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Filestash から S3 互換の Cloudflare R2 を操作してみる

2025/04/26に公開

 概要この記事では、セルフホスト可能なファイルマネージャーの Filestash を Mac で立ち上げ、S3 互換の Cloudflare R2 のバケットを操作してみます。
最終的にはこんな感じになります。

 これは何？
 Filestashhttps://www.filestash.app/
https://github.com/mickael-kerjean/filestash
Filestash は、FTP、SFTP に加えて S3、Minio、Git などにも対応したファイルマネージャーです。
複数種類のストレージをまとめて管理できます。
様々な企業・組織での採用実績もあります。
https://www.filestash.app/#introduce-second-heading
https://www.filestash.app/docs/support/
MIT Media Lab:

https://www.media.mit.edu/posts/file-sharing/

バイオテクノロジー企業:

https://aws.amazon.com/blogs/storage/how-regeneron-built-a-secure-and-scalable-file-transfer-service-using-aws-transfer-family/
ウクライナ国防省 (Filestash 公式でも紹介されてます):
> curl -D - https://file-stash.cidtd.mil.gov.ua/about
HTTP/2 200
...
x-powered-by: Filestash/v0.5.20220217 <https://filestash.app>

 Cloudflare R2「エグレス料金なしのグローバルなオブジェクトストレージ」です。
S3 API と互換性があります。
https://developers.cloudflare.com/r2/api/s3/api/
クレジットカードの登録などは必要ですが、無料枠も設定されています。

 ハンズオンそれでは、早速試してみましょう。
公式手順: https://www.filestash.app/docs/install-and-upgrade/

 1. Filestash 実行環境の準備Docker, Docker Compose, curl があれば実行できます。
最小要件 によると RAM 128 MB, 1 コアがあれば動かせるそう。

 2. Filestash のインストール公式 Docker イメージ: machines/filestash - Docker Hub
Compose ファイルが用意されているため、ダウンロードして docker compose up -d を実行すれば起動できます。
> mkdir filestash && cd filestash
> curl -O https://downloads.filestash.app/latest/docker-compose.yml
  % Total    % Received % Xferd  Average Speed   Time    Time     Time  Current
                                 Dload  Upload   Total   Spent    Left  Speed
100   980    0   980    0     0    766      0 --:--:--  0:00:01 --:--:--   766
> docker compose up -d
!Apple シリコン搭載の Mac や Raspberry Pi などで実行する場合、そのままの Compose ファイルでは以下のようなエラーが表示されます。
起動時のエラーメッセージの例
no matching manifest for linux/arm64/v8 in the manifest list entries
Compose ファイルは以下のように修正すれば、一旦起動はできるようになります。
docker-compose.yml
@@ -2,7 +2,7 @@
 services:
   app:
     container_name: filestash
-    image: machines/filestash:latest
+    image: machines/filestash:latest-arm64v8
     restart: always
     environment:
     - APPLICATION_URL=
ただし、Docker Hub にある ARM アーキテクチャの Docker イメージは 2 年前から更新されていません。(2025/04/26 現在)
この Docker イメージの証明書は失効しているため、Git や S3 との通信を試みようとすると証明書エラーが発生します。
証明書エラーの例
x509: certificate signed by unknown authority
この記事では Apple シリコン搭載の Mac でビルドすることで、この問題を解決します。

 証明書エラーの対策 (2025/04/26 現在)https://github.com/mickael-kerjean/filestash/blob/c06e8f0a220ae2c4e6fd03dd808e69ff1beee4c2/docker/Dockerfile
この Dockerfile を保存し、docker-compose.yml を修正します。
docker-compose.yml
@@ -2,7 +2,8 @@
 services:
   app:
     container_name: filestash
-    image: machines/filestash:latest
+    build:
+      context: ./app
     restart: always
     environment:
     - APPLICATION_URL=
ディレクトリ構成はこんな感じ> tree .
.
├── app
│   └── Dockerfile
└── docker-compose.yml

2 directories, 2 files
もちろん docker compose up -d はそのまま実行できます。
起動後、http://localhost:8334 にアクセスすると管理者パスワードの設定を求められます。
パスワードを設定後、Filestash の Admin Console (http://localhost:8334/admin/backend) にリダイレクトされます。

 3. Cloudflare R2 のバケット作成Cloudflare のダッシュボード から「R2 オブジェクト ストレージ」のページに移動し、バケットの作成ページを開きます。
画面遷移の詳細
ここでは filestash-bucket-example という名前のバケットを作成します。バケットの名前は後で利用します。

 4. Cloudflare の API トークンを作成続いて「R2 オブジェクト ストレージ」のページから API トークンを作成します。
画面遷移の詳細
特定のバケットだけで操作できるよう設定します。設定内容は以下です。
R2 Storage 権限タイプ: オブジェクト読み取りと書き込み
バケットの指定: 特定のバケットにのみ適用 > filestash-bucket-example
作成後に S3 クライアントで利用できる認証情報も表示されます。

この認証情報を Filestash で利用します。

 5. Filestash での R2 への接続設定まず Filestash の Admin Console (http://localhost:8334/admin/backend) を開きます。
「Storage Backend」で S3 を追加し、見分けやすいようバケット名 filestash-bucket-example を設定します。
これだけでもログイン画面 (http://localhost:8334/login) から R2 の認証情報を打ち込めばアクセスできます。
ただしログインのたびに打ち込むのは手間なので、「Authentication Middleware」で R2 の認証情報を設定しておきます。
ここではパススルーの設定をしてみます。
なお、Path でバケットを設定する際は / 始まりにしてください。
S3 クライアントで利用できる認証情報 (再掲)
設定後、ログイン画面 (http://localhost:8334/login) からアクセスすると、ファイルマネージャーの画面 (http://localhost:8334/files/) にリダイレクトされます。
Google ドライブと同じような操作感で使うことができます。
ファイルのプレビュー
ファイルの削除

 まとめこの記事では、セルフホスト可能なファイルマネージャーの Filestash を Mac で立ち上げ、Cloudflare R2 のバケットを操作してみました。
Filestash は Nextcloud と比較すると、とにかく軽量で使い始めやすかったのが印象的でした。
この記事がどなたかのお役に立てば幸いです。

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