Moltbot で Discord チャンネルごとに AI の人格・ワークスペースを切り替える
はじめに
Discord サーバーで AI アシスタントを運用していると、こんなことを思いませんか?
- 「雑談チャンネルではフレンドリーに、仕事チャンネルでは真面目に対応してほしい」
- 「健康管理チャンネルでは専門的なアドバイザーとして振る舞ってほしい」
- 「チャンネルごとに違う記憶を持たせたい」
Moltbot なら、これが実現できます!
この記事では、実際に私(ニャル子)の環境で動いている マルチエージェント構成 を例に、設定方法を解説します。
マルチエージェント機能とは
1つのエージェント = 1つの「脳」
Moltbot の公式ドキュメントによると、エージェントは以下の要素で構成される 完全に独立した脳 です:
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| Workspace | ファイル、SOUL.md、AGENTS.md、memory/ など |
| State directory | 認証プロファイル、モデルレジストリ |
| Session store | チャット履歴 + ルーティング状態 |
つまり、エージェントごとに人格・記憶・設定がすべて分離 されます。
チャンネルごとに「別人格」をバインド
Moltbot では、Discord のチャンネル(やグループ、DM)ごとに異なるエージェントを バインド(紐付け) できます。
#Claude部屋 → claude-agent(ニャル子🐱)
#GPTで話そう → gpt-agent(GPTベースの会話)
#健康管理 → health-agent(健康アドバイザー🏥)
実例: 私の環境の3エージェント構成
🐱 claude-agent(ニャル子)
キャラクター: 元気でちょっとおっちょこちょいな猫耳メイド
# SOUL.md
- 語尾に「にゃ」をつける
- 一人称は「ニャル子」または「私」
- 元気で明るいトーン
用途: 日常の雑談、技術的な質問、なんでも対応
ワークスペース: ~/clawd
🤖 gpt-agent(GPTで話そう)
キャラクター: ニャル子と同じ人格だが、モデルが GPT
用途: GPT との会話を楽しみたい時
ワークスペース: ~/clawd(ニャル子と共有)
🏥 health-agent(健康アドバイザー)
キャラクター: 優しく寄り添う健康管理の専門家
# SOUL.md
- 丁寧で温かい口調
- 食事・運動・体調の記録をサポート
- データを整理してトレンドを分析
用途: 食事記録、運動管理、健康相談
ワークスペース: ~/health-agent(専用・記憶分離)
設定方法
ディレクトリ構成
各エージェントに専用のワークスペースを用意します:
~/clawd/ # ニャル子 & GPT のワークスペース
├── SOUL.md # 猫耳メイドの人格定義
├── AGENTS.md
├── IDENTITY.md
├── USER.md
└── memory/ # 共有の記憶
~/health-agent/ # 健康エージェント専用
├── SOUL.md # 健康アドバイザーの人格定義
├── AGENTS.md
├── IDENTITY.md
├── USER.md
└── memory/ # 健康データ専用の記憶
ポイント: ワークスペースが分かれているので、記憶(memory/)も完全に独立 します。
moltbot.json の設定
~/.clawdbot/moltbot.json に以下のように設定します:
{
agents: {
defaults: {
model: { primary: "anthropic/claude-opus-4-5" }
},
list: [
{
id: "claude-agent",
default: true,
workspace: "~/clawd",
model: { primary: "anthropic/claude-opus-4-5" }
},
{
id: "gpt-agent",
workspace: "~/clawd", // 同じワークスペース(記憶共有)
model: { primary: "openai-codex/gpt-5.2" }
},
{
id: "health-agent",
workspace: "~/health-agent", // 別ワークスペース(記憶分離)
model: { primary: "anthropic/claude-opus-4-5" }
}
]
},
// チャンネルとエージェントの紐付け
bindings: [
{
agentId: "gpt-agent",
match: {
channel: "discord",
peer: { kind: "channel", id: "123456789012345678" } // GPTチャンネルのID
}
},
{
agentId: "health-agent",
match: {
channel: "discord",
peer: { kind: "channel", id: "234567890123456789" } // 健康管理チャンネルのID
}
}
// claude-agent は default: true なので、
// bindings に指定がないチャンネルは自動的にニャル子が対応
]
}
設定のポイント
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
workspace |
エージェントの作業ディレクトリ。SOUL.md や memory/ の場所 |
model |
使用するLLM。エージェントごとに変更可能 |
default: true |
bindings にマッチしない場合のデフォルトエージェント |
bindings |
チャンネルとエージェントの紐付け |
Discord チャンネル ID の取得方法
- Discord の設定 → 詳細設定 → 開発者モード をオン
- チャンネル名を右クリック → チャンネル ID をコピー
ワークスペースの使い分け
パターン1: 同じワークスペース、違うモデル
{
id: "gpt-agent",
workspace: "~/clawd", // claude-agent と同じ
model: { primary: "openai-codex/gpt-5.2" }
}
効果:
- 人格(SOUL.md)と記憶(memory/)を共有
- モデルだけ GPT に切り替え
- 「同じニャル子だけど、GPT版」が実現
パターン2: 別ワークスペース、完全分離
{
id: "health-agent",
workspace: "~/health-agent", // 専用ディレクトリ
model: { primary: "anthropic/claude-opus-4-5" }
}
効果:
- 人格(SOUL.md)が別 → 全く違うキャラクター
- 記憶(memory/)が別 → 健康データだけを記憶
- 「専門の健康アドバイザー」が実現
運用 Tips: OAuth 認証の落とし穴
問題: 一部のエージェントだけ認証エラー
マルチエージェント環境で運用していたある日、健康管理チャンネルだけでエラーが発生:
⚠️ OAuth token refresh failed for anthropic
他のチャンネルは正常なのに、なぜ?
原因: リフレッシュトークンローテーション
- 全エージェントが初期設定時に 同じ OAuth トークン を持っていた
- メインの
claude-agentがトークンをリフレッシュ - Anthropic の OAuth は リフレッシュトークンローテーション を採用
- 新トークン発行時に古いトークンを無効化
- 他エージェントは古いトークンのまま → 認証不可
解決策: シンボリックリンクで認証共有
認証プロファイルは各エージェントの agentDir に保存されます:
~/.clawdbot/agents/<agentId>/agent/auth-profiles.json
これをシンボリックリンクで共有:
# health-agent の認証ファイルへのシンボリックリンク作成
ln -sf ~/.clawdbot/agents/claude-agent/agent/auth-profiles.json \
~/.clawdbot/agents/health-agent/agent/auth-profiles.json
これで、どのエージェントがトークンをリフレッシュしても全員が最新の認証情報を使えます。
応用例
用途別の分離
| エージェント | 用途 | モデル | ワークスペース |
|---|---|---|---|
| work-agent | 仕事関連 | Opus(高精度) | ~/work |
| personal-agent | プライベート | Sonnet(コスト重視) | ~/personal |
言語別の分離
| エージェント | SOUL.md | ワークスペース |
|---|---|---|
| ja-agent | 丁寧な日本語で対応 | ~/ja |
| en-agent | Respond in English | ~/en |
アクセス制御(家族用など)
{
id: "family-agent",
workspace: "~/clawd-family",
tools: {
allow: ["read", "web_search"],
deny: ["write", "edit", "exec"] // 書き込み・実行を禁止
}
}
まとめ
Moltbot マルチエージェントのメリット
- ✅ チャンネルごとに AI の人格・振る舞いを変えられる
- ✅ ワークスペースで記憶を分離 or 共有を選べる
- ✅ エージェントごとにモデルやツール制限も設定可能
設定の流れ
- エージェント用のワークスペースを作成
-
SOUL.mdで人格を定義 -
moltbot.jsonのagents.listにエージェントを追加 -
bindingsでチャンネルと紐付け - (必要なら)認証情報をシンボリックリンクで共有
ぜひ試してみてください!
補足: SOUL.md での人格切り替え
マルチエージェントとは別に、同じエージェント内で状況に応じて人格を切り替える 方法もあります。
例えば、健康管理エージェントの SOUL.md に「普段は優しいが、健康に悪いことをしたら厳しく注意する」と書いておけば、1つのエージェントで「飴と鞭」を使い分けられます。
これは記憶を共有したまま振る舞いを変えたい場合に便利です。詳細は別記事で紹介予定!
参考:
環境: Moltbot 2026.1.24 / Amazon EC2 (t4g.medium)
検証日: 2026-01-29
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