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Dify の基礎基本まとめ 〜ノーコードで LLM アプリを開発する〜 ✨

2025/01/03に公開

はじめに

最近、ChatGPT や GPT-4 などの 大規模言語モデル (LLM) を目にしない日はありませんね。
さまざまな業種で導入が進む一方で、「実際に自社や個人開発で導入するにはハードルが高そう…」と感じる方も多いのではないでしょうか?

そんな課題を ノーコード で解決してくれるのが、今回ご紹介する Dify です。
AI アプリ開発の敷居をぐっと下げてくれる Dify を使えば、専門的なプログラミングスキルがなくても、以下のようなアプリをすばやく構築できます。

  • チャットボットで顧客サポートを自動化 ✅
  • 社内向けナレッジベースの問い合わせを一元管理 ✅
  • マーケティング用のコピーやブログ記事を自動生成 ✅

ひと言でいうと、「LLM を使ったアプリを作るためのプラットフォーム」 です。
それでは、Dify っていったいどんなサービスなのか、詳しく見ていきましょう!


Dify とは?🔎

Dify は、LangGenius 社が提供する LLM アプリケーション開発プラットフォーム です。
複数の大規模言語モデル (OpenAI, Anthropic, Google PaLM 2など) に対応し、ツール連携やワークフロー設計を ノーコードで 直感的に行える点が特徴です。

Dify 主な機能一覧

機能名 概要 ポイント
ノーコード開発 GUI 上でノードを組み合わせる感覚でアプリを構築 プログラミング不要でビジネス担当者も操作可
豊富なテンプレート FAQ / チャットボット / コンテンツ生成などの雛形を提供 スピーディーにプロトタイプ作成可能
ワークフロー機能 検索→要約→翻訳など、複数ステップを連鎖し自動化する ドラッグ&ドロップで構築
外部ツール連携 Google Search, DALL-E, Stable Diffusion 等多数 LLM に検索結果や画像生成を組み合わせ可
API 経由の統合 独自フロントエンドや既存システムへ柔軟に組み込み Webアプリとして公開もワンクリック
RAG 機能 文書・CSV・PDF などを “ナレッジ” として登録し、LLM 応答に反映 大量ドキュメントへの高度な QA を実現
マルチモーダル対応 バージョン0.10.0以降、テキストだけでなく画像・音声・動画も連携 GPT-4V などを使った高度な解析が可能

それでは、こうした機能を使って具体的にどんなアプリが作れるのか、以下でユースケースを見ていきましょう!


ユースケース例 💡

Dify で作れるアプリの例をいくつか挙げてみます。

1. カスタマーサポートの自動化 🤖

  • FAQ 応答ボット:顧客がよく尋ねる質問を自動対応してくれる。
  • メール自動返信:特定のフレーズに反応して、自動で返信文面を作成&送信。

2. コンテンツ生成 ✍

  • ブログ記事生成:SEO 対策に役立つキーワードを指定して、記事や見出しを一発生成。
  • 広告コピー作成:商品やサービスの特徴を打ち出す短いコピーを大量生産。

3. エージェントの活用 🚀

  • 契約書レビュー:LLM を活用して法務部門の作業を大幅に効率化。
  • レポート自動作成:売上や市場データを集約して、毎週のレポートを自動生成。

4. ナレッジ管理&RAG 📚

  • 大量ドキュメントへの質問応答:PDF や CSV、Officeファイルなどをまとめて取り込み、ユーザーの質問に必要な情報を検索して回答。
  • 社内 Wiki チャットボット:複数部署の資料を集約し、質問したらすぐ答えてくれる仕組み。

5. マルチモーダル活用 🌏

  • 画像認識チャットボット:ユーザーがアップロードした画像を解析し、その内容に応じた回答を返す。
  • 音声認識:録音データをテキストに変換して要約、さらに QA まで自動化。

これらのユースケースはほんの一例です。Dify を使えば、「自分がほしい機能をサッと作る」 という感覚で、アイデアを形にできます。


具体的なアプリケーション例 🍀

よりイメージを湧かせるために、公式サイトやユーザーコミュニティで紹介されている事例をもう少し掘り下げてみます。

  1. YouTube字幕の要約チャットボット

    • YouTube 動画の字幕データを取得して、自動的に要約文を生成。
    • 長い動画もササッとポイントをつかめるようになり、効率的な情報収集が可能に。
  2. 手相占いチャットボット

    • ユーザーが送信した手相画像を認識し、AI が占い結果を文章で返すというユニークなアプリ。
    • LINE Bot などと連携し、拡張性も高い。
  3. 論文翻訳アプリ

    • Huggingface の論文 RSS フィードを読みに行って、自動翻訳。
    • Slack チャンネルにまとめて投稿することで、研究チームが最新論文をスムーズに把握。
  4. マーケティング戦略サポート AIアプリ

    • 大量の市場データを分析し、「仮説立案 → テスト → 評価」の一連をサポート。
    • データドリブンの戦略立案を高速化し、チャンスを逃さない。

RAG (Retrieval Augmented Generation) について

RAG とは?

RAG とは、外部のドキュメントやデータベースを検索して取り込み、LLM が回答を生成する際に参照させる仕組みのことです。
Dify では、この機能を 「ナレッジ」 と呼んでいます。たとえば PDF や CSV などをアップロードしてインデックス化し、ユーザーの問い合わせに対して該当箇所を引用しながら応答できます。

CSV のアップロードによる RAG 活用

  • CSV ファイルをナレッジとして登録
    • Dify 管理画面から「ナレッジ」→「ファイルインポート」の手順で簡単にアップロード
    • ファイルサイズ制限(例: 15MB まで)に注意し、必要に応じて分割
  • チャンク設定
    • CSV は内容を適切にチャンク化(行ごと/列ごとなど)することで、回答精度を高められます。

マルチモーダル対応について

マルチモーダルとは?

複数の種類のデータ(テキスト、画像、音声、動画)を統合的に処理する AI 技術を指します。
Dify バージョン 0.10.0 以降では、ファイルタイプをシームレスに扱えるように強化されており、以下のような使い方が可能になりました。

モーダル
画像 画像認識+LLM で説明文生成、画像に基づくQAなど
音声 音声認識(ASR)を挟んで、内容要約やテキスト変換
動画 キーフレーム抽出、動画内容の要約、特定シーン検出
リッチテキスト (GPT-4V) 画像とテキストを組み合わせた高度な処理

: ユーザーが商品の画像をアップし、それを分析してチャットボットが関連アイテムを提案する、など。
まだ発展途上の領域ですが、今後さらに強化されると期待されています。


Dify が対応している主な LLM 🔥

Dify は複数の LLM を選択して組み合わせられます。用途に応じてベストなモデルをチョイスするのがポイントです。

プロバイダー モデル名 特徴
OpenAI GPT-3.5-turbo, GPT-4 等 高い性能 & マルチタスク対応。翻訳や要約にも強い
Anthropic Claude-instant-1, Claude-2 安全性・倫理面が強化され、会話がよりスムーズ
Google PaLM 2 for Chat 翻訳や要約などで高精度。Google 製品との連携もしやすい
Cohere Command, Command-nightly エンタープライズ向けが得意。検索・分類などに強みあり
Hugging Face flan-t5-xl, GPT-NeoX-20B オープンソース界隈のモデルを幅広く扱える
Replicate llama-2-70b-chat, vicuna-13b 自前で高速推論を回したり、独自のモデルを試すのに有用

連携可能な主な外部ツール🔧

LLM のやり取りをさらに強化するため、Dify は以下のような外部ツールとの連携が簡単です。

ツール名 主な機能
Google Search Google 検索 API で最新情報を取得
Bing Web Search Bing 検索 API
DuckDuckGo Search プライバシー重視の検索エンジン
Wikipedia Search Wikipedia の記事情報を取得
DALL-E 2 テキストから画像を生成
Stable Diffusion 高品質な画像生成
Wolfram Alpha 数式計算や科学的知識ベースを活用
Tavily Search Web検索 & データ抽出に対応
Jina AI 画像・ドキュメント検索など

ワークフロー構築の流れ 🛠

  1. 入力ノード (User Input / Trigger)

    • ユーザーが入力したテキストや外部の API リクエストなどを受け取ります。
  2. 検索ノード (Optional)

    • 必要に応じて Google Search や Wikipedia Search を呼び出し、関連情報を収集。
  3. LLM ノード

    • 検索結果をプロンプトに含めて、質問回答や文章生成を実行。
    • 設定により応答のスタイルや用途を細かく調整できます。
  4. 追加ツール

    • 画像生成 (DALL-E, Stable Diffusion) を挟んだり、別の LLM で文章校正したりと必要に応じて連鎖。
  5. 出力ノード

    • 最終的な回答をユーザーに返答、または API 経由で他のシステムに転送。
    • Web アプリの場合はチャット形式など、使いやすいUIに落とし込むことが可能。

Dify でアプリを公開するには?🚀

Dify で作ったアプリは、以下の方法で簡単に外部公開ができます。

  1. Webアプリとして公開

    • Dify の管理画面上で「公開」ボタンを押すだけで、専用の URL が発行されます。
    • カスタムドメインを設定したり、アイコンや利用規約など細かい設定も可能。
  2. 既存サイトに埋め込み (iframe)

    • 埋め込み用の <iframe> コードをコピペするだけ。
    • たとえば企業サイトやブログの “問い合わせフォーム” として利用できる。
  3. API 連携

    • Dify の API を呼び出し、独自のフロントエンドアプリや業務システムの裏側で利用。
    • 入力と出力を自由にカスタマイズできるので、拡張性が抜群。

料金プラン 💰

Dify には無料プランからエンタープライズ向けのプランまで用意されています(最新情報は公式サイトを確認してください)。

プラン 料金 (月額) 主な特徴
Sandbox 無料 GPT 無料トライアル200回、アプリ生成回数10回など
Professional 59ドル (年額 590ドル) 本格的なアプリ開発を行うのに十分なリソースを用意
Team 159ドル (年額1,590ドル) チームで使える。メンバー数やログ保持期間が拡張
Enterprise 要問い合わせ 大規模・高度な要件対応。カスタムサポートなども充実

注意:

  • LLM の API 使用料 (OpenAI など) は別途発生する可能性が高いです。
  • 年額支払いだと割引がある場合が多いので、長期運用を検討されている方はお得になるかもしれません。

実際の導入ステップ🐾

  1. Dify アカウントを作成

  2. 新規プロジェクトを開く

    • LLM プロバイダー (例: OpenAI) を設定し、使いたいモデルを選択。
    • テンプレートやサンプルを参考にして、基本的な構成を把握すると◎。
  3. ノーコードでワークフローを設計

    • GUI 画面で「LLM ノード」「検索ノード」「画像生成ノード」などをつなげるだけ。
    • 必要に応じてプロンプトを微調整(例: 「〇〇の口調で話してください」など)。
  4. テスト & チューニング

    • チャット画面でテスト入力し、応答内容やレスポンス速度を確認。
    • 回答が不十分ならプロンプトやノード配置を見直す。
  5. 公開 & 運用

    • 開発が完了したらボタン一発で Web 公開できます。
    • 運用中のログをチェックして、改善ポイントを継続的にフィードバックしましょう。

注意点 & ベストプラクティス 🚦

  • LLM の利用コスト管理
    GPT-4 など大規模モデルを多用すると API コストがかさむ可能性が高いです。
    実運用ではコストシミュレーションを行い、必要に応じてモデルのグレードを切り替えるなどの調整が必須。

  • プロンプトエンジニアリング
    ノーコードでもモデルへの指示(プロンプト)は非常に重要な要素。
    適切なプロンプト設計をすることで、期待通りの回答精度や応答スタイルが実現しやすくなります。

  • セキュリティ・プライバシーへの配慮
    利用する LLM や外部ツールによっては、入力データがサーバ側に送信されるので、個人情報や機密情報の取り扱いに注意。
    必要に応じてオンプレミス運用や暗号化対策などを検討しましょう。

  • 権利関係や著作権
    生成系 AI (画像や文章) を活用する場合、発生する著作権や利用規約の順守も大事です。
    特に外部APIを利用するときは、それぞれの利用規約をしっかり読み込むことをおすすめします。


まとめ 🌈

Dify は、大規模言語モデルを使ったアプリケーションをノーコードで構築できる万能プラットフォームです。
LLM の知識がない方でも、GUI と簡易的な設定だけで 高機能なチャットボット自動化ワークフロー が作れるので、アイデア次第で以下のようなメリットが得られます。

  1. 開発スピード爆上げ:アイデアを思いついたらすぐアプリ化!
  2. ビジネスサイドの巻き込み:ノーコードなので、エンジニア以外のメンバーも編集やメンテナンスが可能。
  3. 多彩な連携ツール:検索エンジン、画像生成、翻訳など、必要に応じて機能をプラスアルファ。
  4. 運用コストを最適化:柔軟なプラン、そして外部の LLM を組み合わせる自由度が高い。

RAG やマルチモーダルなど、Dify ならではの魅力的な機能も充実しているため、「自社ドキュメントを活用した高度なチャットボット」「画像・音声解析を含む AI サービス」 など、より発展的な開発が可能です。

まずは無料の Sandbox プラン で小さな PoC を試してみて、実際に手応えがありそうであれば本格運用を進める―― そんなステップが王道でしょう。


参考リンク 🔗

最後に…
Dify は日進月歩で進化しており、新機能や連携ツールがどんどん追加されています。ぜひ公式ドキュメントやコミュニティ (Discord など) をチェックして、新しい情報をキャッチアップしながら、自分ならではの AI アプリを開発してみてください!

お読みいただきありがとうございました。Dify を活用して、あなたのアイデアを AI の力 で形にしちゃいましょう!✨

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