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プログラムが「空気」になる日。バイブコーディングで感じた開発の新しい景色

に公開

「LLM・LLM活用 Advent Calendar 2025」 23日目の記事です
https://qiita.com/advent-calendar/2025/large-language-model


思考が「浮遊」しはじめる感覚

かつて、プログラミングは私にとって、重厚な思考を精緻に組み上げる、建築的な営みであった。頭の中にある抽象的なロジックを、一つひとつ緻密なコードへと定着させていく。その地道で確かな「具現化」のプロセスの先に、ようやく動くものが手に入る。自らの論理を物理的な実体へと変えていく作業には、作り手ならではの確かな手応えと、充足感があった。

しかし、最近話題の「バイブコーディング(Vibe Coding)」を実践したとき、その感覚は驚くほど軽やかに塗り替えられた。これまで心血を注いで手に入れていた「形にする」という結果が、いまや願いを言葉にするだけで目の前に現れる。それは、長年慣れ親しんできた開発の心地よい重みから解き放たれ、思考がそのまま形になっていくような、不思議な「浮遊感」を伴う体験であった。

あとで読むアプリ 『Urpina』

「バイブコーディングするとして、何をつくろうか」と考えたとき、愛用していたサービスが先日終了となり困っていた「あとで読むアプリ」をつくることにした。あまり深く考えず、「こんなアプリが欲しい」という想いのままに、AIと共に組み上げてみたのが『Urpina』である。

ブラウジングの文脈を遮らないChrome拡張。購読ソースから直接「あとで読む」へ昇華するフィードリーダー。そしてLLMによる自動要約や多次元ベクトルを用いた分類・検索。 「私がいま欲しい」と願った断片たちが、対話を通じて次々とかたちを成していった。

今回のバイブコーディングに費やしたのは、わずか数回の週末であった。かつての「建築」の流儀であれば、数ヶ月の月日と多大な心血を注いでようやく到達できたはずの地点に、軽々と辿り着いてしまった。

だが、ここで得られた本質的な価値は、単なる工数の圧縮ではない。アイデアが熱を帯びているうちにプロダクトへと昇華できる、「思考の鮮度」を一切損なわない開発体験そのものにある。

「こんなものが欲しい」という想いが、実装の壁にぶつかることなく、AIとの対話を通じてそのままプロダクトになっていく。自分の意図が魔法のように鮮やかな実体を伴っていくプロセスには、純粋な驚きがあった。こうした体験の中に、AI時代の開発がもたらす新しい創造の形を見た気がしている。

※ Urpina は近日中に公開予定

意図を伝えることに集中する

今回の開発体制は、以下の通りだ。

  • 企画・監修: わたし
  • プログラマー・デザイナー: AI

私は「何を、なぜ作るか」という意図の設計に専念し、実装はすべてAIに任せた。実装はもはや「苦労して積み上げる工程」ではなく、自らの考えと同期するように次々と現れる「現象」に近いものであった。思考を直接プロダクトに反映できるこの感覚は、プロダクト開発者としての手応えを、より本質的なものへと研ぎ澄ませてくれるような体験であった。

※ Vibe Coding 環境は Google Antigravity x Gemini 3
※ 技術スタックは Tauri (Rust x React)

プログラムが「空気」のように存在する世界

いま、私たちは大きな転換点にいる。プログラムは、じっくり時間をかけて構築し、堅牢に守っていく「大切な資産」であると同時に、必要に応じてその場で自在に生み出せる「便利な道具」としての顔も持つようになった。かつての開発が「建築」であったなら、これからはもっと軽やかに、空気のようにどこにでも現れる存在になっていくはずだ。

AIは、人間の「意図」とAIの「実行力」を高速に往還させ、瞬時に形にする共創のパートナーである。そこではAIを単なる道具として使うのではなく、自らの想いを交錯させながら、新しい価値を共に探求していくような関係性が生まれている。

つくることの、新しい景色

論理を形にするコストが限りなくゼロに近づき、プログラムがどこにでもある世界。そこでは「どう書くか」という悩みは消え、「何を、なぜ創るか」という意志がこれまで以上に大切になる。

プログラムを「書く」のではなく、自分の想いを「形にする」ことに没頭できる。そんな、ものづくりの原点にあるようなワクワク感が、AIによって再び呼び起こされている。これまで培ってきた技術や経験は、AIという強力な力を導き、プロダクトの質を見極めるための「目利き(審美眼)」として活きてくる。実装という制約から解き放たれ、自分の考えを即座に世界へ送り出せる。そんな新しいステージの到来に、私たちは今、立ち会っているのだと感じている。

追記

https://zenn.dev/ohida/articles/6256a1d126b1d5

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