AIが自律的にSaaSを量産するシステムを作った話
はじめに
気づいたら稼働中のSaaSが16本になっていた。
自分でゼロから全部書いたわけじゃない。AIが「課題を発見して、実装して、デプロイする」までをほぼ自律的にやるシステムを作って、それを回し続けている。
この記事では「どうやってそのシステムを作ったか」と「実際に動いているSaaSの現状」を正直に書く。夢みたいな話に聞こえるかもしれないけど、収益もまだ小さいし課題も多い。でも確実に動いている。
課題:ゼロからSaaSを作るコストが高すぎる
インディーハッカー界隈では「2025年以降はSaaSが飽和している」とよく言われる。確かにそうだと思う。でも自分が注目したのは別の角度だった。
「日本語圏のニッチな業務課題は、まだほとんど放置されている」
海外では普及済みのツールでも日本語対応が不十分だったり、フリーランス・個人事業主向けの細かい痛みに対応するツールが存在しない領域がある。Power AutomateやZapierは確かに便利だが、日本の確定申告フローやフリーランスの請求実務に特化したものではない。
ただ、こういう「小さな課題」を一個一個人間が調査して設計して実装していたら時間がいくらあっても足りない。だから課題発見から実装までをパイプライン化することにした。
解決策:課題→仕様→実装→デプロイのパイプライン
システムの全体像はこんな感じ:
[課題収集] → [スコアリング] → [仕様生成] → [コード生成] → [デプロイ]
↑ |
└────────────── フィードバック収集 ──────────────────────┘
各ステップをざっくり説明する。
課題収集:Redditや国内SNS、フリーランス系のコミュニティを定期的にクロールして「〇〇がめんどくさい」「〇〇ツールが欲しい」という発言を集める。日本語の不満ツイートや掲示板の書き込みも対象。
スコアリング:集めた課題をLLMで評価する。「解決済み既存ツールがあるか」「実装難易度」「潜在的な支払い意欲」などをスコア化して優先順位をつける。
仕様生成・コード生成:スコアが閾値を超えた課題に対して、LLMが仕様書を生成し、そのままコードに落とす。
デプロイ:生成されたコードをレビューしてOKなら本番環境へ。
実装:スコアリング部分のコード(抜粋)
python
import anthropic
def score_pain_point(pain_text: str) -> dict:
client = anthropic.Anthropic()
prompt = f"""
以下の課題をSaaS開発の観点で評価してください。
課題:{pain_text}
以下の項目を1-10でスコアリングし、JSONで返してください:
-
urgency: 緊急度(今すぐ解決したいか)
-
willingness_to_pay: 支払い意欲
-
solution_gap: 既存ツールで解決されていない度合い
-
implementation_complexity: 実装の難しさ(低いほど高スコア)
-
total_score: 総合スコア
"""message = client.messages.create(
model="claude-opus-4-5",
max_tokens=512,
messages=[{"role": "user", "content": prompt}]
)JSON部分を抽出してパース
import json, re
json_match = re.search(r'{.*}', message.content[0].text, re.DOTALL)
if json_match:
return json.loads(json_match.group())
return {}
これを回し続けて生まれたのが今稼働している16本のSaaSだ。
現状:稼働中SaaSの一部と正直な数字
全16本の中からいくつか紹介する。
| サービス名 | 月収 | 解決している課題 |
|---|---|---|
| FreelancePainPollBot | ¥4,350 | フリーランサーの細かい困りごとを可視化・集約 |
| WorkflowNagBot | ¥2,850 | n8n/MCP連携の設定を初心者でも完了できるよう補助 |
| FreelancerToolPainTracker | ¥1,800 | フリーランサーの生産性を下げているペインを追跡 |
| AIHtmlDiffAlert | ¥1,350 | AI生成HTMLの差分検出・クリーンアップを自動化 |
| SoloTaxReceiptBot | ¥1,350 | 個人事業主のレシート読み取りと確定申告自動化 |
合計すると月数万円程度。「SaaSで一攫千金」みたいな話では全くない。ただ16本が並走していて、自分がコードをほとんど書いていないのに収益が発生し続けているのは事実だ。
SoloTaxReceiptBotはレシートのOCR読み取り精度の問題でチャーンが発生している。AIHtmlDiffAlertはそもそもターゲットが狭すぎた。数字が示す通り、全部が成功しているわけじゃない。
学んだこと
うまくいっていること
- 課題の目利き精度が上がってきた。スコアリングに「日本市場特有のコンテキスト」を追加してから精度が改善した
- 小さく出してフィードバックを得るサイクルが速い。1本作るのに今は数日かからない
うまくいっていないこと
- 生成されたコードの品質チェックがまだ人間依存。ここを自動化したい
- サポート対応がボトルネックになりつつある。16本分の問い合わせを一人で捌くのはきつい
- 課題収集のクロールが規約グレーゾーンなので慎重に動かしている
まとめ
「AIで自律的にSaaSを作る」というのは、魔法でもなんでもなく、課題発見・評価・実装・フィードバックのパイプラインを地道に整備することだった。
収益はまだ小さいし、課題も多い。でも「自分の時間をほぼ使わずに16本が並走している」という状態は、個人開発の新しいスタイルとして面白いと感じている。
同じような取り組みをしている人がいたらぜひ話したい。コメントか[Twitter]で声をかけてください。
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