Impermanent Loss の一般式導出(Uniswap V2)
前提
Uniswap V2 型のAMMでは、価格変動に応じてプール内の2つのトークン価値が常に 1:1 になるようにトークンの数量が自動調整される仕組みなので、次の2つの関係が成り立ちます:
(以下、x=ETH、y=USDCとして議論をすすめる)
- 定積式:
x \cdot y = k - 価格(USDC建て):
p = \dfrac{y}{x}
また、価格が初期値
準備
ILは、HODL時とLP提供時の現在価値(PV)の差によって生じます。
まず、損失額を示し、次に「損失率」に正規化します。
- 損失額:
\Delta = \mathrm{PV_{HODL}} - \mathrm{PV_{LP}} - 損失率:
\mathrm{IL}(r)= \frac{\Delta}{\mathrm{PV_{HODL}}}= \frac{\mathrm{PV_{LP}}}{\mathrm{PV_{HODL}}}-1
前者は“いくら損したか”、後者は“何%損したか”を示す。
"損益率"ではなく"損失率"としているのは、価格変動に対して必ずILが生じるため。
以上を明確にするため、以降で HODLとLPの各PVを求める。
HODLの現在価値
流動性提供時に、
価格が
LPの現在価値
価格変動後(
以下は、x価格が上昇した場合(ETH上昇)の例として導出する。
外部市場に対してプール内の ETHが割安になると、 USDC → ETH のスワップが発生し、プール内の ETH が減りUSDCが増える:
※ x価格が下落する場合でも、
以下、2式を連立すると、x',y'を価格変動率からから導出できる式を得れる。
上記の関係性をグラフにすると以下のようになる。

- 流動性提供時(p1/p0=1)を起点に、価格変動に対して自動的にトークンの数量がリバランスされるのが読み取れる
上記を参照してLPのPVは、
ILの一般式導出
-
\mathrm{IL}(r) \;=\; \frac{\mathrm{PV_{LP}}}{\mathrm{PV_{HODL}}} - 1 \mathrm{IL}(r)= \frac{2xP_0 \sqrt{r}}{xP_0 (r+1)} \;-\; 1 \\[6pt]= \frac{2\sqrt{r}}{r+1} \;-\; 1 \\[8pt]
上記で導出した式をプロットしてみる

- 価格変動に対して必ずILが発生することがわかる
- マイナス方向の価格変動の方がILが大きくなることがわかる
補足:価格変動に対して必ずILが発生する理由は数学的性質からも説明することができる。
Discussion