個人開発でマイクロSaaSを16本量産した仕組みを公開する
はじめに
現在、自分のマイクロSaaSは16本稼働している。月収にすると合計で数万円規模だが、1本あたりの開発・運用コストを極限まで下げることで、小さな収益でも積み重なれば意味を持つ構造にしている。
この記事では「どうやって量産しているか」の技術的な仕組みを正直に書く。魔法はない。ただし、再現性はある。
課題:ゼロから作るとコストが高すぎる
最初の数本は普通に作っていた。Next.jsでフロントを組み、Supabaseでデータ管理し、StripeとVercelを繋ぐ。この構成自体は悪くないが、毎回ゼロから組み立てるのは想像以上に時間を食う。
特につらかったのは以下の点だ。
- 認証・課金まわりのボイラープレートが毎回ほぼ同じ
- ユーザーへのBot通知(メール・Slack)も都度書き直し
- 「ペインポイントを見つけてから公開まで」が2〜3週間かかっていた
FreelancePainPollBot(¥4350/月)のような「フリーランサーの困りごとを収集するBot系」も、WorkflowNagBot(¥2850/月)のような「AIワークフロー通知系」も、コア機能は違うのに周辺コードはほぼ同じだった。
解決策:テンプレートリポジトリ+機能フラグ設計
今は以下の構成を使っている。
テンプレートリポジトリ(saas-starter)
saas-starter/
├── apps/
│ └── web/ # Next.js App Router
├── packages/
│ ├── auth/ # Supabase Auth wrapper
│ ├── billing/ # Stripe Checkout / Webhook
│ ├── notify/ # メール・Slack・LINE通知の統一IF
│ └── db/ # Prisma schema + migrations
└── scripts/
└── new-saas.sh # 新プロダクト初期化スクリプト
新しいアイデアが生まれたら new-saas.sh を叩くだけで、認証・課金・通知が動く状態のリポジトリが手元に生える。
bash
#!/bin/bash
new-saas.sh
PROJECT_NAME=$1
cp -r ./saas-starter ../"$PROJECT_NAME"
cd ../"$PROJECT_NAME"
git init
git add .
git commit -m "init: $PROJECT_NAME from template"
echo "✅ $PROJECT_NAME ready. Supabase & Stripe envs still needed."
これだけで「認証どう作ろう」という思考を完全にスキップできる。
実装のポイント:薄く作って早く出す
1. 機能は1つに絞る
SoloTaxReceiptBot(¥1350/月)は「レシートをLINEで送ると仕訳データを返す」それだけだ。確定申告の全自動化はしない。個人事業主がAPIや設定でつまずく手前の、一番小さいペインだけを取る。
2. Bot系はWebhook受信だけにする
Bot系SaaSは「UIを作らない」という判断が効いている。FreelancePainPollBotやWorkflowNagBotはWebhookエンドポイントとSlack/LINE送信だけで完結しており、管理画面すら最小限だ。フロントエンドを作らないことで、開発期間が大幅に短縮できる。
3. AIHtmlDiffAlertのような差分検知系は定期実行で完結
AIHtmlDiffAlert(¥1350/月)はVercel Cron + Playwrightで特定URLのDOM差分を検知してアラートを飛ばす。UI不要・DB最小・課金はStripe Checkoutで完結。このパターンは流用しやすい。
市場の選び方:「日本語対応が遅れている領域」を狙う
海外ではすでに普及しているが日本語対応や日本の商習慣(領収書・freee連携・消費税計算)に対応していないツールが多い。2026年現在でも、フリーランサー・中小企業向けの細かいペインに刺さるツールは空白地帯が残っている。
フリーランサーが「どのツールでも解決されていない細かい困りごと」を抱えているのは、FreelancePainPollBotのユーザーデータを見ていても実感している。大手SaaSが対応するほど市場が大きくないが、ニッチな個人開発者には十分な規模のペインが存在する。
まとめ
量産の本質は「考えなくていい部分を徹底的に型にすること」だ。
- テンプレートで認証・課金・通知を再利用する
- 機能を1つに絞り、UIを持たないBot系から始める
- 日本語・日本商習慣の空白地帯を狙う
16本のうちいくつかは月1000円台の小さな収益だが、それでいい。1本あたりの開発コストが下がれば、打席数を増やして当たりを探せる。個人開発は打率より打席数だと今は思っている。
テンプレートの詳細は別記事で書く予定。
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