジトリをチェックアウト
svn co https://plugins.svn.wordpress.org/your-plugin-slug
# trunk/ にコード配置、assets/ にバナー等を配置
# svn add して svn ci
svn ci -m "Initial release 1.0.1" --username your-wporg-id
# タグ作成
svn cp trunk tags/1.0.1
svn ci -m "Tagging version 1.0.1" --username your-wporg-id
ハマったのは 「最初のtrunkコミット直後にStable tag警告が出る」 ことでした。
これはtags/1.0.1がまだ存在しないタイミングでreadme.txtのStable tag: 1.0.1が参照されるために起きます。タグ作成後にtrunkへ軽微なコミットをもう1回行うと再インポートがトリガーされ、警告は消えます。
また、承認メールには「SVN詳細を24時間以内に送ります」と書かれていましたが、その2通目のメールは結局届きませんでした(27時間待ちました)。URLは予測可能なパターン(https://plugins.svn.wordpress.org/{slug}/)なので、メールを待たずに直接アクセスすれば問題なく作業できます。
学んだこと
この一連の経験から学んだことは3つあります。
1. 名前は最初が一番重要
開発に1週間かけても、名前で2週間ロスしました。プラグイン名は作り始める前に、商標チェックを済ませておくべきです。
- 米国特許商標庁(USPTO)で検索
- WIPO Global Brand Databaseで検索
- Google検索で近似名を確認
- wp.orgの既存プラグイン検索
これらを事前に済ませていれば、2回のリジェクトは避けられました。
2. 略称も商標チェックの対象
「3文字略称なら大丈夫」は通用しません。 元のブランド名を連想させる略称もNGです。完全にオリジナルで、辞書にも他のブランドにもない名前を作るしかありません。造語を作る勇気を持ちましょう。
3. リジェクトは「やり直し」ではなく「再設計」
1回目のリジェクトで略称に逃げた結果、2回目のリジェクトを食らいました。リジェクトを受けた時は、その原因を完全に潰す方向に舵を切るべきで、小手先の修正で再提出してはいけません。
結果的に遠回りをしました。最初から「完全に新しい名前」を選んでいれば、1回のリジェクトで済んだはずです。
おわりに
紆余曲折を経て、ようやくORECTIC SEO CHECKは公式に公開されました。
もしWordPressを使っている方がいれば、ぜひインストールして試してみてください。フィードバックやレビューもお待ちしています。
そして、これからwp.orgにプラグインを出そうとしている方へ。
名前だけは、最初に全力で考えてください。
それ以外の開発作業は、後からいくらでも直せます。
筆者について: Web制作・SEOツール開発を行うフリーランス。CodeQuest.work で活動中。
SEO CHECK — ディレクターも使っているSEO診断ツールを公開中。
Discussion