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Impermanent Loss の一般式導出(Uniswap V2)

に公開
2026/02/09

前提

Uniswap V2 型のAMMでは、価格変動に応じてプール内の2つのトークン価値が常に 1:1 になるようにトークンの数量が自動調整される仕組みなので、次の2つの関係が成り立ちます:
(以下、x=ETH、y=USDCとして議論をすすめる)

  • 定積式:x \cdot y = k
  • 価格(USDC建て):p = \dfrac{y}{x}

また、価格が初期値 P_0 から P_1 に変化したとき、比率 r を以下のように定義します:

r = \dfrac{P_1}{P_0}

準備

ILは、HODL時とLP提供時の現在価値(PV)の差によって生じます。
まず、損失額を示し、次に「損失率」に正規化します。

  • 損失額:\Delta = \mathrm{PV_{HODL}} - \mathrm{PV_{LP}}
  • 損失率:\mathrm{IL}(r)= \frac{\Delta}{\mathrm{PV_{HODL}}}= \frac{\mathrm{PV_{LP}}}{\mathrm{PV_{HODL}}}-1

前者は“いくら損したか”、後者は“何%損したか”を示す。
"損益率"ではなく"損失率"としているのは、価格変動に対して必ずILが生じるため。

以上を明確にするため、以降で HODLとLPの各PVを求める。

HODLの現在価値

流動性提供時に、\text{ETH} = x, \text{USDC} = xP_0 を保有している場合、
価格が P_1 = rP_0 に変動した後のPVは

\mathrm{PV_{HODL}} = xP_1 + xP_0 = xP_0 (r + 1)

LPの現在価値

価格変動後(P_1 = rP_0)のx, yを x', y' と置く。
以下は、x価格が上昇した場合(ETH上昇)の例として導出する。

外部市場に対してプール内の ETHが割安になると、 USDC → ETH のスワップが発生し、プール内の ETH が減りUSDCが増える:

x \cdot y = (x - \Delta x)(y + \Delta y) = k

※ x価格が下落する場合でも、x', y' の式は同様に適用される。

以下、2式を連立すると、x',y'を価格変動率からから導出できる式を得れる。

\begin{aligned} x' y' &= k \quad \\ p_1 &= \frac{y'}{x'} \end{aligned}
x' = \frac{x}{\sqrt{r}} \qquad y' = xP_{0}\sqrt{r}

上記の関係性をグラフにすると以下のようになる。

  • 流動性提供時(p1/p0=1)を起点に、価格変動に対して自動的にトークンの数量がリバランスされるのが読み取れる

上記を参照してLPのPVは、

\begin{aligned} \mathrm{PV_{LP}} &= x'P_1 + y' \\[4pt] &= \frac{x}{\sqrt{r}} \cdot rP_0 + x\sqrt{r}\,P_0 \\[4pt] &= xP_0\sqrt{r} + xP_0\sqrt{r} \\[4pt] &= 2\,xP_0\sqrt{r} \end{aligned}

ILの一般式導出

  • \mathrm{IL}(r) \;=\; \frac{\mathrm{PV_{LP}}}{\mathrm{PV_{HODL}}} - 1

    \mathrm{IL}(r)= \frac{2xP_0 \sqrt{r}}{xP_0 (r+1)} \;-\; 1 \\[6pt]= \frac{2\sqrt{r}}{r+1} \;-\; 1 \\[8pt]

上記で導出した式をプロットしてみる

  • 価格変動に対して必ずILが発生することがわかる
  • マイナス方向の価格変動の方がILが大きくなることがわかる

補足:価格変動に対して必ずILが発生する理由は数学的性質からも説明することができる。

Discussion