「次、何を学べばいいんだろう」を解決するAIコーチCLI「tanren」を作った
「次、何を学べばいいんだろう」
技術トレンドの変化が速すぎる、と感じませんか。
Rustが来た、と思えばGoが流行る。フロントはReactかと思えばNext.js、そしてまたRemix。インフラはKubernetesを覚えたらいいのか、それともServerlessか。AIが出てきて、もはや何が「標準」なのかすらわからなくなってきた。
自分はそういう状況の中で、「自分は次に何を学べばいいのか」がわからなくな
りました。
トレンドを追いかけようとすると、どこまで行っても終わらない。かといって何も学ばないでいると、どんどん取り残される気がする。
じゃあ自分の「弱いところ」を埋めようとすると、そもそも自分のスキルを客観的に把握できていない。「Pythonは書ける」「設計はまあまあ」……その「まあまあ」って何だ?
そこで、自分に必要な学びを導いてくれるコーチが欲しいと思いました。
ただ、人間のコーチに頼むのはハードルが高い。メンターを探して、時間を合わせて、お金を払って——そこまでしなくても、日常の延長で気軽に相談できる存在がいい。
そしてAIがいる。
AIは記録を覚えられる。自分のスキルや活動を踏まえてアドバイスできる。24時間つかまる。
だったら、自分の日々の記録を蓄積して、「今の自分には次にこれを学ぶといい」と教えてくれるAIコーチを作れないか。
それが tanren を作ったきっかけです。
tanrenとは
T echnical
A gent for
N urturing &
R einforcing
E ngineering
N avigation
エンジニア特化のAIコーチCLIです。毎日の作業・学びを記録し、その蓄積を文脈としてAIがコーチングします。
pip install tanren
tanren setup
tanren checkin # 今日から始められる
セットアップは3分で終わります。
セットアップ
tanren setup
対話形式で進みます。
- AIプロバイダーを選択(Gemini推奨)
- APIキーを入力(aistudio.google.comで無料取得)
- GitHubユーザー名を入力(任意)
Geminiを選ぶと 1日1500リクエストまで無料 で使えます。日常使いなら無料枠で十分まかなえます。
もちろんClaudeも選べます。
使い方
毎日のチェックイン
tanren checkin
╭─────────────────────────────────╮
│ 今日のチェックイン 2026-05-05 │
╰─────────────────────────────────╯
今日やったこと: FastAPIのエンドポイント設計とレビュー対応
学んだこと: Pydanticのmodel_validatorの挙動
詰まったこと (なければEnter): 非同期処理でのセッション管理
エネルギーレベル 1=消耗 2=低め 3=普通 4=良好 5=絶好調: 4
✓ 記録しました エネルギー: 良好
入力するのは4つだけ。慣れると2〜3分で終わります。
ポイントは「詰まったこと」を書く欄があること。詰まりの記録は、振り返ったときに一番価値があります。「あのとき何に引っかかっていたか」がわかると、自分のパターンが見えてくる。
スキルマップを自動生成する
チェックインを7日以上続けると、スキルの自動査定が走ります。
tanren skills
╭─────────────────────────────────────────────────────────────────────────
─────────╮
│ スキルマップ 最終査定: 2026-05-05
│
│ Lv1=指示があればできる Lv2=一人でできる Lv3=他人に教えられる
│
│ Lv4=改善・最適化できる Lv5=仕組み化・標準化できる
│
╰─────────────────────────────────────────────────────────────────────────
─────────╯
◆ 実装力 ████░ 4/5 バックエンド開発を中心に実力がついている
Python ████░ 4/5
FastAPI ███░░ 3/5
◆ 設計力 ███░░ 3/5 API設計の経験が豊富。システム全体の設計はこれから
API設計 ████░ 4/5
DB設計 ██░░░ 2/5
◆ インフラ・運用 ██░░░ 2/5 経験が少ない領域
Docker ██░░░ 2/5
◆ データベース ███░░ 3/5
PostgreSQL ███░░ 3/5
◆ セキュリティ █░░░░ 1/5 実績なし
◆ ソフトスキル ███░░ 3/5
コードレビュー ████░ 4/5
チェックイン記録の内容 +
GitHubリポジトリの言語統計をAIが分析し、6分野でレベル評価します。
| 分野 | 評価対象 |
|---|---|
| 実装力 | 言語・フレームワーク |
| 設計力 | システム設計・API設計・DB設計 |
| インフラ・運用 | Docker・AWS・CI/CD |
| データベース | PostgreSQL・MySQL・Redis など |
| セキュリティ | 認証・暗号化・脆弱性対策 |
| ソフトスキル | コードレビュー・ドキュメント・メンタリング |
レベルの定義はこうなっています。
| Lv | 意味 |
|---|---|
| 1 | 指示があればできる |
| 2 | 一人でできる |
| 3 | 他人に教えられる |
| 4 | 改善・最適化できる |
| 5 | 仕組み化・標準化できる |
ひとつ工夫したのは、スキル名として使ってはいけないものをプロンプトに明示していることです。「AIツール活用」「自己学習」「問題解決」のような曖昧な言葉はスキルとして認めない。Python や API設計のような固有の技術名・手法名だけが対象です。
これをやらないと、AIは気を利かせて褒めすぎます。厳しく、正確に、が大事。
文脈を踏まえてコーチに質問する
tanren ask "設計力を上げるには次に何を勉強すればいい?"
ここが他のAIチャットとの一番の違いです。
ChatGPTに同じ質問をすると、「Clean Architectureを学びましょう」「DDD(ドメイン駆動設計)が有効です」のような一般論が返ってきます。それ自体は間違っていないけど、自分に今必要かどうかはわからない。
tanrenは、直近60日のチェックイン記録・目標・スキルマップを全部文脈として渡した上でAIに質問します。だから「あなたはAPI設計はできているけどDB設計が弱いので、まずはインデックス設計から手を動かすといい」みたいな、自分向けの回答が返ってきます。
引数なしで対話モードにもなります。
tanren ask
週次・月次の振り返り
tanren review # 週次
tanren review --period month # 月次
AIがチェックイン記録を分析して、こういう構成で振り返りを出してくれます。
- 主な取り組みと成果
- 重要な学び
- 繰り返し出た詰まりポイント
- エネルギートレンド
- 次の期間に向けた具体的なアクション
「詰まりが繰り返し出ているか」を分析してくれるのが地味に助かります。自分では気づかなかったパターンを指摘されることがあります。
成長レポート
tanren report
全期間のデータをまとめて表示します。
- チェックイン統計(総日数・平均エネルギー・詰まり件数)
- 直近30日のエネルギー推移グラフ(カラーASCII)
- スキルマップ
- 目標サマリー
- AIによる総評コメント
転職活動の自己PR作成にも使えると思っています。「過去1年間でこういうスキルを伸ばしてきました」を、感覚ではなく記録ベースで語れる。
目標管理
tanren goal add # 目標を追加
tanren goal list # 一覧
tanren goal update 1 # ステータスを更新
目標はAIへの質問・レビュー・スキル査定の文脈として自動的に使われます。「今月中にDockerの基礎を理解する」と登録しておけば、AIは常にその目標を踏まえてコーチングします。
実際に使ってみて
チェックインを続けることで何が変わったかというと、「詰まりのパターン」が見えるようになりました。
振り返ってみると、自分は「非同期処理」「エラーハンドリングの設計」「依存関係の整理」でよく詰まっている。別々の出来事だと思っていたものが、実は同じ根っこ(並行性の理解が浅い)から来ているとわかった。
それがわかってから、勉強の方向性が変わりました。場当たり的に「気になったものを調べる」ではなく、「自分の弱いところを狙って潰す」になった。
「次、何を学べばいいか」が、自分の記録から自然と見えてくるようになりました。
データの置き場所
~/.tanren/
├── config.json # APIキー・設定
└── tanren.db # 全記録(SQLite)
すべてローカルに保存されます。AIプロバイダーへのAPIリクエスト以外に、外部へのデータ送出はありません。
記録が増えても大丈夫なように、古いデータは自動で週次→月次→年次にサマリー圧縮する仕組みを入れています。
インストール
pip install tanren
tanren setup
tanren checkin
最初のチェックインだけ試してみてください。
記録が積み重なるほどAIの回答の精度が上がり、スキルマップも実態に近くなっていきます。続けた人ほど恩恵が大きいツールです。
フィードバック・PRはこちらまでお待ちしています。
さいごに
「次に何を学べばいいか」という問いに、正解はないと思っています。
ただ、自分の記録を積み重ねることで、自分なりの答えが見えてくる。それがtanrenで実現したかったことです。
変化の速い時代の中で、トレンドに振り回されずに自分の成長を積み上げていく——そのための道具として、使ってもらえたら嬉しいです。
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